Wikipedia:存命人物の伝記
この文書はウィキペディア日本語版の方針です。多くの利用者に支持されており、すべての利用者が従うべきだと考えられています。変更はコミュニティーの合意を反映している必要があります。 |
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「存命人物の伝記」の執筆時には特段の注意を払わなければなりません。記事は「正確な」ものでなければいけません。特に、その人物の生涯の細部については、信頼性の高い参考資料だけを用いるべきです。
存命中の人物に関する否定的な情報で参考文献や出典のない、あるいは貧弱な情報源しかないものは、項目本文およびノートから即刻除去するべきです[1]。
これらの基本方針は伝記以外の項目における、存命人物の記述にも適用されます。
「存命人物の伝記」には一定の配慮が必要であり、また下記の基本方針を厳守しなければなりません。
方針の位置づけ
2009年4月に、存命中の人物の伝記に関するウィキメディア財団の姿勢を示す決議が採決されました[2]。この文書は、決議で勧告されているように、存命人物を解説する記事について、中立性と検証可能性について特別の注意を喚起するポリシーです。
ウィキペディアの記事は、検索エンジンによる検索結果の上位に現れる機会が増えました。これは同時に、記事の当事者の雇い主や同僚、友人、隣人、知人といった当事者の生活に影響を与えるような人たちが、当事者についての記述をウィキメディアのサイト上で探し当てる可能性も増えたということでもあります。存命中の人々に関する記事については、中立的な観点に立ち、情報源をきちんと挙げて確かな解説を行うといったことについて編集コミュニティの責任も大きくなっています。
明らかな宣伝や単純な荒らしへの対応は比較的容易ですが、一部にしか知られていないような人物では誤りや情報源の不確かな記述が見逃され、改善に時間を要します。悪意のある編集者が中傷するための編集を継続して行っている場合には対応が難しくなります。
ウィキメディア財団諮問委員会は世界中のウィキメディアコミュニティに対し、存命中の人物を解説する記事について中立性と検証可能性の原則について特別に注意を喚起する方針を設けることのほか、以下のような取り組みで質の高い正確な情報を堅持し強化することを勧告しています。
- 短期間ないし興味が限られた題材を扱う記事における情報の追加や削除の際に、人間の尊厳と個人のプライバシーの尊重を考慮する。
- 存命中の人々に関する編集を判断したり、読者が問題をより報告しやすくなるような技術的な仕組みを検討する。
- わたしたちのプロジェクトにおける自分の解説のされ方について苦情を訴えるいかなる人に対しても、忍耐と思いやり、配慮をもって接し、その姿勢をまわりにも促す。
どのように書くべきか
存命人物の伝記は責任を持って、保守的・中立的・百科事典的に書くべきです。他の分野の記事ではできの悪い記事でも、よくなるのを気長に待っていればいいでしょうが、存命中の人物の記事の場合はばっさり削るか、消してしまうべきです。
記事はどこにも偏らない書き方で、信頼できる第三者情報源が当該人物に関して出版・公表したものを文章化すべきです。場合によっては当該人物自身によって公表されたものを文章化する方がよいかもしれません。同情的・擁護的視点にも偏らないよう、中立的に、事実に即し、ウィキペディアの各方針を他の記事よりも厳密に遵守しながら書いてください。
出典無き批判は除去
情報源が皆無か、あっても「テレビで観たことがある」「ラジオで聴いた」「自分の目で見た」といったような貧弱な情報源のみの場合、否定的な題材は存命人物の伝記とそのノートから除去すべきです—その際の除去は議論無しで行なっても構いませんし、「スリー・リバート・ルール(3RR)」も適用されません。
この原則は、ウィキペディア内に見つかる存命人物に関する素材なら何にでも当てはまります。管理者は出典無しの記述除去をページの保護で強化してかまいません—たとえ自分がそのページの編集にかかわっていたとしても。問題となる記述を繰り返し投稿する編集者は警告の上でブロックされるでしょう。
管理者は出典無しに否定的な論調の存命人物の伝記を発見したが、差し戻すべき中立的な観点による版がない場合、議論を経ることなくその記事を削除すべきです。
ジミー・ウェールズは、以下のように述べたことがあります:
カテゴリ
存命人物の記事を執筆する際には必ずCategory:存命人物のカテゴリを付与するようにしてください。これはその記事が存命人物か否かを容易に判別するために必要不可欠なことです。
テンプレート
{{Blp}} を存命人物の項目のノートに貼って、読者や編集者がこのガイドラインに対して注意を払うよう呼びかけます。
信頼できる情報源
存命人物の伝記において、もし間違っていたら中傷となりうる断定・決めつけは情報源の裏づけが必要です。信頼できる情報源のない伝記は、独自研究で検証不可能なため、名誉毀損につながりかねません。
党派的ウェブサイトや読者の限られたあまり知られていない新聞にしかない情報は取り扱いに注意すべきであり、もし名誉毀損の恐れがあれば、そもそも用いるべきではありません。自主公表された本や新聞、ウェブサイトやブログによる情報は、伝記本人のものでない限り、決して使うべきではありません(以下の部分を参照)。
本人を情報源にする場合
記事の執筆に本人が参加することもあります。本人自ら編集したり、対象となる人々の代表が編集したりするかもしれません。彼らはノートやメールでウィキペディアンに連絡してくるかもしれません。あるいは、プレスリリースや個人のウェブサイト、ブログ、自伝などで情報を提供するかもしれません。当事者が提供した情報と記事本文の情報源無しの記述が矛盾する場合、出典の無い記述は取り除かれねばなりません。
下記のような場合、当事者提供の情報を記事に加筆しても構いません。
- 情報に当事者の知名度に釣り合うような重要性があること
- 論争が起きやすくないこと
- 不当に本人に都合よく書かれていないこと
- 第三者に対する主張や当該人物に直接関係ない出来事に関する主張を含まないこと
- それが、確かに項目当事者自身で書かれたものであること
本人のブログや個人サイトは、たとえ出典として用いなくても、外部リンクの選び方の観点から、外部リンクや参考文献にリストしても構いません。
当人はプライバシー尊重を望んでいると推定する
ウィキペディアは芸能リポートやスクープ記事のまとめサイトではありません。存命人物の伝記は、慎重に、かつ当該人物のプライバシーに配慮して書くべきです。
公人・著名人
特に著名な公的人物の場合、第三者による情報源から情報を得ることができるので、ウィキペディアの伝記はそれらの情報源の内容を記事化するだけです。
もし、ある記述や事件が有名で本人の業績にとって重要で記載するに値するものであり、信頼できる公表済みの情報源できちんと文書化されているものなら、たとえ否定的なもので当の本人が嫌がろうと、記事に含めるにふさわしいでしょう。
もし信頼できる第三者的情報源によって文書化されていないなら、除去してください。
- 例:「Xは妻(だれそれ)ともめたあげくに離婚をした」 - これは、有名で検証可能でしかもその記事にとって重要なことですか?そうでなければ、除去してください。
- 例:「ある政治家が浮気をしたといわれている。本人は否定するが、『ニューヨーク・タイムズ』はこれを記事にして出版し、スキャンダルが明るみに出た」 - これに関する記述は、ニューヨークタイムズを情報源としたうえで記事に含めてもかまいません。
直接取材した題材は、原則として使うべきではありません。例えば、公的記録で、自宅の評価額、民事裁判の結果、スピード違反の記録、逮捕歴、乗用車や不動産資産などのような個人的詳細情報を直接調べたとしても、ウィキペディアには書かないでください。
使用するのは、信頼できる第三者的情報源のものだけにしてください。もし、X氏の逮捕歴が彼の名声に関連が深いものならば、誰か他の人がそれについて書いているでしょう。
私人・非著名人
ウィキペディアに含めるにはふさわしいが、私人としてのプライバシーは尊重すべき人物の項目があります。
こういう場合、編集者は抑制して、それらの人々の知名度に釣り合う情報だけを記事に含めるようにすべきです。どちらとも決めにくい場合の経験則は、「害にならないことだけをせよ」です。
ウィキペディアは百科事典であって、新聞ではありません。扇情的な速報を伝え、あるいは人々の生活について刺激的な主張を先頭に立って広めることはウィキペディアの果たすべき役割ではありません。
誕生日のプライバシー
ウィキペディアには著名人の正確な誕生日が載っていることがありますが、ほとんどの存命人物の場合、この情報を記載するには注意が必要です。
多くの存命著名人の誕生日は一般に公開され広く知られていますが、それほど著名で無い場合は必ずしもそうとは限りません。
「なりすまし犯罪」が増えつつある中[3]、正確な誕生日は個人情報であると考える人が増えています。
その人物が著名であるかはっきりしない場合、あるいは、項目対象になっている人物からその誕生日の公開について苦情が寄せられた場合、安全側に倒して誕生年だけ書くようにしてください。
生年のカテゴリ分類について
Category:生年不明、Category:生年非公表、Category:生年未記載(隠しカテゴリ)は、それぞれ扱いが異なります。
存命人物が特段の事情により生年不明である場合以外は、以下のどちらかを使用します。
- 「生年非公表」に分類する場合
- 存命人物で、本人またはその所属組織が生年の公表を明示的に拒絶していると認められる場合に使用します。拒絶の意思が表明されているケースとしては、以下のような事例が挙げられます。
- 「公表しない」意思が著書やインタビュー記事、公式サイトなどで明確に示されている場合
- プロフィール欄に「誕生日のみ記載」でなく「某年」や「19XX年」のような記載をしている場合
- 「生年未記載」(隠しカテゴリ)に分類する場合
- 職業の性質上、プロフィール欄で「誕生日のみ記載」が慣例化しているなど本人や所属組織に生年の公表を拒絶する意思が存在するか必ずしも明らかではない場合は「生年未記載」に分類します。「2010年7月時点で満20歳」など、その時点が誕生日の前か後かがはっきりせず生年を特定できない存命人物についても「生年不明」とせず、このカテゴリに分類します。
- このカテゴリに分類されている存命人物の記事で、インタビュー記事や人物事典・タレント名鑑等の出典により生年の情報を補完する場合はそれらを出典として明示してください。ただし、プロフィール上の生年が誤りであったなどの理由で修正または削除される可能性に配慮し、誤った情報の拡散を防止する観点より人物事典・タレント名鑑などについてはできるだけ執筆の時点で最新の版を出典としてください。また、該当する存命人物が著名な活動を開始する前の一般人であった時代の公表を前提としていない資料(卒業アルバムなど)は出典無効として扱います。
上記のいずれも他の方針と同様に存命人物のみを対象とし、故人となった時点で適用を外れます。
批判・あら探し
悪意のある記述
編集者は、伝記や伝記的情報について、悪意ある項目作成や加筆に目を光らせるべきです。誰かが底意ある議題 (agenda) や偏っている観点を押しているように見えるなら、また誰かが底意がある偏った記述を加えようとしているように見えるなら、信頼できる第三者によって公表された情報源を要求し、項目本人の著名性に関連が深いものであることを証明するよう求めてください。
評論家の意見
評論家の見解は、それが項目本人の著名性に釣り合う重要なものでなおかつ百科事典的で、記事に有益で、信頼できる情報源に基づくものならば、記事を損なったり評論家に肩入れするような書き方でない限り明言すべきです。
少数派の意見が一般的であるかのように見せかけたりするなどの、不釣合いな量の加筆はしないように注意してください。
評価は確かな出典がなくてはなりませんし、項目についてのものでなければいけません。
ほかの事に連座しての、執筆者個人による評価・評論・考察・その他独自の見解は(書かないように)警戒してください。
カテゴリの使用について
カテゴリ名は免責事項でも修飾語句でもありません(カテゴリだから信頼できる情報源がなくてもよい、ということにはなりません)。ですからなぜそのカテゴリを採用するかということは、項目本文内で明らかになっていなければなりません。記事には事実を記述すべきであり、その結果としてカテゴリタグが使用されます。それらの事実には出典が必要とされます。
- Category:犯罪者およびその下位カテゴリに加えてよいのは、著名な犯罪が記事内で記述され、その出典が脚注形式で明記されており、かつ懲役1年以上の判決が確定した人物に限ります。
- 宗教のカテゴリは、信頼できる媒体による出典が、脚注形式によって示されている場合にのみ、カテゴライズすることができます。
- 日本人、もしくは日本在住の存命人物の場合、項目の存命人物が本人の意思によりその信仰を広く公表していることが確認することが可能で、信頼できる媒体による出典が脚注形式によって示されている場合にのみ、カテゴライズすることができます(信頼出来る媒体による出典が脚注形式で示されているが、日本人、もしくは日本在住の存命人物本人に、宗旨について広く公表する意思があるかどうか不明な場合、本文記載は可ですが、カテゴライズは不可となります)。
- 性的嗜好のカテゴリは、以下の両方の基準に合わない限り使用すべきではありません。
- 項目人物がその性的嗜好を公表している場合。
- その人物の性的嗜好がその著名な活動や公的人生に重要な関連がある場合。
- その人物の評価が低いと示唆するようなカテゴリをつける場合は注意が必要です。
本人による編集の扱い
ウィキペディアは本人による項目の新規投稿や既存記事への加筆は思いとどまるよう勧めます(Wikipedia:自分自身の記事をつくらない)が、不正確な記述の修正や、不正確、あるいは根拠の無い記述の除去は歓迎します。
IP編集者が存命人物の記事を全部または一部消去する場合は、注意深く判断しなければなりません。項目の個人が特に著名なわけではない場合、そういう編集は通常「荒らし」ではなく、項目当人が偏ったり不正確だったりする記述を取り除こうとしているのです。「最近更新したページ」を監視している人などは、こういう場合、誰を相手にしているのか、注意深く確かめるべきであり、挑発的な要約を書いたり、「荒らし」テンプレートを貼ったりすることは避けてください。
裁定委員会 (Arbitration Committee) は伝記人物本人に配慮した裁定を下してきました。特にその人物がウィキペディアで編集をおこなうようになった場合には。
ウィキペディアに項目がある(またはあってもよい)人は、自分自身の記事についての質疑に関与したい衝動に駆られるでしょう、とりわけ、全く間違っていたり、非常に否定的な情報が含まれていたりすると。これはやや大人気ないふるまいや権威の失墜につながりかねません。この落とし穴に落ちたユーザーを強く非難することは、「新規参加者を苛めないでください」というガイドラインに違反する行いです。 — en:Wikipedia:Requests for arbitration/Rangerdude#Mercyに関するArbitration Committee の裁定(2005年12月18日)より
あなた自身に関する記事の扱いについて
あなた自身に関する記事に疑問や問題がある場合は、info-jaチームにメールしてください。あるいは、そのページの編集者にこの方針(Wikipedia:存命人物の伝記)を示してください。方針の遵守を求める上で助けが必要なら管理者に連絡してください。
なお、ウィキメディア財団(アメリカ)の連絡先は以下の通りです(日本には財団支部またはウィキペディア日本語版を管理する団体はありません)。
脚注
- ^ a b "WikiEN-l Zero information is preferred to misleading or false information" - 題意:誤解を招く情報や虚偽情報はないほうが望ましい。WikiENメーリングリストへのジミー・ウェールズの2006年5月16日の投稿より
- ^ Resolution:Biographies of living people - Wikimedia Foundation
- ^ たとえば identity theft
参考リンク
- wmf:Board of Trustees - 「ウィキメディア財団」の理事会
- wmf:Privacy policy - 「ウィキメディア財団」のプライバシーポリシー
- Foundation-l Board statement regarding biographies of living people - Michael Snow が財団MLに投稿した理事会声明 [Tue 21 Apr 06:04:49, 2009 (UTC)]
関連項目
関連する基本方針
- Wikipedia:中立的な観点(公式方針)
- Wikipedia:独自研究は載せない(公式方針)
- Wikipedia:検証可能性(公式方針)
- Wikipedia:即時削除の方針(公式方針)
- Wikipedia:個人攻撃はしない(公式方針)
- Wikipedia:ウィキペディアは何ではないか(公式方針)
- en:Wikipedia:Libel(英語)
- Wikipedia:名誉毀損(上記の日本語訳)
- Wikimedia:Privacy policy (英語)
- Wikimedia:プライバシー・ポリシー(上記の日本語訳)
- Wikipedia:投稿ブロックの方針#存命人物の伝記
関連するガイドライン
- Wikipedia:スタイルマニュアル (人物伝)
- Wikipedia:論争の解決
- Wikipedia:記事の所有権
- Wikipedia:新規参加者を苛めないでください
- Wikipedia:信頼できる情報源
- Wikipedia:特筆性 (人物)
- Wikipedia:自分自身の記事をつくらない - 自分自身に関する項目については、自分で加筆せずにノートで提案を
- en:Wikipedia:Vanity guidelines
- Wikipedia:出典を明記する
議論のあった存命人物項目
英語版
- en:John Seigenthaler, Sr.(ウィキペディアにおけるシーゲンソーラーの経歴論争)
- en:Sollog
- en:Daniel Brandt
- en:John Byrne
- en:Tom DeLay(トム・ディレイ)
- en:Ashida Kim
- en:Alan Dershowitz
日本語版
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