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水酸化マンガン(II)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
水酸化マンガン(II)
識別情報
CAS登録番号 18933-05-6
特性
化学式 Mn(OH)2
モル質量 88.9527 g mol−1
外観 無色結晶または白色粉末
密度 3.258 g cm−3, 固体
融点

分解

への溶解度 0.0005 g / 100cm3(室温)
構造
結晶構造 六方晶系
熱化学
標準生成熱 ΔfHo −695.4 kJ mol−1[1]
標準モルエントロピー So 99.2 J mol−1K−1
危険性
引火点 不燃性
関連する物質
関連物質 水酸化鉄(II)
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

水酸化マンガン(II) (すいさんかマンガン に)は、化学式 Mn(OH)2 で表される2価のマンガン水酸化物である。天然鉱物としてはキミマン鉱 (pyrochroite) として産出する。

合成

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空気を遮断し、酸素を含まない塩化マンガン(II) の希薄水溶液に、炭酸塩や酸素を含まない過剰の水酸化カリウム水溶液を加え、水素を通じながら加熱したあと、冷却すると結晶が析出する[2]

性質

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淡桃色を帯びた白色の結晶または粉末で、六方晶系水酸化カドミウム型構造をとり、その格子定数a = 3.34 Åc = 4.68 Å である[3]

空気中では容易に酸化され、3価および4価の水和酸化物を生成して褐色に変化しやすい。

水酸化鉄(II) と比較すれば還元作用は弱いが、塩基性では還元作用を示し、その標準酸化還元電位は以下の通りである[4]

水にはわずかに溶解し、希酸およびアンモニウム塩水溶液にたやすく溶解する。その溶解度積は以下の通りであり[5]、他の重金属水酸化物に対し比較的大きく、塩基性も強い。

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アルカリ水溶液にはほとんど溶解しないが熱濃アルカリ水溶液には幾分溶解してマンガン(II) 酸塩を生じる[3][6]

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脚注・参考文献

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  1. ^ D.D. Wagman, W.H. Evans, V.B. Parker, R.H. Schumm, I. Halow, S.M. Bailey, K.L. Churney, R.I. Nuttal, K.L. Churney and R.I. Nuttal, The NBS tables of chemical thermodynamics properties, J. Phys. Chem. Ref. Data 11 Suppl. 2 (1982).
  2. ^ 日本化学会編 『新実験化学講座 無機化合物の合成I』 丸善、1977年
  3. ^ a b 『化学大辞典』 共立出版、1993年
  4. ^ Allen J. Bard, Roger Parsons, Joseph Jordan Standard Potentials in Aqueous Solution, Marcel Dekker Inc (1985).
  5. ^ H. Freiser, Q. Fernando共著、藤永太一郎、関戸栄一 共訳 『イオン平衡 -分析化学における-』 化学同人、1989年
  6. ^ FA コットン, G. ウィルキンソン著, 中原 勝儼訳 『コットン・ウィルキンソン無機化学』 培風館、1987年