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秋の歌 (詩)

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秋の歌フランス語: Chanson d'automneシャンソン・ドートンヌ)とは、フランスの詩人ポール・ヴェルレーヌである。1867年に出版されたヴェルレーヌ初の詩集「サテュルニアン詩集英語版」(Poèmes saturniens)の「哀しき風景」(Paysages tristes)で発表された。[1]日本では上田敏の詩集「海潮音」のなかで「落葉」(らくよう)として紹介され、「秋の日の ヰ゛オロン(ヴィオロン)の ためいきの…」の訳で知られている。

第二次世界大戦時にはノルマンディー上陸作戦の際、フランスのレジスタンスに送る暗号としてこの詩の冒頭が使用された。

内容

原文

Chanson d'automne
Les sanglots longs
Des violons
De l'automne
Blessent mon cœur
D'une langueur
Monotone.
Tout suffocant
Et blême, quand
Sonne l'heure,
Je me souviens
Des jours anciens
Et je pleure;
Et je m'en vais
Au vent mauvais
Qui m'emporte
Deçà, delà,
Pareil à la
Feuille morte.

上田敏による訳(落葉)

上田敏による訳。

秋の日の
ヰ゛オロンの
ためいきの
身にしみて
ひたぶるに
うら悲し。
鐘のおとに
胸ふたぎ
色かへて
涙ぐむ
過ぎし日の
おもひでや。
げにわれは
うらぶれて
ここかしこ
さだめなく
とび散らふ
落葉かな。

第二次世界大戦での使用

1944年6月6日ノルマンディー上陸作戦の際、イギリス・特殊作戦執行部がフランス各地のレジスタンスに工作命令を出すための暗号放送として、「秋の歌」の冒頭が使われ、英国放送協会(BBC)のフランス語放送で流された。

前半の「秋の日の――」と、後半の「身にしみて――」の、それぞれに分けて、「秋の日の――」が近いうちに連合軍の大規模な上陸作戦があることを、「身にしみて――」が、放送された瞬間から48時間以内に上陸作戦が行われることを伝えるものとしていた。

「秋の日の――」は6月1日・2日・3日、午後9時のニュースの中の「個人的なおたより」で流され、「身にしみて――」は6月5日午後9時15分から数回にわたって放送された。しかし、ドイツ側にもこの符牒はリークしており、同じ放送を聴取していた軍はこれを察知、軍内に警報した。フランス防衛を担当する西方軍集団B軍集団、そしてパ・ド・カレー地方にいた第15軍に警報が伝えられたが、ノルマンディー地方にいた第7軍には警報が伝えられなかった[2][3][4][5][6]

参考文献

  1. ^ Séries littéraires: Commentaire de Chanson d'Automne (French)
  2. ^ パウル・カレル「彼らは来た ノルマンディー上陸作戦」P50~P53
  3. ^ Bowden, Mark; Ambrose, Stephen E. (2002). Our finest day: D-Day: June 6, 1944. Chronicle. p. 8. ISBN 978-0-8118-3050-8. http://books.google.com/books?id=N0bswpd6WQAC&pg=PT8 
  4. ^ Hall, Anthony (2004). D-Day: Operation Overlord Day by Day. Zenith. p. 100. ISBN 978-0-7603-1607-8. http://books.google.com/books?id=QFZ8G-SmVk0C&pg=PA100 
  5. ^ Roberts, Andrew (2011). The Storm of War: A New History of the Second World War. HarperCollins. p. 74. ISBN 978-0-06-122859-9. http://books.google.com/books?id=WjzFbcN6r9kC&pg=PR74 
  6. ^ よく誤解されがちだが、これによって「敵が何かを起こす」ということは察知できても、その正確な内容までは不明であり、「それはノルマンディー(あるいは真珠湾)で起きる」というようなことまでは気づけなかった、ということは多い。しばしばある、「わかっていながらなぜ防げなかった」といったような議論は、そのような情報の曖昧さを考慮してないために発生する。

外部リンク