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エアバスA321

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エアバスA320 > エアバスA321

エアバスA321
Airbus A321

など

  • 初飛行1993年3月11日
  • 生産数:908機(2014年3月時点)
  • 運用状況:運用中


Onur Air A321-100型機

エアバスA321Airbus A321)は、エアバス社が開発した、ナローボディジェット旅客機エアバスA320のストレッチ型(長胴型)で、A320ファミリーでは最も大型の機種である。

概要

フィンエアー A321-200

A321ceo

エアバス社では、A320について開発当初からファミリー化を計画していた。1989年5月、最初の派生機種となるA321の計画を発表、同年11月に開発が正式決定した。胴体をA320より主翼の前後で合計6.94m延長し、緊急脱出口の大型化と再配置、機体および装置類の強化、エンジンの推力増加などを行っている。1993年3月に初飛行、1994年2月にルフトハンザドイツ航空へ初めて引き渡された。1995年には燃料タンクを追加して航続距離を延長するなどの改良をしたA321-200が開発されている。

フィンランド航空が、運航中のボーイング757-200の後継機として、2010年6月にA321-200を追加発注した[1]2013年9月より導入する機体には、主翼端にシャークレット(Sharklets)が装備され[2][3]、これが初めてのシャークレット装備A321となった[4]。なお、シャークレットは後付けにも対応している[5]

A321neo(後述)が開発されたことにより、現行型のA321はA321ceo (current engine option) と呼ばれるようになった。

A321neo

ベースとなるA320と同様に、エンジンをCFMインターナショナル社製LEAP-Xエンジン、またはプラット・アンド・ホイットニー社製PW1100Gの高バイパスエンジンへ変更した燃費改良モデルの開発が発表され、2011年8月、インターナショナル・リース・ファイナンス (ILFC) が最初の顧客として25機を発注することを発表した[6]。 シャークレットは標準装備とされ、非常口ドアの追加などで、最大客席数を220席から236席に増やせるオプションも提供される[7]。2016年末から顧客への量産機の引き渡しが始まっている[8]。 客室スペースを最適化し、出口制限に変更を加え、新しい客室ドアを設置することで旅客定員を240名まで増やした型を「A321neo ACF (Airbus Cabin Flex) 」とした[9]

A321LR

2015年1月には、A321neoをベースに最大離陸重量を97トンに引き上げ、航続距離を約7,400kmに延長。ボーイング757の更新需要に対応したA321neo LRの開発も発表されている[10]。2018年1月8日ロールアウト、同月31日初飛行。試験デモ飛行で同年2月13日にパリ郊外のル・ブルジェ空港を出発し、8時間43分後にニューヨークのジョン・F・ケネディ空港へ到着し大西洋横断。長距離デモ飛行で同年4月11日にセイシェルのマヘ島から仏トゥールーズまで、8,797km(4750海里)を11時間かけて飛行した。

A321XLR

2019年6月17日に、A321neoをベースに最大離陸重量を110トンに引き上げ、航続距離を約8,704kmに延長したA321XLRをローンチした[11]。エアバスによると、A321XLRは東京を起点とした場合、シドニーやデリー、アンカレッジなどへ飛行できる性能を持つ機体となる。

型式一覧

機種 認定日 エンジン[12]
A321-111 1995年5月27日 CFM56-5B1 または 5B1/P または 5B1/2P
A321-112 1995年2月15日 CFM56-5B2 または 5B2/P
A321-131 1993年12月17日 IAE Model V2530-A5
A321-211 1997年5月20日 CFM56-5B3 または 5B3/P または 5B3/2P
A321-212 2001年8月31日 CFM56-5B1 または 5B1/P または 5B1/2P
A321-213 2001年8月31日 CFM56-5B2 または 5B2/P
A321-231 1997年5月20日 IAE Model V2533-A5
A321-232 2001年8月31日 IAE Model V2530-A5
A321-251N 2016年5月31日 LEAP-1A32
A321-251NX 2018年3月22日 LEAP-1A32
A321-252N 2017年12月18日 LEAP-1A30
A321-252NX 2018年3月22日 LEAP-1A30
A321-253N 2017年3月3日 LEAP-1A33/35A
A321-253NX 2018年3月22日 LEAP-1A33
A321-271N 2016年12月15日 PW1133G/GA
A321-271NX 2018年3月22日 PW1133G/GA
A321-272N 2017年5月23日 PW1130G
A321-272NX 2018年3月22日 PW1130G

運航状況

世界各国で使われており、一般的なフルサービスキャリアから格安航空会社までさまざまである。アジアの航空会社を中心に、日本路線にA321を投入しているところもある。またアメリカン航空では、ファーストクラスおよびビジネスクラスにフルフラットシートを装備した、世界唯一となる3クラス制のA321をニューヨークサンフランシスコロサンゼルスを結ぶ路線に投入している[13]

日本国内での運用状況

ANA「A321-100 日本の風景」特別塗装機
ANA籍のA321-200 (JA111A)

日本では全日本空輸 (ANA) により1998年3月から導入が開始され、同年4月11日より運航開始[14]。2000年6月にかけて最大で7機がリースで導入され[15]、運航されていた。すでに導入していたA320と異なり、客席上部に日本の航空会社の中小型機材としては初めて、客室内に液晶モニターを設置。8席のスーパーシートを含む191席配置であった。最初の2機は同社の設立45周年(1997年)を記念した特別塗装機「日本の風景」(ANA・エアーニッポン就航地22か所の風景写真をポジフィルム風に掲載[16])として登場するなど、当初は国内亜幹線の主力機として期待されていた。

しかし、同社の方針が変更され、2000年にスーパーシートが廃止されてからは存在が中途半端となり(普通席195席仕様[17])、A320とエンジンが異なり保守コストがかかること(A320はCFM56、A321(1998年 - 2000年導入A321-100)はIAE V2500)や胴体長が長く重心を取りづらいなど使い勝手が悪い中途半端な機材という理由で、ボーイング777-300よりも後に就航したにもかかわらず全機を早期退役させることが決定、当初は2003年度末の予定とされた[18]。ANAロゴに変更されることなく、全機「全日空 All Nippon Airways」ロゴのまま退役となった。退役は計画より遅れたものの段階的に進み、2008年2月29日の863便(羽田→函館)・864便(函館19:00発→羽田20:25着)を最後に営業運航を終了した[17]。なお、同日午前に鳥取発→羽田行の294便(A320)が機材故障で運休となったため、863便の前に急遽羽田発→鳥取行の295便として運航し、294便の振替を兼ねて復路296便として運航した。羽田-鳥取線は初便の就航路線であった[14]。これにより全日本空輸におけるA321の運航は一旦終了した。

その後、2010年代になり、A320ファミリーはエンジンをさらなる高性能エンジンに変更し経済性をあげたneo型が開発され(以降、従来型はceo、改良型はneo表記)、ANAは先代A321-100引退から約6年が経過した2014年3月27日、2017年度からA321neoを23機導入すると発表した[19][20]。さらに2015年1月30日にはA321ceoを4機、A321neoを3機追加発注することを発表し、2015年4月にはエアバスと正式契約を結んだ[21][22]。これによりA321ceoは4機、A321neoは26機発注することとなった。2018年になってA321neo4機が同時期に発注されたA320neo4機へ変更されたことが確認された。

A321ceo(2016年度導入A321-200)は前回(1998年 - 2000年導入A321-100)と異なり、シャークレット装備で搭載され、エンジンはANA運用中のA320ceoと同一のCFM56である。座席数は8席のプレミアムクラスを含む194席でエアバスがA320ファミリー用の新しい客室レイアウトで提供している「スペース・フレックス」を国内初採用した機体[23]となる。A320neo・A321neoのエンジンはIHI三菱重工業川崎重工業なども開発に参画するPW1100G-JMを搭載[15]。ANAはA321ceo・A320neoは2016年度、A321neoは2017年度から就航となるため、neo納入後ceo同士・neo同士では同一のエンジンが導入されるがceoとneoでは違うエンジンのため、整備効率などが悪いが、ANAで購入後にリース会社へ一度売却の上リース契約を結ぶ「セール・アンド・リースバック」で導入していて、A321ceoはA321neo導入までのつなぎとして発注した機材のため、長期運用することを前提としていないが、リース機のため柔軟な運用が可能で2020年に開催される東京オリンピックに伴い予想される国内線旅客増加に対応することが可能となる[24]

2016年10月31日未明、ANAはドイツ・ハンブルク工場製A321-200ceoを途中3カ所経由し羽田に到着受領、当初、11月15日から羽田/広島/羽田/高松/羽田/鹿児島/羽田で運航予定だったが、11月12日に前日に発生したA320ceoトラブルにより、急遽代替機材として羽田/宮崎/羽田/高松/羽田/関空/羽田で就航開始した[25]。2017年9月8日、ANAはA321neoの最初の一機(JA131A)を途中2カ所経由で受領し[26]、12日の羽田-熊本線から国内線に就航させた。前年に投入されたA321ceoと違い、A321neoでは普通席にも個人用モニタを装備している[27]

2018年7月18日にPeach Aviationがエアバスと2016年11月に締結したA320neo10機の購入契約を8機へ変更し、新たに A321LRを2機をアジア初導入し、2020年度に進出する日本と北東アジアの中距離 LCC 事業用の機材として運用する計画を発表した[28]ジェットスター・ジャパンも同年11月27日に、A321LRを3機発注し、2020年の就航を予定していることを発表[29]

機体仕様

(仕様による差異あり)[30]

A321ceo A321neo A321(NX)LR A321XLR
全幅 34.10 m
(シャークレット装備機は35.80m)
35.80m
全長 44.51 m
全高 11.76 m
胴体幅 外部3.96 m/ 内部 3.70 m
乗客座席定員 220 (1-class, 最大)
199 (1-class, 標準)
185 (2-class, 標準)
206 (2-class, 標準) 240 (1-class, 最大)
最大離陸重量 78~93.5 t 80~93.5 t 97 t(計画値) 110 t(計画値)
貨物 (コンテナ) LD-3-46/46Wx10 LD-3-46/46Wx10(最大)
追加燃料タンク増設により減少
貨物 (バラ積み) 51.73 m3 最大51.72 m3
エンジン CFM 56-5B
IAE V2530
CFM LEAP-1A
PW1130G
エンジン推力 133–147 kN (30,000–33,000 lbf) 143.1–147.3 kN (32,200–33,100 lbf) 未発表 未発表
巡航速度 Mach 0.82
航続距離 3,200 nmi (5,900 km; 3,700 mi) 3,500 nmi (6,500 km; 4,000 mi) 4,000 nmi (7,400 km; 4,600 mi)
(計画値)
4,700 nmi (8,700 km; 5,400 mi)
(計画値)
離陸滑走距離 1,650m 1,988m 試験中 試験中
着陸滑走距離 1,550m 試験中 試験中
A321-200
  • 基本座席数:185席前後(2クラス制)、最大220席(1クラス制)
  • 全長:44.51m
  • 全幅:35.8m(シャークレット装備機)
  • 全高:11.76m
  • 胴体直径:3.95m
  • 最大客室幅:3.70m
  • 最大離陸重量:89.0t
  • 最大燃料容量:23,700l
  • 基本空虚重量:47.7t
  • エンジン:CFM56-5/IAE V2500
  • エンジン推力:30,000 - 33,000lb
  • 最大巡航速度:約マッハ0.82
  • 航続距離:4,350km前後(最大5,600km/シャークレット装備機は最大5,950km)
  • 貨物:バルク(バラ積み)51.76m3,コンテナLD-3-46/46Wx10

事故・事件

脚注

出典

  1. ^ Finnair makes green choice with new engine supplier IAE selected to equip Airbus A321 extended range aircraft joining fleet in 2013”. フィンランド航空 (2012年9月20日). 2014年3月29日閲覧。
  2. ^ Finnair will A321 mit Sharklets bestellen”. airliners.de (2010年6月10日). 2014年3月29日閲覧。
  3. ^ Finnair to launch sharklet-equipped A321”. Flightglobal (2010年6月10日). 2014年3月29日閲覧。
  4. ^ Finnair first to commit to A321s with Sharklets”. エアバス (2010年6月10日). 2014年3月29日閲覧。
  5. ^ ターキッシュ エアラインズ、A321にシャークレット後付け作業を実施”. FlyTeam (2013年12月6日). 2014年3月28日閲覧。
  6. ^ ILFC selects 100 A320neo Family aircraft”. エアバス (2011年3月8日). 2014年3月28日閲覧。
  7. ^ エアバス、A321neoに客室スペースの効率化で座席数を増やせるオプションを追加”. レスポンス (2013年1月31日). 2014年3月28日閲覧。
  8. ^ エアバス、最新旅客機「A321neo」の初飛行に成功 - 今年末に納入開始予定”. 2016年5月28日閲覧。
  9. ^ エアバス、客室ゆったりのA321neo初号機ロールアウト オプション設定機
  10. ^ エアバス、A321LRをローンチ ALCから30機を受注”. フライチーム (2015年1月13日). 2015年2月1日閲覧。
  11. ^ エアバス、超長距離型「A321XLR」ローンチ 単通路で世界最長、23年納入へ”. Aviation Wire. 2019年6月24日閲覧。
  12. ^ EASA TYPE-CERTIFICATE DATA SHEET Airbus A318, A319, A320, A321 Single Aisle
  13. ^ 最新機材の導入により、さらなる発展を 全てのクラスで体験できる、最新の機内サービス”. アメリカン航空. 2014年3月28日閲覧。
  14. ^ a b 全日空、エアバスA321の運航を開始 〜4月11日に日本の空へデビューします〜”. 全日本空輸 (1998年4月9日). 2014年4月5日閲覧。
  15. ^ a b ANA、2008年以来のA321を導入へ エンジン換装型A321neoを32機”. フライチーム (2012年3月28日). 2014年3月29日閲覧。
  16. ^ "A321" と "B777-300"を特別塗装で導入 〜 全日空の新機種がカラフルにデビューします 〜”. 全日本空輸 (1997年12月4日). 2014年4月5日閲覧。
  17. ^ a b ありがとう、エアバスA321型機 〜2月29日(金)エアバスA321が函館→羽田線を最後に退役いたします〜”. 全日本空輸 (2007年12月27日). 2014年4月5日閲覧。
  18. ^ 中期経営計画におけるグループ機材計画の修正ならびに人事・組織体制の刷新について”. 全日本空輸 (2001年3月28日). 2014年4月5日閲覧。
  19. ^ ANA、777-9XとA321neoなど70機発注 過去最大の投資規模”. Aviation Wire (2012年3月27日). 2014年3月28日閲覧。
  20. ^ 固定資産(航空機)の取得に関するお知らせ”. 全日本空輸 (2014年3月27日). 2015年1月30日閲覧。
  21. ^ A320ファミリーの機体数が日本でさらに拡大”. エアバス (2015年1月30日). 2015年1月30日閲覧。
  22. ^ "固定資産(航空機)の取得に関するお知らせ" (PDF) (Press release). ANAホールディングス. 30 January 2015. 2015年1月30日閲覧
  23. ^ ANA、A321ceo初号機が羽田到着 上級クラスに電動新シート
  24. ^ ANA、787-10など15機発注へ”. Aviation Wire (2015年1月30日). 2015年1月31日閲覧。
  25. ^ ANA、A321の「JA111A」を11月12日に定期便で運航開始 3路線に投入
  26. ^ /20170907.html 国内線仕様機としてはANA初、全席シートモニター装着のA321neo導入(ANA NEWS 2017年9月7日)
  27. ^ ANA、A321neo国内初就航 電源と個人モニター装備Aviation Wire 2017年9月12日)
  28. ^ アジア初!エアバス A321LR を導入 ~北東アジアの中距離 LCC の歴史を築く第一歩~
  29. ^ ジェットスター・ジャパン 次なる成長フェーズにむけてエアバス A321LR の導入を決定ジェットスター・ジャパンプレスリリース2018年11月27日
  30. ^ Airport and Maintenance Planning AC A321 / A321neo May 2017

関連項目

外部リンク