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燕三条LSA共同開発プロジェクト

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

燕三条LSA共同開発プロジェクト(つばめさんじょうLSAきょうどうかいはつプロジェクト)は、新潟県燕三条地域の企業群によって進められている軽量スポーツ航空機(LSA)の開発事業。

概要

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吉田宗玄を社長とする[1][2][3]ATRヤマトが、2007年平成19年)の設立以来単独で進めてきたLSAの研究開発を前身として[3][4][5]燕三条地場産業振興センター内の「航空機産業参入研究会」の分科会とする形で、2012年(平成24年)春にプロジェクトが開始された[5]。開発にはATRヤマトを中心に、ツバメックス小林製作所戸塚金属工業ミッドミノルプレス工業所の計6社が参加している[5]。また、空力設計には富士重工業川崎重工業新明和工業のOBが外部協力エンジニアとして携わっている[2]

2008年(平成20年)3月21日には紙製のLSAの原寸大モックアップが公開され[5]、2012年[1][5]11月12日には[5]中之島県央ラジコンクラブの協力のもと、信濃川河川敷の[6]中之島ラジコンスポーツ広場にて[5]1/3スケールのLSAの無線操縦実験機が初飛行した[1][5][6]。その後は、無線操縦実験機の試験飛行に加えてLSAの試作1号機の製作が開始され[5]2013年(平成25年)6月には詳細設計に着手[3]2015年(平成27年)度までにメインフレーム、主翼および尾翼、ランディングギアの製作と組立などが完了しているが[7]2016年(平成28年)を予定していた試作機の初飛行[4]は遅れ、2024年令和6年)の時点でもATRヤマトにて製作途中の段階にある[1]。なお、2015年には「燕三条ものづくりメッセ2015」で[4][5]2017年(平成29年)にはATRヤマトの社屋前で製作途中の試作機が展示されている[5]

プロジェクトで開発されているLSAは、日本におけるLSA関連の法整備の遅れもあって[1]、北米市場を主なターゲットと見据えている[4][5][7]。日本国内で飛行させる場合は「試験飛行」のみが可能とされる[5]アルミニウムを機体材質とし[5]エッチ・ケー・エス製の小型エンジンを使用した純国産機であり、東京 - 大阪間を飛行できる程度の航続力を持つ[2]。市販の際にはキットプレーンとして販売され、価格は80,000ドル以下を予定している[5]

LSAの諸元

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出典:「LSA開発」、「株式会社ATRヤマト」

  • 全長:約6 m
  • 翼幅:約8.3 m
  • 全高:約2.4 m
  • 乾燥重量:約250 kg
  • エンジン:HKS 700E英語版 空冷水平対向2気筒[8](排気量約700 cc)× 1
  • 最大速度:145 km/hr
  • 巡航速度:130 km/hr
  • 乗員:2名

脚注

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  1. ^ a b c d e 「まずは試作1号機! 「空を飛ぶこと自体が人類の夢」ものづくりのまちから世界へ 新ジャンルの飛行機で“羽ばたく”夢」
  2. ^ a b c 「株式会社ATRヤマト」
  3. ^ a b c 「吉田 宗玄」
  4. ^ a b c d 「小型航空機に燕三条から世界への夢を乗せて」
  5. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 「LSA開発」
  6. ^ a b 「新潟・燕参上の小型飛行機LSA・・・ラジコン実験機初飛行!」
  7. ^ a b 「助成制度(開発補助金)の成果品【2015年度事業】」
  8. ^ ライトスポーツエアクラフトエンジン事業”. エッチ・ケー・エス. 2024年5月28日閲覧。

参考文献

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関連項目

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