Turn-On
Turn-On | |
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ジャンル | スケッチ・コメディ |
原案 |
Ed Friendly George Schlatter |
出演者 |
Tim Conway (ゲスト司会者) Teresa Graves Hamilton Camp Mel Stewart Chuck McCann Bonnie Boland Maxine Greene Ken Greenwald Debbie Macomber Maura McGiveney Robert Staats |
国・地域 | アメリカ合衆国 |
話数 | 2 (1 episode unaired) |
各話の長さ | 24–25分 |
製作 | |
製作総指揮 |
Ed Friendly George Schlatter |
プロデューサー | Digby Wolfe |
放送 | |
放送チャンネル | ABC |
放送期間 | 1969年2月5日 | - 放送中
Turn-Onは、1969年2月にアメリカン・ブロードキャスティング・カンパニーで放送されたアメリカ合衆国のスケッチ・コメディ番組である。 元々この番組は2話放送される予定だったが、1話目が放送された直後に打ち切られたため、テレビの歴史の中でも最低の番組の一つとして知られている。
Turn-Onの第1話は1969年2月5日の午後8時30分(東部標準時)に放送された。この時の出演者は、テレサ・グレイブス(その年の秋に en:Rowan & Martin's Laugh-Inという別の番組にも出演している)、ディズニー作品やハンナ・バーベラ作品への出演で知られる歌手兼声優のハミルトン・キャンプ、子供向け番組の司会者としても知られる性格俳優兼声優のチャック・マッキャンであり、ゲスト司会者はティム・コンウェイが務めた。また、構成作家チームの中には、若いころのアルバート・ブルックスもいた。
背景
この番組は en:Rowan & Martin's Laugh-Inのプロデューサーであるエド・フレンドリーとジョージ・シュラッターが制作した。 ブリストル・マイヤーズ スクイブはこの2人と番組制作の契約を結んでおり、NBCとCBSにそれぞれ放送を持ちかけるも断られ、最終的には、ABCと13週間放送するという契約を結んだ。 CBSの役員は「映像の切り替わりが速く、光過敏性発作を起こす視聴者が出てくるおそれがあるため、放送を断った」とのちに述べている。
この番組の製作総指揮を務めたディグビー・ウルフはこの番組を、「アニメーションやビデオテープ、ストップモーション・アニメーション映像、電子的な歪み、コンピュータグラフィックなどを通じて、視覚と感覚へコミカルな刺激を与えるものである」と称している[1][2] 。
制作
番組の制作にはコンピュータが多用された。BGMはモーグ・シンセサイザーで演奏した曲が使われ、白い背景以外には何もセットがなかった。 Laugh-In とは異なり、この番組は「コメディ要素として、ほぼセックスだけに焦点を当てた」内容となっているため[3]、矢継ぎ早のジョークや、きわどい風刺が多用された一方、笑い声は収録されなかった。また、この番組は生放送をしたりビデオテープに録画するかわりに、フィルムに収録された。一部のジョークは、コミック・ストリップのコマ割りのように、4つのスクリーンに分割される形で現れた。通常のテレビ番組ではクレジットが番組の冒頭か末尾に現れるのに対し、この番組はCMの前後に現れる方式をとっていた。
反応
ゲスト司会者であるティム・コンウェイは「全米に向けて放送している間に番組が打ち切られたため、出演者やスタッフはその場に立ち尽くしていた」と振り返っている[4][5] 。
オハイオ州クリーヴランドの放送局であるWEWS-TVは最初のCMに入った後、番組を再開させなかった [4] (コンウェイは放送開始から11分後に番組を打ち切ったと述べている[5])
WEWS-TVはネットワーク局であるABC宛に「あなたのところのやんちゃな少年たちが壁に汚い言葉を書かずにいられないようであれば、我々の壁を使わないでください。我々WEWSはこのようなことが起きる懸念を持って、Turn-Onの放送を取りやめます」と、抗議の電報を送った[6][7]。
オレゴン州ポートランドのKATU、ワシントン州シアトルのKOMO-TV、コロラド州デンバーのKBTVといった、西部標準時を採用する他の放送局もこの番組を見て放送しないことを決定した[8]。このうち KBTVは「この番組は大多数の視聴者の神経を逆なでしかねないという考えから、我々はこの番組を放送しないことに対するためらいはありません」と述べている[8] 。
アーカンソー州リトルロックのKATVは番組の内容に難色を示しつつも放送を決定した結果、視聴者から抗議の電話が殺到した[6]。
ニューヨークタイムズとAP通信は、番組に対して否定的な評価を下した[6]。
ABCの役員はこの番組が失敗であったことを認め、「スマザーズ・ブラザーズや en:Rowan & Martin's Laugh-In、ディーン・マーティンといったコメディ番組も信じられないほどきわどい番組だったが、面白くて人気があったため、Turn-Onほど騒ぎにはならなかった」と述べている[9] 。
TV GuideはTurn-Onの打ち切りを今シーズン一の爆弾と呼び、CBSとNBCはこの番組の質が悪かったから放送を拒否しており、性的要素に嫌悪感を覚えた視聴者が番組を見るのをやめたという見方を示した[10]。
TV Guideは、ある人の意見として「視聴者と一体になって番組を作ろうという気を感じられず、変人どもを一か所にまとめあげただけで視聴者の信頼を侮辱した感じがした」という言葉を取り上げ、「司会者かその相手のどちらかが番組の質を落としたないか」という考えを示した
2008年、コンウェイは Turn-Onが時代を先取りしすぎたとし、「番組放送から時がたった現在の視聴者は、当時と同じような思いをるかどうかわからない」と述べた[4] バート・アンドリュースは1980年に書いたThe Worst TV Shows Everという本の中で、「Turn-Onは Laugh-Inのもともとのコンセプトを忠実に再現した」と評価した。 また、カウンター・カルチャーコメディ番組の愛好者である小説家ハーラン・エリスンは、1969年に刊行された Los Angeles Free Pressの中で「悪い番組ではないけど、洗練された番組でもない」と評した
1969年2月7日、ABCはTurn-Onの放送を休止することを明らかにし、2月12日に放送される予定だった分については"ABC Wednesday Night Movie"として『オスカー』が元の放送枠より30分早めに放送することを決定した[11] 。
On February 7, ABC announced that Turn-On would go on hiatus. Instead of the scheduled February 12 episode, the ABC Wednesday Night Movie (The Oscar, screenwritten by Ellison and itself a notorious flop) would start 30 minutes early.-->
TV Guideは2月12日に放送されるはずだった回にはロバート・カルプと当時彼の妻だったフランス・ニュイエンが司会を務める予定だったとしている[6][1]。
2月10日、ABCは番組の打ち切りを正式に発表した。
この決定を受け、 WEWS, KBTVとKATV はABCに番組の放送を再開しない旨を伝え、他の放送局もこの番組を放送するだけの予算がないことから、同じく番組の放送を打ち切る旨をABCに伝えた[6] 。
番組放送中、ABCの交換台の人員が20人だったのに対し、かかってきた抗議の電話は369件だった。 ABCの役員はスポンサーであるブリストルマイヤーズに対して番組を受け入れることができなかった旨を伝え、ブリストルマイヤーズはシュラッターとフレンドリーに番組を打ち切るよう命じた[2]。
結局Turn Onが割り当てられていた放送枠には、 1966年に放送を終了したThe King Family Showが放送再開という形で割り当てられた。メインキャラクターであるアーチー・バンカーが口汚い頑固親父という設定だったため、"Turn-On"の時と同じように視聴者を不愉快にさせることを恐れたABCがノーマン・リアーの書いた脚本をはねのける事態が発生した。この没になった脚本をCBSは気に入り、1971年にAll in the Familyとして放送した.[12][13]。
2002年、Turn-OnはTV Guideの「史上最悪のテレビ番組ワースト50」(50 Worst TV Shows of All Time)の第27位にランクインした
[14]ほか、What Were They Thinking?: The 100 Dumbest Events in Television Historyの第25位にランクインした[15]。
関連項目
脚注
- ^ a b "Bob MacKenzie...On Television..", Oakland Tribune, February 11, 1969, pB-24
- ^ a b “'Turn-On' Turned Off By ABC”. The Schenectady Gazette. Associated Press: pp. 16. (1969年2月10日) May 5, 2011閲覧。
- ^ Levine, Elana (2007). Wallowing in Sex: The New Sexual Culture of 1970s American Television. Duke University Press. pp. 173. ISBN 0-8223-3919-6
- ^ a b c Conway, Tim. PIONEERS OF TELEVISION: Tim Conway on "Turn-On" (#104) (Web). Public Broadcasting Service. 2009年2月23日閲覧。
- ^ a b Associated Press (1975年7月6日). “Comedian Tim Conway Will Join 'The Carol Burnett Show' As Regular Member” April 19, 2011閲覧。
- ^ a b c d e Associated Press (February 8, 1969). “Stations Turn Off 'Turn On'” April 19, 2011閲覧。
- ^ The Plain Dealer: "WEWS-TV Turns Off 'Turn On'", February 6, 1969, via Cleveland Classic Media's Facebook page.
- ^ a b “'Turn On' Turned Off”. Eugene Register-Guard: pp. 3A. (1969年2月6日) May 5, 2011閲覧。
- ^ Buck, Jerry (1969年2月14日). “'Turn On' Producer Denies Bad Taste”. St. Petersburg Times. Associated Press: pp. 13-D February 20, 2012閲覧。
- ^ Richard K. Doan and Joseph Finnigan, "The Show That Died After One Night: The Inglorious History of 'Turn-On,' a $1,000,000 TV Disaster", TV Guide, May 17–23, 1969, p.6
- ^ “Turn-On Is Switched Off While ABC Reconsiders”. New York Times. (1969年2月8日)
- ^ Gitlin, Todd (2000). Inside Prime Time. University of California Press. pp. 212. ISBN 0-520-21785-3
- ^ Neuwirth, Allan (2006). They'll never put that on the air: an oral history of taboo-breaking TV comedy. Allworth Communications, Inc.. pp. 132–133. ISBN 1-58115-417-8
- ^ “50 Worst Shows of All Time”. TV Guide. (2002).
- ^ Hofstede, David (2004). What Were They Thinking: The 100 Dumbest Events in Television History. Back Stage Books. pp. 150–151. ISBN 0-8230-8441-8