正典化
正典化(せいてんか)、とは、宗教的な文書が何らかの権威によって正典化されていくことを指す。宗教一般において多くは他宗教や同じ宗教内で異なる教義を奉じる派から、自派を差別化するために正典を定める動きが生じる。段階的にこの正典が定まっていく過程を正典化と呼ぶことがある。正典化に際して、最終的に正典に含まれないものとして排除された文書を外典(経外典)という。
ユダヤ教
「モーセ五書」は、紀元前4世紀頃には正典的な権威が与えられていた。「ヨシュア記」「士師記」「サムエル記」「列王記」の4書は、その後まもなく正典的な扱いを受けた。これをユダヤ教では「前の預言書」という。「後の預言書(イザヤ書など預言者の記録)」「諸書(詩歌、知恵文学など)」は、紀元前2世紀頃に正典的な地位が確立され、ユダヤ戦争後にユダヤ教を再編した1世紀の終わりごろのヤムニア会議で正典が確認された。このヘブライ語本文を、8世紀以降、マソラ学者が母音記号等を加えて編集したものがマソラ本文で、全24書である。現在のところ、これを印刷体で出版したBHS(Biblia Hebraica Stuttgartensia、1967/1977年の略)が最も標準的なテキストとして利用されている。
キリスト教
3段階正典化説では、聖書は三段階で正典化されていったのであり、旧約よりも新約の正典化の方が早かったとされる。
自由主義神学の聖書学者は、人間的な基準によって聖書正典が決定されたとする[1]。聖書信仰の福音派では、聖書は聖書記者によって書かれたときから正典としての権威があったと認め、人間的な会議、公会議に権威をおかずに、聖書のみに最終的権威をおくため、正典化説が退けられている[2][3][4][5][6]。
イスラム教
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脚注
- ^ 『新聖書辞典』p.722
- ^ R. D. Wilson, The Rule of Faith and Life, in The Princeton Theological Review
- ^ 『キリスト教神学入門』p.224
- ^ 『新聖書辞典』いのちのことば社
- ^ 尾山令仁 『聖書の権威』日本プロテスタント聖書信仰同盟
- ^ 内田和彦『神の言葉である聖書』近代文芸社
参考文献
- 『書物としての新約聖書』田川建三 勁草書房 1997年
- 『旧約新約聖書時代史』教文館 山我哲雄 2008
- 『キリスト教大辞典』日本キリスト教協議会NCC
- 『私たちにとって聖書とは何なのか-現代カトリック聖書霊感論序説』和田幹男 女子パウロ会
- 『旧約聖書の生い立ちと成立』榊原康夫 いのちのことば社
- 『新聖書辞典』いのちのことば社
- 『聖書の権威』尾山令仁 日本プロテスタント聖書信仰同盟