浮世物語
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『浮世物語』(うきよものがたり)は、浅井了意によって書かれた仮名草子。
あらすじ
[編集]氏素性の分からない元武士で守銭奴の父に育てられた主人公、瓢太郎(ひょうたろう)は、武術や手習いなど何をやらせても冴えない少年だった。一人前の年齢となった後も、賭博や傾城にうつつを抜かし家を売るような有り様だった。その後、どうにか武家の若党になり、算盤の腕を買われて御咄衆に取り立てられる。しかし、悪政に荷担する無情な姦臣として世の人々に恨まれる。調子に乗った瓢太郎は軽はずみに同僚の侍を怒らせ、痛めつけられ怖くなって逃走してしまう。武士の面目を失った瓢太郎は出家して「浮世坊」を名乗り京都や大阪近辺を遍歴する。物語の後半にはとある大名の御咄衆になるが、最後には仙人になって何処かへ姿を消す。
概説
[編集]寛文元年(1661年)[1]、もしくは寛文5年(1665年)[2]に刊行された、全5巻からなる遍歴体小説である。仮名草子は啓蒙・教訓的な内容が多いが、本書はそれに加えて幕府の失政や悪政、鷹狩りや悪徳商人の横行など社会悪を婉曲に批判し、それをカムフラージュする卑俗・滑稽な主人公浮世坊による笑い話という体裁になっている[3]。
脚注
[編集]参考文献
[編集]- 谷脇理史、井上和人、岡雅彦『仮名草子集』小学館〈新編日本古典文学全集 64〉、1999年。ISBN 4096580643。
- 江本裕『近世前記小説の研究』若草書房〈近世文学研究叢書〉、2000年。ISBN 494875563X。
外部リンク
[編集]- 国書刊行会 編『徳川文芸類聚』 第二、国書刊行会、1914-1916、174頁。NDLJP:1883227/174。