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海軍砲艀

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Ⅰ型海軍砲艀 (Marinenartillerieleichter Typ I)
基本情報
艦種 上陸用舟艇輸送艇
建造所 クルップ社ラインハウゼンドイツ語版工場
運用者 ドイツ海軍
建造期間 1942年~1943年
就役期間 1943年~1945年
建造数 12
次級 Ⅰa型海軍砲艀 (MALⅠa)
要目
排水量 140 トン
全長 34,2 m
最大幅 7.72m
吃水 0.87m
機関方式 6気筒4ストロークディーゼルエンジン×2基
推進器 2基
出力 260馬力
最大速力 8.5ノット (15.7 km/h)
航続距離 790海里 (1,460 km)
搭載能力 80トン
兵装

計画

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海軍砲艀 (Marine-Artillerieleichter : MAL) とは第二次世界大戦中のドイツで使用された、船倉や積込ランプのない、平たいポンツーンのような上陸用舟艇である。 (ライター:leichter) の名に反して、自航能力を持っていた。上陸用舟艇として使用されることはほとんどなく、主に補給任務を担った。

開発

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独ソ戦のさなか、軍司令部はソ連領へのさらなる進出を図るうえでカスピ海アゾフ海において海上輸送能力をもちあわせていないという問題に直面した。この地域に海軍輸送艀を移動させられる可能性はなく、したがって新たに解体して陸上輸送でき、現地において造船設備なしですぐに組み立てられる舟艇を開発する必要が生じた。このため、ラインハウゼンドイツ語版クルップ社工場にてMALが開発された。当初は自走砲艀 (Artilleriemotorleichter : AML) という名称であった。1942年、最初のバッチ12隻が就役した[1]。最初の任務で早速欠陥が明らかになり、1943年の第2系列においてはより多くの乗組員の宿泊設備を確保するために甲板室が拡大され、耐航性向上のため船首にヒンジ付きの防波壁ドイツ語版が設置された。1943年にはうねりをはじくために、制御位置と側堰を高くし、船首壁を大幅に高くした拡大バージョンが発注された。これは以前のMALⅠ及びMALⅠaに対し、MALⅡと呼ばれた。終戦までに何艘が納入されたかは不明であるが、おそらくは60艘以上はあったとみられている。これらは地中海バルト海での使用を目的としていた[2]

技術データ

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MALⅠは10個の部品に分割することができ、鉄道やトラックで輸送できた。胴体の各部を2軸の無蓋貨車に積み込み、兵装、機関、その他の機器を他の貨車に積み込んだ。部品の重さはわずか18トンで、簡単なねじ止めで部品同士を接続し、接合部や防波壁はベトンで埋めることにより、通常現場で2日以内に組み立てることができた。操舵室は10番目の部品として船尾に取り付けられた。

MALの排水量は約140トン、長さは34.2m、幅7.72m、喫水は空荷の状態で0.87mであった。駆動力は2台の130馬力ドイツ社製トラック用エンジンによって提供された。これにより最高速度8.5ノット、航続距離790海里 (8.5ノット) を達成した。

武装は上甲板に8.8cm SK C/35英語版二門、操舵室に2cm Flak 38二門を装備する計画であった。しかし実際には3.7cm FlaK 372 cm Flakvierling 38、さらには、鹵獲兵器も使用された。積載量は80トンであり、個人装備を備えた 200名または大型トラック2台を積載することができた。8.8cm砲を取り外した場合は、III号戦車またはIV号戦車2両を積載することもできた。乗組員は21名で構成され、武装によっては最大29名まで増加した。

活動

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8艘のMALⅠは1943年4月から5月にかけて完成し、黒海に移送された。部隊の基地はセヴァストポリに置かれた。6月から10月にかけて、アゾフ海地域での戦闘で陸軍部隊への補給を行った。しかしMALは最初の任務で多くの欠点を示した。耐航性があまり高くなく、穏やかな天候でしか使用できなかった。1943年9月1日には悪天候が原因でMAL8が失われた。MAL2と4は任務から外され、セヴァストポリへ返された。これらは1944年8月末にヴァルナ沖で自沈した。残りの5艘はアゾフ海に残り、1943年9月から10月にかけてクバン橋頭保ドイツ語版からクリミア半島への陸軍の撤退作戦に参加した。しかし悪天候のためクリミアの港へ移動できず、1943年10月29日に爆破された。

脚注

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  1. ^ S. Semerdijev: The mysterious fate of Adolf Hitler's "Black Sea Fleet". In: Sea Classics. vol.40, No.11/November 2007, S. 42–49.
  2. ^ historisches-marinearchiv.de (gefunden am 3. April 2011)