受精卵
受精卵 Zygote | |
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グレイ解剖学 | subject #5 45 |
日齢 | 0 |
形成 | 桑実胚 |
受精卵(じゅせいらん、英: zygote)は、卵生殖を行う生物種の雌雄の配偶子(精子と卵子)が結合して形成する最初の細胞である。受精済みの卵子。受精しなかった卵は未受精卵という。
受精卵は直ちに発生を始める場合もあるが、そのまま一定の休眠期間を経る場合もある。これが細胞分裂を行い胚となり、生物の個体が発生していくため、生命の萌芽であると考えられている。あるいは個体のスタート点である。このためヒトの受精卵をどう扱うかは、医学など科学研究と生命倫理において重要な論点である[1]。
鳥類であるニワトリなどの場合、有精卵(ゆうせいらん)とも言う(受精していないものは無精卵と言う)。
生命倫理
ヒトの受精卵は14日目頃に原腸陥入が始まり、細胞分裂で身体のどの部位に成長するか分かれ始める。このため日本やイギリスなどではヒトの胚の培養は14日までと規制しているが、国際幹細胞学会は2021年5月に指針を改定して、14日を超える培養を解禁した[1]。
宗教面では、キリスト教のカトリックなどでは人工妊娠中絶を容認せず、受精卵の時点で尊重されるべき生命体とみなしているため、その扱いに対してしばしば深刻な価値観の対立、すなわち倫理問題が発生する。
受精卵の段階で遺伝子を解析し、将来起こりうる重篤な病気・障害の有無を診断する着床前診断(受精卵診断)について行うことに人間の場合、生命の選別・選民思想などの生命倫理的な問題があるとして、その是非については意見が分かれる。
しかしながら、妊娠した後に行う羊水検査などの出生前検査の結果に基づいて胎児の人工妊娠中絶が殆ど何の制限もなく実施されている日本においては、妊娠が成立する前に実施する着床前診断の方が倫理的に好ましいという考えもある。
また受精卵が分裂・分化する過程であらわれる万能細胞を中絶胎児などから取り出して研究に用いることについて、やはり同様の倫理上の問題が指摘されている。そこには生命倫理の問題が横たわっている。
脚注
- ^ a b ヒト受精卵の培養 研究どう動く「14日超え」国際幹細胞学会が解禁/各国の規制見直し焦点『朝日新聞』朝刊2021年6月22日(科学面)2021年7月24日閲覧
関連項目
先代 卵子 + 精子 |
ヒトの発生 受精卵 |
次代 胚 |