長崎スタジアムシティ
長崎スタジアムシティ(ながさきスタジアムシティ、英: NAGASAKI STADIUM CITY)[1]は、長崎県長崎市幸町においてジャパネットホールディングスが主導する認定民間都市再生事業計画「長崎スタジアムシティプロジェクト」[2]により整備された、スタジアム・アリーナ・商業施設等を中心とした都市再開発地区。
概要
[編集]三菱重工業が所有していた長崎造船所幸町工場の事業を他工場に移転し施設を閉鎖するにあたり「『Smart & Sustainable』なまちづくりを先導する拠点」をコンセプトに当該土地の活用事業者ならびに事業計画の公募を行った[3][4]ところ、2018年にジャパネットホールディングス(ジャパネット)とジョーンズ・ラング・ラサール (JLL) グループ、竹中工務店の3社で結成された「ジャパネットホールディングスグループ」が三菱重工業との優先交渉権を獲得し[5]事業が始められたものである。同年11月には工場敷地68,746.58平方メートルをジャパネットホールディングスが取得する不動産売買契約を締結[6]し、2019年6月にはジャパネットが事業の企画運営を担う子会社「株式会社リージョナルクリエーション長崎」を設立[1]。ジャパネットホールディングスが事業主となり、リージョナルクリエーション長崎が企画運営、JLLグループ(JLLおよび子会社のJLLモールマネジメント[注釈 1])がプロジェクトマネジメントを、環境デザイン研究所・安井建築設計事務所が基本設計を、三菱地所設計がコンストラクション・マネジメントをそれぞれ担当する[7]。
2022年6月26日に起工し[8]、2024年秋の開業を目指して整備が進められ[9]、2024年10月14日にグランドオープンし、開業日にちなんだ1014人によるテープカットで開業を祝った[10]。開業に当たっては、長崎市出身の俳優・シンガーソングライターの福山雅治が、プロジェクトのPR責任者となる「クリエイティブプロデューサー」に就任し[11]、グランドオープン前日の2024年10月13日には「こけら落としライブ」として無料ライブが開催された[12]。
事業概要
[編集]サッカーやバスケットボールなどのプロスポーツを一年間通じて楽しめるほか、音楽コンサートなど文化イベントも開催できるサッカースタジアムとアリーナを主体とした複合施設を開発するというもの[2]で、ホテルやオフィスを併設する計画となっている。最終的に総事業費は約1000億円となった[13]が、行政からの負担を一切受けない純民間事業として実施されており、ジャパネットが借り入れを含めて事業費の全額を拠出している[14]。
スタジアム・ホテル
[編集]収容人員2万人の球技専用スタジアムで、ジャパネット傘下のV・ファーレン長崎のホームスタジアムとして使用する。ホテル棟・商業棟共々、詳細設計・施工は竹中工務店が担当[15]。
全周(四辺)二層式のスタンドは全個席で、ピッチとの距離は日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)のスタジアム規定ギリギリの5m[16]。チームのベンチは欧州のスタジアムで見られるようなスタンド埋め込み型を予定している。基本設計を担当した環境デザイン研究所会長の仙田満は、国内外に例のないコンコース開放型施設を目指していると述べている[9]。
バックスタンドの構造物はホテル「STADIUM CITY HOTEL NAGASAKI」と一体となっており、7割のホテル客室からスタジアムが見える「スタジアムビュー」のホテルとなっている。
2022年12月19日、長崎スタジアムシティプロジェクトにおけるジャパネットホールディングスと電気通信大手のソフトバンクとの連携(ICTパートナーシップ)の一環として、スタジアムの命名権を同社が取得し、スタジアムの名称を『PEACE STADIUM Connected by SoftBank』(ピース スタジアム コネクテッド バイ ソフトバンク、略称『ピースタ』)とすることを明らかにした[17]。
アリーナ
[編集]当初の計画に盛り込まれていなかったが、ジャパネットが出資してプロバスケットボールクラブ「長崎ヴェルカ」を発足させ、そのホームアリーナとしての使用を想定している[18]。エネルギーセンター棟共々、詳細設計・施工を戸田建設が担当する[15]
2026-27シーズンからの開幕を予定しているB.LEAGUE PREMIER(新Bリーグ1部相当)の示すホームアリーナ基準に準拠した5,000人収容規模の多目的アリーナで、イベントの種類によって天井や壁、観客席の配置を一部変更することが出来る構造としている。ヴェルカの練習場として使用されるサブアリーナを併設する。
2023年10月23日、アリーナの整備についてコカ・コーラボトラーズジャパンとパートナーシップ契約を締結し、アリーナの名称を『HAPPINESS ARENA』(ハピネスアリーナ)とすることを発表した[19]。
商業施設
[編集]スタジアム南側に地上8階建てのショッピングモール「スタジアムシティサウス」を設ける。開業時点では長崎初出店の店舗を含む49店舗が出店予定[20]。
サウナを中心とした温浴施設も併設される[21]。
オフィス
[編集]スタジアム北側に地上11階建てのオフィス棟「スタジアムシティノース」を配置する。
2022年7月、オフィス棟の第1号テナントとして、長崎大学が構想している情報データ科学分野の大学院のキャンパスが入居すると発表された[22]。
その他
[編集]スタジアムシティノースからスタジアムシティサウスに向けてジップラインが設けられており、スタジアム上空を通過する体験が出来る(スタジアムを使用していない日に限り利用可能)[23]。
アクセス
[編集]- JR長崎駅から徒歩10分
- 長崎電気軌道 長崎駅前停留場・浦上駅前停留場から1号系統・3号系統で「スタジアムシティサウス停留場」下車徒歩6分または「スタジアムシティノース停留場」下車徒歩3分
- 長崎バス「ココウォーク茂里町」バス停下車徒歩5分
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 現:JLLリテールマネジメント。
出典
[編集]- ^ a b “グループ会社情報 リージョナルクリエーション長崎”. 2021年5月15日閲覧。
- ^ a b 『スタジアムを核とした大規模プロジェクトから、新しいまちの誕生 ~長崎スタジアムシティプロジェクトを国土交通大臣が認定~』(プレスリリース)国土交通省都市局まちづくり推進課、2021年3月25日 。2021年5月15日閲覧。
- ^ 『長崎造船所幸町工場の跡地活用に関するお知らせ』(プレスリリース)三菱重工業、2017年1月31日 。2021年5月15日閲覧。
- ^ 『長崎造船所幸町工場の跡地活用に関する事業計画案募集の件』(プレスリリース)三菱重工業、2017年4月24日 。2021年5月15日閲覧。
- ^ 『ジャパネットが提案する「長崎を生きる楽しさ」を! ~長崎・幸町工場跡地活用事業に向けた優先交渉権獲得のお知らせ~』(PDF)(プレスリリース)株式会社ジャパネットホールディングス、2018年4月26日 。2021年5月15日閲覧。
- ^ 『⻑崎・幸町工場跡地 不動産売買契約締結のご報告 ~「長崎を生きる楽しさ」を実現するスタジアムを中心としたまちづくりへ~』(PDF)(プレスリリース)株式会社ジャパネットホールディングス、2018年11月1日 。2021年5月15日閲覧。
- ^ 『長崎スタジアムシティプロジェクト進捗のご報告 ~基本設計完了~』(プレスリリース)株式会社ジャパネットホールディングス、2020年12月18日 。2021年5月15日閲覧。
- ^ “長崎スタジアムシティが着工/施工は竹中、戸田、松尾/ジャパネットHD”. 建設通信新聞. 2022年7月12日閲覧。
- ^ a b “世界初のコンコース開放型スタジアム、長崎にジャパネットグループが建設”. 日経XTECH (2021年2月24日). 2021年5月15日閲覧。
- ^ “長崎スタジアムシティ 「日本一長い」1014人のテープカットで開業”. FNNプライムオンライン(テレビ長崎取材) (2024年10月14日). 2024年10月14日閲覧。
- ^ 『福山雅治がクリエイティブプロデューサーに就任 地元長崎のため地域創生 CM 制作を総指揮 ~長崎スタジアムシティプロジェクトにおける新スローガン「N team」始動を宣言~』(プレスリリース)ジャパネットホールディングス、2022年6月26日 。2024年6月8日閲覧。
- ^ 「長崎で福山雅治さん無料公演 新スタジアムに招待客集結」『日本経済新聞』2024年10月13日。2024年10月14日閲覧。
- ^ “プロジェクト概要”. 長崎スタジアムシティ. 2024年10月7日閲覧。
- ^ 堤之剛 (2018年4月27日). “ホテルやマンション併設… 異例のスタジアムパーク構想”. 朝日新聞 2018年4月28日閲覧。
- ^ a b 『長崎スタジアムシティプロジェクト進捗のご報告 ~実施設計者および施工予定者における優先交渉権者選定のお知らせ~』(プレスリリース)株式会社ジャパネットホールディングス、2021年4月28日 。2021年5月15日閲覧。
- ^ 『長崎スタジアムシティプロジェクト進捗のご報告 ~最高の観戦体験を提供する、日本一ピッチに近いスタジアム~』(プレスリリース)株式会社ジャパネットホールディングス、2021年3月10日 。2021年5月15日閲覧。
- ^ 『ジャパネットとソフトバンクが長崎スタジアムシティプロジェクトで連携』(プレスリリース) 。
- ^ 『長崎スタジアムシティプロジェクト進捗のご報告 ~長崎にスポーツ・音楽・エンターテイメントの感動を届けるアリーナへ~』(プレスリリース)株式会社ジャパネットホールディングス、2021年1月26日 。2021年5月15日閲覧。
- ^ 『長崎スタジアムシティ 新アリーナの名称が「HAPPINESS ARENA」に決定! ~多種多様なイベントを通じ、たくさんのハピネスを生み出す場所をコカ・コーラ ボトラーズジャパンと共に創る~』(プレスリリース)ジャパネットホールディングス、2023年10月23日 。2024年1月28日閲覧。
- ^ 『長崎初出店を含む新規8店舗と長崎スタジアムシティ直営回転寿司の店舗名を公開! これまでに発表したグルメ・ショップ・サービスなど、計49店舗が決定!今後も続々発表!』(プレスリリース)長崎スタジアムシティ、2024年7月25日 。2024年10月2日閲覧。
- ^ 『長崎スタジアムシティの温浴施設「YUKULU」第2段発表、こだわりのサウナを初公開! 「光と音」「瞑想」「和華蘭」テーマのサウナで極上のととのい体験 ~サウナの日(3/7)にちなみ、SNSでプレゼントキャンペーンも開催~』(プレスリリース)長崎スタジアムシティ、2024年3月7日 。2024年10月2日閲覧。
- ^ “長崎スタジアムシティに大学院 長崎大学、情報科学分野”. 日本経済新聞. 2022年7月12日閲覧。
- ^ “長崎スタジアムシティ「ジップライン」は鳥になった気分!「ホテル」はスタジアムビューの眺めで日本初がいっぱい”. FNNプライムオンライン(テレビ長崎取材) (2024年10月2日). 2024年10月2日閲覧。
関連項目
[編集]- 長崎県立総合運動公園陸上競技場 - スタジアムシティ開業前のV・ファーレン長崎のホームスタジアム
- 長崎県立総合体育館 - スタジアムシティ開業前の長崎ヴェルカのホームアリーナ
- 都市再開発#市街地再開発事業