ロンドンの歴史

現在のロンドン

本項ではロンドンの歴史（英語: History_of_London）について解説する。イギリスおよびこれを構成するイングランドの首都であるロンドンの歴史は、およそ2,000年に及ぶ。 2000年前のローマ帝国によるロンディニウム創建が、都市の起源である。ロンディニウム当時の街の中心部は、現在のシティ・オブ・ロンドン（シティ）にあたる地域にあった。シティの市街壁内の面積は約1平方マイルあり、中世以来その範囲はほぼ変わっていない。

現在ロンドンは世界的な大都市に成長しているが、現在に至るまで、ペストや大火、内戦、空襲、テロなど、様々な事件や災害を経験している。シティ・オブ・ロンドンは、都市全体を見れば小さめのエリアであるが、ロンドンの歴史の中でも重要な存在であり、なおかつ重要な経済地域である。

先史時代・古代・中世

近年の発見によると、現在のテムズ川付近に最初期の入植地があったとされる。1993年、ヴォクスホール・ブリッジの上流で青銅器時代の橋の跡（木材）が見つかった。研究によれば、この木材は紀元前1750年から紀元前1285年ごろにかけてのものであるという。また2001年の調査では、この木材はヴォクスホール・ブリッジの西側、テムズ川南岸の地面に垂直に打ち込まれていることがわかった。2010年、ヴォクスホール・ブリッジの南の前浜で、紀元前4800年〜紀元前4500年のものと思われる大きな木造建築物の基礎が見つかったが、何のためのものであったかは不詳である。これらはいずれも、テムズ川にその支流であるエフラ川が流入する地点の南方にある。

とある考古学者は「考古学的な大規模調査が行われているにも関わらず、鉄器時代の人々の居住の形跡はロンドンでは発見されていないため、既に発見されているロンドンという都市の基礎は、ローマ時代以降のものであると認められる。」としている。

ローマ時代

→「ロンディニウム」も参照

ロンディニウムの範囲

ロンディニウムは、西暦43年の侵略から約4年後にローマ人によって設立された古代ローマ帝国の都市である。 民族が多様な都市で、ブリテン島南部の商業の中心地となり、後のシティ・オブ・ロンドンの原型となった。このロンディニウムの創建が、ロンドンという都市の起源である。

ロンドンはローマと同様に、橋を架けるのに十分なほど狭い川がある都市であり、戦略の対象になりやすく、ヨーロッパの多くの場所に行き来しやすい場所であった。当時のロンドンは、現在のハイド・パークとほぼ同等の面積で、非常に狭かった。そして西暦60年ごろ、ブーティカが率いるイケニ族によって破壊された。しかし都市は、ローマの都市として計画通りにすぐに再建され、10年後に復旧した。都市はその後数十年で急速に成長した。

2世紀の間、ロンディニウムは高度成長の頂点に達し、コルチェスターに代わってブリタンニアの首都となった。当時の人口は約60,000人であった。アルプスの北にある大聖堂や、寺院、浴場、円形劇場、都市の駐屯地などがあった。 3世紀以降は景気などが悪化し、都市が徐々に衰退した。

西暦180年から西暦225年にかけての間に、ローマ人はロンディニウムの周辺に「ロンドン・ウォール」という防御壁を建設した。防御壁は全長約3km、高さ6m、厚さ2.5mであった。

3世紀後半、ロンディニウムはサクソンの海賊によって何度か襲撃された。これにより、約255年以降、川沿いの壁が次々と建設された。壁には門が備えられていたが、伝統的な7つの門のうち、6つはローマ起源であった。

5世紀までに、ローマ帝国は急速に衰退し、西暦410年に、ブリタンニアのローマによる占領は終わった。その後、ローマの都市も急速に衰退し、ローマは5世紀の終わりまでに事実上ロンドンを放棄した。

ルンデンヴィック (5世紀〜1066年)

ルンデンヴィックとは、6世紀からアングロ・サクソン人がローマ人の古い街のわずかに西に築いた開拓地のことである。近年まで、アングロ・サクソン人はロンディニウム周辺を入植地とすることを避けていたと思われていた。しかし、2008年にコヴェント・ガーデンでアングロ・サクソン人の墓地が発見されたため、少なくとも6世紀（もしくは5世紀）にはそこに人が住み始めていたと考えられる。特に、ローマ時代の城壁の外側、現在のストランド（オールドウィッチとトラファルガー広場の間）付近に人口が集中していた。つまり、ルンデンヴィックは現在のコヴェント・ガーデンおよびストランドに相当し、人口は1万人から1万2,000人程度に達した。