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リア充

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リア充(リアじゅう)とは、実社会における人間関係や趣味活動を楽しんでいること、またはそのような人[1]を指す言葉。「リアル(現実の生活)が充実している」が語源。現代の多くの人がインターネット上などで公表している「リア充」に対するイメージは、「張り合いのある職業に就いている人」、「恋人に恵まれている独身の人」「暖かい家庭を築けている既婚者の人」という場合が多い。また、昼食を一緒に楽しめる仲間がいたり、週末を一緒に楽しめる友人が多い人を指す言葉、恋人のいる人を指す言葉でもある[2]

1980年代ころからテレビゲーム内で架空の人物になって遊ぶことに没頭し現実社会とのやりとりは後回しになってしまうゲームマニアは相当数いたが、それに加えて1990年代後半ごろからインターネットが爆発的に普及し、他の一般人でもバーチャルな電子空間でハンドルネームなどの架空の名前を使ってやりとりすることに没頭する人々が非常に増え、ふと気づけばいつのまにか電子空間の外の ”リアルな社会 ”との関係が減ってしまった、などと感じる人々が増えた。そうした電子空間に没頭してしまった人々から見て、現実社会を優先して充実した人生を送れている状態・人々を指してこの表現が使われはじめた。つまりバーチャルというものが登場し普及した結果生まれた「ものの見方」であり表現である。対義語として「バーチャル充(バチャ充)」がある[3]

概説

話し手や聞き手の年齢帯や人生の段階により、「リア充」という表現が持つ意味は異なる傾向を持つ。

それぞれの年齢帯や身辺の状況ごとに、「リア充」と聞いて思い描いているイメージが異なっているのである。小学生が「リア充」と聞くと、学校の授業が楽しいことや学校の同性異性友人との関係がうまくいっていることをイメージする。

高校生ごろになると、学業や部活動の充実に加えて、異性との交際も、学業や部活動に加えてリア充に必要な要素のひとつだと思う人が一定割合現れる[4]

親が第一次産業従事者(農業者や漁業者)で、家業の手伝いをしていると、生活が充実しているという感覚を持つことができる。将来は自分の家業を継いでゆくという目標を持つようになり、農業や漁業への正式な参加をしてから、お嫁さんやお婿さんを迎えればいい、というイメージも持てるからである。実際に、農業・漁業を継承する若者の多くは、20台代前半でお嫁さん・お婿さんを見つけている。

また、男子校女子校ではほとんどの生徒にとって「現実の生活」とは純粋に学業および部活動なので、それが充実している状態、つまり異性の友人などがいなくても「リア充」となる。

偏差値の高い高校生たちは、学業に励み、良い大学で研究や就職活動にはげむと、良い将来が開け良縁に恵まれる可能性も高い、と親や親類や教師から聞いて知っているので、高校生の段階では異性の友人やいわゆる「恋人」がいなくても、「実生活、実人生が充実している」という感覚・実感が十分にある。大学生は「リア充」と聞いて、まず大学での講義ゼミなどでの学習や研究が順調に進んでいること、サークル活動も順調で楽しいこと、将来のための資格取得や就職活動が順調に進んでいること、つきあっている異性がいることなどもイメージするが、その程度にとどまる。

すでに就職した人ならば、やりがいのある職業に就き、毎日張り合いを感じていることをイメージする。職業から満足感が得られないと、大抵、人生にネガティブな考えを持つようになる。人生の時間のほとんどをそこに投入するためである。ワークライフバランスを大切にする人なら、仕事が充実するだけでは足らず、仕事を離れてプライベートな生活の時間もしっかり持てて趣味の活動なども充実していることも条件に加わる。また将来の結婚相手になりそうな異性とつきあっていることなどを考える人もいる。女性は自分が妊娠可能な年齢の上限を強く意識する傾向があるので、20代後半などになると、ただ異性とつきあってさえいればいい、などという感覚にはならない。将来の出産につながらない異性とつきあっていても、虚ろで、妊娠可能な大切な時間を無駄にしているように感じられる。

職業を持っている既婚者は「リア充」と聞いて、なによりもまず日々自分の時間のほとんどを投入している自分の仕事が充実していてそこから満足感を得られていること、夫婦関係も良好なことを思い浮かべる。夫婦関係が悪いと、「虚ろ(うつろ)」をはるかに飛び越えて、一種の「地獄」である[5]。さらに子供が誕生した人ならば、子供がすくすくと育っていて、子育ても充実していて子供との関係も良い、などということをイメージする、といった具合である。このように年齢帯によって「リア充」が指している内容が、かなり異なっているわけである。

2009年の株式会社アイシェアによる意識調査で、リア充と呼ばれる人々は睡眠時間が長い傾向にある、ということや、インターネットの利用時間が短い傾向にある、ということが判っている。→#分析・調査

当用語の歴史

発祥と普及

概念自体は2005年頃に2ちゃんねる大学生活板で成立[6]リアル充実組と呼ばれていたが、2006年初頭に今のリア充の形として使われ始めた。その後2007年夏頃からブログtwitterでも流行した[6]未来検索ブラジルの主催するユーザ(2ちゃんねらー)投票企画「ネット流行語大賞」では2007年に21位となった[7]。2011年には女子中高生ケータイ流行語大賞の金賞に選ばれるまでに成長し、ギャル語として確固たる地位を獲得するに至った。

当初は、インターネット上のコミュニティに入り浸る者が、現実生活が充実していないことを自虐的に表現するための対語的造語だった[6]。当時は友達が1人でもいればリア充とされた。その後、このニュアンスは、従来のネット文化に(触れずにいた事から)染まっていない、携帯電話を介したネットの利用者たちが流入するにつれ、彼らの恋愛仕事の充実ぶりに対する妬みへと変化していった[6]

分析・調査

日経BPの記事[6]では、アンサイクロペディアの「リア充」の項目に列挙されているリア充の条件から、いずれも携帯電話、2020年代でいうスマートフォンさえ持っていればパソコンを必要としていないことを指摘し、そこから、ネットとは別にリアルの充実に価値を見いだす、ネットとリアルの住み分けが進んでいるのではないか、と分析している。

メール転送サービス「CLUB BBQ」を提供する株式会社アイシェアは、2009年3月に同サービス利用者を対象に、「リア充」を含むインターネットスラングに関する意識調査を実施・発表した[8]。「リア充」の意味を分かると答えたのは436人中115人の26.4%、また「趣味仕事・人間関係など、実生活が充実しているのを『リア充』だとすると」[9]という前提で、自分を「リア充」だと思うかとの質問には、「かなり」「どちらかというと」を含めて436人中233人、53.4%が「リア充」であると答えた。「リア充」であると答えた層の方が、そうでない層よりインターネットを使用する時間が短めで、また睡眠時間が長い傾向にある、とアイシェアは分析している。

脚注

  1. ^ リア充(リアじゅう)の意味 - goo国語辞書”. goo辞書. 2021年2月13日閲覧。
  2. ^ 知恵蔵2010年、佐橋慶信 執筆
  3. ^ リア充ではなく、バーチャル充たちの理想郷を”. キャリアハック. 2022年5月21日閲覧。
  4. ^ 注:思春期には異性への関心・興味が増大する傾向がある。そのことで頭が一杯になってしまい、異性との交際にばかりうつつをぬかしていていると学業、運動の成績が低下し、実生活全体の充実度が低下してしまう者も多い。
  5. ^ 夫婦仲が悪くなった人々のかなりの割合が離婚の検討に入る。そして高校生や大学生の時に「つきあっている異性がいるとリア充」などと思っていた自分を思い出して、自分は幼かった、愚かだった、と反省するようになる。同じ屋根の下に、いつ仲が悪くなるかわからず、いつ敵になるか分からない「異性」がいることは、むしろ自分の人生を台無しにする原因だと考えるようになる。今後は異性から離れて、異性などあてにせず、自分の人生を充実させたい、と考えるようになる。
  6. ^ a b c d e 佐藤信正 (2007年9月3日). “ネットと現実、どっちが楽しい? 「リア充」の先にある新しい友達関係 - 日経トレンディネット”. 日経BP社. 2007年10月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年3月26日閲覧。
  7. ^ ネット流行語大賞2007最終投票”. 2007年12月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年5月21日閲覧。
  8. ^ 「ぐぐる」「DQN」いくつ知ってる?ネットスラングランキング”. 株式会社アイシェア (2009年3月26日). 2009年3月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年7月28日閲覧。
  9. ^ かぎ括弧内はアイシェア「ネットスラングランキング」より引用

関連項目

外部リンク