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チオシアン酸アンモニウム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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チオシアン酸アンモニウム
ammonium thiocyanate
識別情報
CAS登録番号 1762-95-4 チェック
PubChem 6857883
RTECS番号 XN6465000
特性
化学式 NH4SCN
モル質量 76.122 g/mol
外観 吸湿性のある、無色の結晶性固体
密度 1.305 g/cm3
融点

149.5 °C

沸点

170 °C (分解)

への溶解度 128 g/100 mL (0℃)
アンモニアアルコールアセトンへの溶解度 可溶
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

チオシアン酸アンモニウム: ammonium thiocyanate)はチオシアン酸のアンモニウム塩で、化学式NH4SCNで表される化合物。

用途

除草剤チオ尿素マッチ、合成樹脂の製造原料のほか防錆や繊維の染色にも用いられる。

製造

二硫化炭素アンモニア水から、中間体であるアンモニウムジチオカルバメートを経て、チオシアン酸アンモニウムと硫化水素が得られる。

CS2 + 2 NH3(水溶液) → NH2C(=S)SNH4 → NH4SCN + H2S

反応

空気中では安定しているが、加熱によりチオ尿素を生じる。

平衡混合物として、150℃で30.3%、180℃で25.3%のチオ尿素を含む。乾燥状態で200℃まで加熱すると、アンモニアや硫化水素、二硫化炭素、チオシアン酸グアニジンを生じ分解する。チオシアン酸アンモニウムは弱酸性であり、水酸化ナトリウム水酸化カリウムとの反応により、それぞれチオシアン酸ナトリウムチオシアン酸カリウムを生じる。と反応し、赤色のチオシアン酸鉄錯体を生じる。

6 SCN- + Fe3+ → [Fe(SCN)6]3-

亜鉛水銀などの金属イオンと反応し、チオシアン酸塩の沈殿を生じる。

脚注

  1. A. F. Wells, Structural Inorganic Chemistry, 5th ed., Oxford University Press, Oxford, UK, 1984.