水酸化タリウム(I)
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水酸化タリウム(I) | |
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水酸化タリウム(I) | |
別称 Thallous hydroxide | |
識別情報 | |
CAS登録番号 | 12026-06-1 |
特性 | |
化学式 | TlOH |
モル質量 | 221.3906 g mol−1 |
外観 | 無色または黄色結晶 |
密度 | 7.44 g cm−3, 固体 |
融点 |
分解 |
水への溶解度 | 34.3 g / 100cm3(18℃) |
熱化学 | |
標準生成熱 ΔfH |
−238.9 kJ mol−1[1] |
標準モルエントロピー S |
88 J mol−1K−1 |
危険性 | |
引火点 | 不燃性 |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
水酸化タリウム(I)(すいさんかタリウム(I)、Thallium(I) hydroxide)は、化学式 TlOH で表される1価のタリウムの水酸化物である。
他のタリウム化合物と同様に強い毒性、またアルカリ性による腐食性を持つ。
合成
[編集]二酸化炭素を含まない硫酸タリウム(I)の水溶液に、当量の水酸化バリウム水溶液を加えて沈殿する硫酸バリウムを除去すると水溶液として得られる[2]。
あるいは粉末状金属タリウムを水に懸濁させ、空気を通じても水溶液が得られる[3]。
酸化タリウム(I)を水に溶解しても生成する。
性質
[編集]純粋なものは無色の柱状結晶であるが、空気中では一部酸化されて黄色に変化する。
水およびエタノールに可溶であり、水溶液は著しいアルカリ性を示す。 アルカリ金属水酸化物よりは弱いものの、強塩基であり固体および水溶液は二酸化炭素を吸収して炭酸タリウムになる[4]。その塩基解離定数は以下の通りである[5]。
100℃程度の加熱、あるいは真空中において50℃の加熱により分解し、水を失って黒色の酸化タリウム(I)になる。
空気中では部分的に酸化され、塩素水、臭素水などにより酸化され、3価の水酸化タリウム(III), Tl(OH)3となる。その標準酸化還元電位は以下の通りである[6]。
反応
[編集]鈴木・宮浦カップリングにおいて水酸化タリウム(I)を塩基触媒として使用することにより、反応点同士が出会う確率が低くなるような大きな分子同士の反応も速やかに進行することが見出されている[7]。
脚注・参考文献
[編集]- ^ D.D. Wagman, W.H. Evans, V.B. Parker, R.H. Schumm, I. Halow, S.M. Bailey, K.L. Churney, R.I. Nuttal, K.L. Churney and R.I. Nuttal, The NBS tables of chemical thermodynamics properties, J. Phys. Chem. Ref. Data 11 Suppl. 2 (1982).
- ^ 日本化学会編 『新実験化学講座 無機化合物の合成I』 丸善、1977年
- ^ 『化学大辞典』 共立出版、1993年
- ^ FA コットン, G. ウィルキンソン著, 中原 勝儼訳 『コットン・ウィルキンソン無機化学』 培風館、1987年
- ^ 田中元治 『基礎化学選書8 酸と塩基』 裳華房、1971年
- ^ Allen J. Bard, Roger Parsons, Joseph Jordan, Standard Potentials in Aqueous Solution, Marcel Dekker Inc (1985).
- ^ 鈴木カップリング(2)