浅利妙峰
浅利 妙峰(あさり みょうほう、1952年 - )は、大分県佐伯市の麹(こうじ)食品専門店・糀屋本店の9代目社長。「こうじ屋ウーマン」を名乗り、麹文化の普及と伝承活動を行っている[1]。
来歴
[編集]1952年(昭和27年)、1689年(元禄2年)創業の糀屋本店[2]の長女として生まれる。幼名は直美(なおみ)[3]。
1972年(昭和47年)に糀屋本店に入社[3]。 時代の変化から味噌や醤油・甘酒は家庭で作るものから買うものに変化しており、麹の売り上げは年々減少、2005年には糀屋本店の8代目の幸一が体調を崩し、店の存続を迫られることになった[4]。 浅利は打開策を求め古い文献を読み漁り、江戸時代の文献『本朝食鑑』から漬物床としての「塩麹漬」の存在を知る。 半年間の試行錯誤を経て、2007年に調味料としての塩糀を商品化[5]、同時に店頭での講習会やブログ・著作で塩糀を利用したレシピを公開した。 評判は徐々に口コミで広まり、2011年には塩麹がブームとなった[4][5]。 浅利は自身が開発した塩糀の「黄金比率」や使い方を公開していたこともあり、塩麹は大手メーカー各社からも商品化され、2011年当時は2億円だった麹業界の売り上げは、翌2012年には31倍の62億円になったとされている[5][4][6]。
2012年からは糀屋本店の9代目社長(代表取締役)に就任[3]。 塩糀以外にも甘酒を砂糖の代わりに用いるなど、麹を使った製品の研究開発を行うだけでなく、欧米・南米・アジアへ渡り麹文化の普及活動も行っている[4][7]。
2013年、平成25年度「女性のチャレンジ賞」受賞(内閣府男女共同参画局)[8]他複数。
著書
[編集]著者名が省略されている本は単著。
- 『温故知新の「糀レシピ」』 糀屋本店、2009年5月[7]
- 『糀屋本店の塩麹レシピ』 PHP研究所、2011年11月、ISBN 978-4-569-80063-9
- 『ひとさじで料亭の味! 魔法の糀レシピ』 講談社、2011年12月、ISBN 978-4-062-99547-4
- 『浅利妙峰が伝えるはじめての糀料理』 西日本新聞社、2012年1月、ISBN 978-4-816-70841-1
- 前橋健二 共著『旨みを醸し出す 麹のふしぎな料理力』 東京農業大学出版会、2012年7月、ISBN 978-4-886-94412-2
- 大部正代 共著『糀でつくる一汁三菜 イキイキごはんで適量生活』 西日本新聞社、2013年3月、ISBN 978-4-816-70859-6
- 『浅利妙峰の母になるとき読む本』 致知出版社、2014年3月、ISBN 978-4-800-91027-1
- 『糀屋本店の手作り麹調味料で元気ごはん』 オレンジページ、2016年8月、ISBN 978-4-865-93084-9
- 浅利定栄 共著『麹パワーできれいになる 糀屋本店の幸せごはんレシピ』 オレンジページ、2018年7月、ISBN 978-4-865-93244-7
受賞歴
[編集]- 2012年11月 平成24年度「大分合同新聞文化賞」受賞(大分合同新聞社)[7]
- 2012年11月 平成24年度「佐伯市表彰」受賞(大分県佐伯市)[9]
- 2013年3月 平成24年度「大分県女性のチャレンジ賞」受賞(大分県)[6]
- 2013年6月 「女性のチャレンジ賞」受賞(内閣府男女共同参画局)[8]
- 2013年8月 平成25年度「市長賞詞」受賞(大分県佐伯市)[10]
出演
[編集]TV
[編集]- 2012年8月、日本放送協会「プロフェッショナル 仕事の流儀」[11]
- 2017年3月、テレビ東京「日経スペシャル カンブリア宮殿」[12]
脚注
[編集]- ^ “「塩こうじブーム」の火付け役で、海外への輸出も始めた 浅利妙峰さん”. ヨミドクター. 読売新聞 (2013年10月5日). 2019年5月24日閲覧。
- ^ “糀屋本店社長 浅利妙峰さん 糀で世界を元気に(2)”. 日本経済新聞. (2014年5月28日) 2019年5月25日閲覧。
- ^ a b c “【父の教え】こうじ屋ウーマン・浅利妙峰さん 卑怯な振る舞いをするな(4/4ページ)”. 産経ニュース. (2014年5月28日) 2019年5月24日閲覧。
- ^ a b c d “塩こうじブームの仕掛け人 伝統の再発見が生んだ逆転劇”. 月刊「事業構想」2014年10月号. 事業構想大学院大学. 2019年5月26日閲覧。(記事の全文閲覧には会員登録が必要)
- ^ a b c “日本の古き良き物を世界へ。視点を変えて蘇らせた2人の女社長”. まぐまぐニュース!. (2017年4月4日) 2019年5月24日閲覧。
- ^ a b “平成27年度『女性のチャレンジ賞』受賞者一覧” (PDF). 大分県. p. 3. 2019年5月24日閲覧。
- ^ a b c “こうじ屋ウーマン 浅利妙峰”. 糀屋本店. 2019年5月24日閲覧。
- ^ a b “平成25年度女性のチャレンジ賞受賞者名簿”. 内閣府男女共同参画局. 2019年5月24日閲覧。
- ^ “市報さいき Vol.179” (PDF). 佐伯市. p. 10 (2012年12月1日). 2019年5月24日閲覧。
- ^ “市報さいき Vol.196” (PDF). 佐伯市. p. 19 (2013年9月1日). 2019年5月24日閲覧。
- ^ “浅利妙峰(2012年8月27日放送)| これまでの放送 | NHK プロフェッショナル 仕事の流儀”. NHK. 2019年5月24日閲覧。
- ^ “2017年3月2日 放送 糀屋本店 社長 浅利 妙峰 (あさり みょうほう) 氏 気仙沼ニッティング 社長 御手洗 瑞子 (みたらい たまこ)氏 |カンブリア宮殿”. テレビ東京. 2019年5月24日閲覧。