江ノ島電鉄500形電車
江ノ島電鉄500形電車 | |
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江ノ島電鉄500形 (2021年10月21日 鎌倉高校前駅付近) | |
基本情報 | |
運用者 | 江ノ島電鉄 |
製造所 | 東急車輛製造 |
製造年 | 2006年 - 2008年 |
製造数 | 2編成4両 |
運用開始 | 2006年3月27日 |
主要諸元 | |
編成 | 連接2両編成 |
軌間 | 1,067 mm |
電気方式 | 直流 600 V |
設計最高速度 | 60 km/h |
起動加速度 | 2.0 km/h/s |
減速度(常用) | 3.5 km/h/s |
減速度(非常) | 4.0 km/h/s |
編成定員 | 143名(うち座席57名) |
自重 | 41.8 t |
編成長 | 25,400 mm(2両連接) |
全幅 | 2,500 mm |
全高 | 4,000 mm |
車体 | ステンレス製 |
台車 |
TS-837B(動台車) TS-838B(従台車) |
主電動機 | TDK6252-A × 4基 |
主電動機出力 | 60 kW(1時間定格) |
駆動方式 | TD平行カルダン駆動 |
歯車比 | 6.31 (13:82) |
制御方式 | VVVFインバータ制御 |
制動装置 | 全電気指令段制御式電磁直通ブレーキ |
江ノ島電鉄500形電車(えのしまでんてつ500がたでんしゃ)は、江ノ島電鉄の電車。
概要
[編集]老朽化の進んだ300形の置き換え用として2006年(平成18年)から2編成導入された。製造は東急車輛製造。
車体
[編集]車体は、枕ハリと中ハリ以外はステンレス製とした江ノ電初のオールステンレス車両であるが、20形と同一の塗装が施された。なお日本国内においては、併用軌道が存在する路線に投入される車両としては初のオールステンレス車両である[注 1]。
丸みを帯びた車体デザインは、江ノ電自身が1956年から2003年まで運行していた江ノ島鎌倉観光500形(初代500形)を意識して設計したこともあり、同形式を彷彿とさせる部分もある。公式サイトや記念乗車券でも同形式の写真などを併載している。
前面にはスカートを装着した。乗降用扉は両開き戸で、窓ガラスは複層構造とされ、凹凸は極力なくし、手指や被服の挟み込みを防止した。加えてドアチャイムも設けた[注 2]。
走行装置
[編集]集電装置は各車先頭寄りにシングルアーム式パンタグラフを搭載している。屋根上中央部には1両につき出力24.42kWの集中式冷房装置と空調制御装置を配置した。江ノ電は海岸線沿いを走行する線形であるため、機器のカバーや主枠にステンレスを使用した。
制御装置は江ノ電初のVVVFインバータ制御(2レベルIGBT)が採用された。ただし、補助電源装置・空気圧縮機・蓄電池など一部の補助機器は501Fが304Fから、502Fが303Fから流用されている。台車も種車からの流用品であるが、従来の直流直巻電動機からかご形三相誘導電動機の搭載に対応し、また車体の電蝕防止の観点から絶縁を強化している。
主制御装置は東洋電機製造製のATR-M460-RG695Aである。制御素子としてIPMを採用[要出典]したことで軽量化を図り、電子回路を密閉することで塵埃の侵入を防止し、機器の高信頼化と保守の軽減を図った。また、これも江ノ電では初の回生ブレーキも装備され、回生失効対策として発電ブレーキも併用されている。また、この制御器は架線電圧が直流750Vの路線にも小変更で対応出来るように設計されている。主電動機はTDK-6252-A(端子電圧440V、電流106A、周波数55Hz、出力60kW、定格回転数1,615rpm)である。駆動装置は300形の更新工事で採用された中空カルダン駆動用のものをTD継手用に変更したKD-110-B-Mであり、小歯車周りは新製したが、歯車箱は廃車になった300形のものを流用している。
その他
[編集]車内自動放送装置についても、江ノ電初となる英語放送を併用したものが使用され、その後他の音声合成放送装置搭載編成でも英語放送が追加された。
ドアステッカーは501Fは丸型の、502Fは四角形の、それぞれ従来品とは異なる新しいデザインのものが採用された。なお、502Fで採用されたステッカーは、その後501Fや他形式にも貼付された。
扉上部の車内案内表示器は江ノ電では初採用の2基の液晶ディスプレイで、右側に路線案内、左側にDVDによる沿線案内が表示される[注 3]。
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車内全景(2006年10月29日撮影)
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車内表示器(2016年9月19日撮影)
運用
[編集]501Fが304Fの置き換え用として2006年(平成18年)3月27日より営業運転を開始。2年後の2008年3月31日に300形303Fの置き換え用として502Fが営業運転を開始した。
運用は各形式と共通で、他形式とも併結運転を行う。4両編成で運転する際、通常は連結面側のパンタグラフを下げ、先頭と最後尾の2基のみを上げて運転されるが、本形式が他車と4両編成を組む際(500形同士も含む)は、回生失効を防止するためか4基全てのパンタグラフを上げて運転されていた。現在は連結面のパンタグラフを下げた通常の運用になっている。