日本の学校制服
日本の学校制服(にほんのがっこうせいふく)では、日本における学校の制服について述べる。
概要
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種類
男子生徒用の制服は詰襟学生服かブレザー、女子生徒用の制服は女子通学服に大別されている。なお、学校の制服全般を男女形状タイプに関係無く「学生服」、小学生向けのものは「学童服」と呼ぶ場合もある。ジェンダーレスで性別に関係なく制服が選べる制度導入が促進されている[1][2][3][4][5][6][7]。女子の制服制度としてはスラックスを選択可能にしている自治体のほか、申し出があれば認める例もある[8]中で、制服を男子用女子用と区分けせず選択制にして、男子がスカートを着用できる高校も存在する[9]。
男子
- 学生服(学ラン)・学生帽
- 中学校では2006年現在主流であるが、高等学校はブレザーなどへのモデルチェンジで大きく減少している[10]。
- ブレザー
- 高等学校で主流のタイプ[10]。
- セーラー服
- フェリーチェインターナショナルスクール(群馬県)が、男子児童の制服としてセーラー服を採用している(夏服のシャツは男女共通。冬服の上着は男女で若干異なるが、類似したデザイン。)[11][12]。
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女子
- セーラー服
- ボトムスについては大部分の学校では通年スカートを組み合わせるが、一部の学校(仙台市常盤木学園高等学校など[13])では冬期にスラックスを選択することが可能である。また、冬期のスラックス着用を義務づけている学校もある(坂井市立鳴鹿小学校、安曇野市立明科中学校など)。
- ブレザー
- 高校生に主流の制服。高等学校の新設校やモデルチェンジによって採用されることが比較的多い制服である。これにリボン[14]を合わせることが多い。一部の学校では、スラックスを組み合わせることも可能である。また、数は少ないが、冬期にスラックスを義務づけている学校もある(札幌市立南が丘中学校など[15])。
- 吊りスカート
- 吊りスカートは本来女子小学生の制服として採用されている事例が多いが、男子小学生もスカートを制服として選択することができる小学校(みやま市立瀬高小学校など)においては、男女関係なく吊りスカートが着用できることが予想される[5][6][7]。
- イートンジャケット
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地域性
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歴史
近代初期
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明治 - 昭和初期
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太平洋戦争 - 昭和中期
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1960年代から1970年代
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1980年代
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1990年代以降
制服のファッション化の背景には、制服は基本部分を親に購入してもらうことができるため、リボンなどの小物や色の組み合わせを変えることでオシャレを演出できるほか、小遣いの範囲で小物を買い足していくことができるといった、私服よりも安価にオシャレを楽しめることが理由だと考える意見がある[16]。
しかし、一度制服を廃止した途端に受験者数が落ち込むケースが存在する。制服を再導入する学校も出てきている。千葉県立小金高等学校では、公立の学校としては珍しく、1993年から私服通学を認めていたが、志願者が減少の一途を辿っていたため、2011年から制服を再導入すると決定したところ、志願者数が増加した[17]。また北海道富良野高等学校が、式典などでの服装の乱れについて指摘を受け、2011年度から制服を復活させることにした[18]。
近年の日本におけるこのような制服のファッション化は、日本国外でも注目されており、フランスの雑誌『Japan LifeStyle』における言及、「日本の女子高生の制服は自由の象徴」といったパリ娘たちの意見[19]や2009年Japan Expoにおける制服ファッションの前年比での激増[20]、ファッション誌に常に制服が特集されているタイ王国[21]、バンコクで2009年3月に開催された制服ファッションイベント「カワイイ・フェスタ」の開催などに、その注目の度合いを見ることができる。
一方で、制服の購入には経済的負担や、人生の一時期に着用して、あとは廃棄されるという課題もある。このため、同じ学校に通う年下の子供がいる家庭への譲渡や中古品売買が一部で行われている。全国の公立中学校のうち、600校を対象にした日本国政府の調査では、制服に上履き、ジャージなど体操服を含めた一式の金額は、平均6万円である[22]。
多様化(制服選択制)
制服については教育委員会ではなく学校長判断で着用が決定するが、公正取引委員会は2020年7月に愛知県豊田市にある県立高校6校の制服販売において価格カルテルを結んでいたとして、同市の販売業者3社に対し、独占禁止法違反で再発防止を求める排除措置命令を行うなど流通に不透明さが残る場合がある[23]。また、制服については学校長判断で変更等が決められるが、2019年4月から、中野区と世田谷区では全区立中学校で女子生徒もスラックスの制服(標準服)を選べるようにした[24]。世田谷区では上川あや議員の経験による質疑がきっかけとなった[25]。福岡市では中学校長会の代表や保護者代表などによる市立中学校の制服を見直す検討委員会が発足し2019年5月には新たな標準服の案がまとまり、同年福岡市は全69校のうち4校がジェンダーフリーの独自学生服を採用。残り65校も福岡市が準備した新たな標準服となり、市内全校がスラックスとスカートを自由に選べる選択式の標準服を採用した。動きやすさや寒暖への対応のほか、男女に関係なく、ズボン、キュロット、スカートのいずれを着るか選べる[26][27]。栃木県の県立高校では、コロナ禍対策の換気による防寒もあり6割で女子生徒にもスラックスが導入されている[28]。世田谷区の区立桜丘中学校では、制服の形状を選択することがカミングアウトにつながるとの校長の配慮もあり制服でも私服でもよいとしている[29]。性自任への配慮やスカート内の盗撮とその動画販売拡散などの被害[30]、寒さによる月経困難症の重篤化や自転車通学でのスカート着用の不便さなどといった行動面での問題もあり、生徒が自らの指向や心身の健康安全のために形状を自由に選択できることが肝要となってきている。2020年、報道機関の取材では全国で制服選択制の公立高600超となっていると報道されている[31]。学業の本分と健全な学校運営に関わらない余計な生徒指導を生む現状があるブラックな「校則の見直し」と「教師の負担軽減」の両立についての指摘がある[32]。教員の長時間労働とブラック校則の問題は根底でつながっているとの意見もある[33]。
「ブラック校則」は下着・インナーの指定や外泊・旅行、団体加入・集会と言った私生活への干渉の見直しが求められている[34]が、そもそもシャツが下着の色の透過性が高い白である必然性はなくスラックスなど多様な選択肢と共に、白以外のカラーワイシャツや夏は速乾性に優れるカラーポロシャツを採用する学校もある[35]。また、#WeToo Japanの調査の結果痴漢被害にあいやすいのはスカートが短いからではなく、私服より制服着用者が多く、制服そのものが被害を誘発し生徒の安全を脅かしていることが分かっている[36]。
- 千葉県柏市にある柏市立柏の葉中学校が平成30年度(2018年)の開校と同時に制服選択制を導入した[4]。
- 埼玉県戸田市にある戸田市立戸田東中学校でも平成31年度(2019年)以降、生徒が性別に関係なく制服選択制を導入した[3]。
- 岐阜県教育委員会は、公立高校(中等教育学校を含む)の制服の男女の区別を無くし、性別にかかわらず選択できると明記するよう全県高校(県立中等教育学校を含む)に要請。性別を問わず、スラックスかスカートを選択できる。背景には、性に関する価値観の多様化や、トランスジェンダーの生徒への配慮などがある[37]。
- 福岡県みやま市では、瀬高地域(旧・山門郡瀬高町)にある3か所の小学校を統合して設置されたみやま市立瀬高小学校が、2020年(令和2年度)の開校とあわせて「制服選択制」の導入が確認されており、同小学校に入学する新入生(1年生)は新しい制服を着用し、2年生以上の児童は制服の更新(買い替え)まで統合前各校の制服を着用する[38][6][7]。
- 熊本県菊池郡大津町では、令和2年度(2020年4月)以降、7校ある小学校の在学する児童が着用する標準服・制服だけでなく、2校ある中学校でも、生徒が着用する標準服・制服について、男女関係なくズボンかスカートかの選択制を導入する[5]。
- 犬山市教育委員会は、2020年6月9日、市内の全4中学校の制服に2021年4月からブレザーを採用すると発表。ブレザーを自治体で統一して採用するのは愛知県内で初。現行の詰襟、セーラー服とブレザーのどちらかを生徒が選択できるようにする。ブレザーを加える理由は「動きやすく、寒暑に対応しやすい」と説明。女子がブレザーを着用する場合は、スカート以外にスラックスも選択できるようにし、女子向けの細見のスラックスを用意。愛知県内では豊橋市が2020年4月から、中学女子のスラックス選択制を取り入れている。市教委は厚さ対策として、夏の制服のポロシャツ採用も検討している[39]。
脚注・出典
- ^ 2019年10月1日中日新聞朝刊16面
- ^ “大きな世界へ 新たな一歩”. 読売新聞 (2018年4月5日). 2020年4月10日閲覧。
- ^ a b “男子はスカートも 戸田市立戸田東中、多様性を認める新制服に切り替えへ 固定観念を捨て、その子の心に寄り添う”. 埼玉新聞 (2019年1月29日). 2019年3月23日閲覧。
- ^ a b “制服、性別関係なく選べます 千葉・柏の市立中学校”. 朝日新聞 (2018年2月19日). 2020年3月23日閲覧。。
- ^ a b c “「ズボン」「スカート」選択OK 大津町の小中学校、制服の男女区別廃止へ”. 熊本日日新聞 (2020年2月27日). 2020年3月23日閲覧。
- ^ a b c “LGBTに配慮 制服導入 みやま・4月開校の瀬高小”. 読売新聞 (2020年1月14日). 2020年4月10日閲覧。
- ^ a b c “半ズボン、スカート選択できる制服 みやま・瀬高小へ 上下着は男女兼用ブレザー LGBTへも配慮 /福岡”. 毎日新聞 (2020年1月15日). 2020年4月10日閲覧。
- ^ 「制服、女子生徒もスラックスOK/公立中学校、広がる選択制 利便性やLGBTに配慮」『日本経済新聞』夕刊2019年2月4日(2019年2月12日閲覧)。
- ^ 日本経済新聞朝刊12版38面(2020年12月8日付)「選べる制服」600公立高に
- ^ a b エキサイトニュース2006年4月20日『ところで学ランの「ラン」って何?』にて、尾崎商事(現・菅公学生服)マーケティング部社員談より。
- ^ 制服のご案内 幼稚部 幼稚園【FELICE INTERNATIONAL SCHOOL フェリーチェ インターナショナル スクール】英語
- ^ 制服のご案内 小学部 幼稚園【FELICE INTERNATIONAL SCHOOL フェリーチェ インターナショナル スクール】英語
- ^ “アーカイブされたコピー”. 2012年8月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年7月31日閲覧。 および http://cms.m-tgh.jp/info_detail.html?news_id=000000066&PSID=jildzgnxr
- ^ 一部の学校では、女子でもネクタイを合わせることもある。
- ^ 『北海道新聞』2008年2月14日
- ^ 櫻井孝昌 2009, p. 33
- ^ “「自由過ぎて」私服不人気…千葉県立小金高、制服再導入へ”. 『読売新聞』. 2009年5月23日閲覧。
- ^ 富良野高制服復活へ 2011年度から 式典などで服装乱れ指摘受け『北海道新聞』2010年3月25日
- ^ 櫻井孝昌 2009, p. 30
- ^ 櫻井孝昌 2009, p. 160
- ^ 櫻井孝昌 2009, p. 48
- ^ (eco活プラス)眠る制服、後輩にリレー 専門店増・PTA向けガイドも『朝日新聞』夕刊2018年12月18日(9面)2019年2月12日閲覧。
- ^ 真城 愛弓 (2020年7月24日). “学校制服「価格つり上げ」生むいびつな流通構造 愛知で学生服のカルテル、3社に排除措置命令”. 東京経済. 2020年7月26日閲覧。
- ^ “女子中学生の制服もスラックス 世田谷・中野区で選択可”. (2019年1月29日) 2020年5月17日閲覧。
- ^ 錦光山雅子 (2018年3月20日). “全区立中学で性別問わずスカート、ズボンが選べるよう検討へ 東京都世田谷区教委が見解” 2020年5月17日閲覧。
- ^ 今一生 (2019年11月21日). “福岡で市立中の制服を変えた弁護士。「制服を着る着ないを選ぶ権利は生徒にある」”. ハーバー・ビジネス・オンライン 2020年7月10日閲覧。
- ^ “中学新制服はブレザー 福岡市の検討委が了承 20年度から スカートとズボン選択も”. 西日本新聞. (2019年5月15日) 2020年7月10日閲覧。
- ^ “女子制服にスラックス導入広がる 県立高6割、換気での寒さも要因に”. 下野新聞. (2021年2月7日) 2021年2月8日閲覧。
- ^ “校則全廃の公立中、LGBTの生徒にも配慮 制服や修学旅行でも”. live door news (2019年3月4日). 2020年7月10日閲覧。
- ^ “制服の女子中高生を盗撮、動画60本ネット販売か 容疑で男逮捕”. 京都新聞. (2019年7月30日) 2020年7月10日閲覧。
- ^ “制服選択制の公立高600超 佐賀など19都道県 性的少数者に配慮”. 佐賀新聞. (2020年12月6日) 2020年12月6日閲覧。
- ^ 内田良 (2021年1月3日). “理不尽な校則 なぜ変わらないのか ――コロナ禍の校則緩和から「学校依存社会」を読み解く”. yahoo news 2021年2月10日閲覧。
- ^ “教員の長時間労働とブラック校則の共通点 学生がシンポ”. 教育新聞. (2019年10月29日) 2021年2月10日閲覧。
- ^ “「外泊しない」「下着は無地」…ブラック校則次々廃止、地毛登録は存続”. 読売新聞 (2019年10月25日). 2020年10月1日閲覧。
- ^ “制服” 2021年9月25日閲覧。
- ^ 竹下 郁子 (2019年1月22日). “「痴漢被害は制服に原因」「女性はTwitterで被害」ハラスメント実態調査” 2021年2月10日閲覧。
- ^ 2020年2月3日中日新聞朝刊1面
- ^ “男女区別のない小学校制服「全国で初めてでは」 来春開校統合小”. 西日本新聞 (2019年12月20日). 2020年3月25日閲覧。
- ^ 2020年6月10日中日新聞朝刊16面
参考文献
- 櫻井孝昌『世界カワイイ革命 なぜ彼女たちは「日本人になりたい」と叫ぶのか』〈PHP新書〉2009年11月30日。ISBN 9784569775357。
関連項目
外部リンク
- earth music&ecology KANKO Label - 制服メーカーのカンコーとストライプの協業ブランド。