気仙川
河口付近左岸より撮影(2015年4月撮影) 川に架かる大きな吊り橋は一般橋梁ではなく、震災復興事業(地盤のかさ上げ)土砂運搬のために作られた巨大なベルトコンベアである。 | |
水系 | 気仙川 |
種別 | 二級河川 |
延長 | 44 km |
流域面積 | 520 km2 |
水源 |
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水源の標高 | 1,013 m |
河口・合流先 | 広田湾(岩手県) |
流域 | 岩手県 |
気仙川(けせんがわ)は、岩手県を流れる二級河川であり、気仙川水系の本流である。住田町と陸前高田市を流域とし、流路延長は44キロメートル。鮎など渓流釣りの人気スポットとして知られる。
概要
[編集]岩手県気仙郡住田町
1934年(昭和9年)、昭和農業恐慌により地域経済が疲弊する中、時局匡救事業の一環として下流域で河川改修事業が行われた。雇用された労働者の賃金は男90銭、女45銭とされた[5]。
河口には仙台藩・岩手県を代表する防潮林であり、観光地にもなっていた高田松原があったが、2011年(平成23年)3月11日の東日本大震災によって壊滅した。
震災後に再建が進められた河口部の水門は2020年(令和2年)3月末にほぼ完成となった[6]。
主な支流
[編集]市町名は流域の自治体。
水害
[編集]流域は急峻な地形であるため洪水が起こりやすく、たびたび水害に見舞われた。近年発生した大規模な水害は次の通り[10]。
- 1979年(昭和54年)10月 - 台風20号により氾濫。橋梁が流されるなど甚大な被害。
- 1981年(昭和56年)8月 - 台風15号により氾濫。
- 1998年(平成10年)9月 - 豪雨により氾濫。土砂崩れや路面流出が相次ぐ。
- 1999年(平成11年)7月 - 豪雨により各地で浸水が発生。
- 2002年(平成14年)7月 - 台風6号による氾濫。国道45号が寸断したほか、各地で水路が氾濫。
生態系
[編集]清流として知られ、アユやイワナ、ヤマメなどの魚類が多く生息している[11]。
渓流釣り
[編集]毎年3月から10月のシーズンには渓流釣りを楽しむ釣り師が訪れ[11]、毎年7月1日はアユ釣り解禁日となっている[12][13][14]。なお、魚種ごとに定められた気仙川での釣りの方法と期間については、遊漁券を発行している気仙川漁業協同組合の「遊漁規則」に示されている[15]。
並行・交差する交通
[編集]道路
[編集]橋
[編集]- そのほか気仙川とその支流にかかる多数の橋の名前は、気仙川漁業協同組合ウェブサイトの「遊漁マップ」で確認できる[1]。
作品
[編集]東日本大震災の翌年2012年(平成24年)に、陸前高田市出身の著名な写真家・畠山直哉が写真集『気仙川』(河出書房新社)を刊行した[16]。同写真集には2013年刊行のフランス版‘Kesengawa’(Light motiv 発行、英仏語併記)もある[17]。
脚注
[編集]- ^ a b “遊漁マップ” (pdf). 気仙川漁業協同組合オフィシャルサイト. 気仙川漁業協同組合. 2023年6月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月11日閲覧。 ※pdf配布元は気仙川漁業協同組合ウェブサイト「遊漁マップ」ページ。
- ^ a b “気仙川の概要”. 岩手県公式ウェブサイト. 岩手県 (2019年2月20日). 2023年5月31日閲覧。
- ^ 北本朝展(国立情報学研究所) (2022年8月8日). “気仙川 [0300420001] 気仙川水系 地図”. 国土数値情報河川データセット. ROIS-DS 人文学オープンデータ共同利用センター. 2023年6月10日閲覧。
- ^ 小池, 田村 他編『日本の地形 3 : 東北』、63頁。
- ^ 「木の実、草の根も食べ尽くして」『東京朝日新聞』昭和9年10月14日(『昭和ニュース事典 第4巻 昭和8年-昭和9年』本編、pp. 461-462、昭和ニュース事典編纂委員会 毎日コミュニケーションズ刊 1994年)
- ^ 「津波防御ライン確保 「気仙川水門」ほぼ完成 陸前高田」『Web東海新報』東海新報社、2020年4月8日、1面。オリジナルの2021年3月13日時点におけるアーカイブ。2021年3月13日閲覧。
- ^ 北本朝展(国立情報学研究所) (2022年8月8日). “大股川 [0300420014] 気仙川水系 地図”. 国土数値情報河川データセット. ROIS-DS 人文学オープンデータ共同利用センター. 2023年6月10日閲覧。
- ^ 北本朝展(国立情報学研究所) (2022年8月8日). “矢作川 [0300420006] 気仙川水系 地図”. 国土数値情報河川データセット. ROIS-DS 人文学オープンデータ共同利用センター. 2023年6月10日閲覧。
- ^ 小松正之『大震災後の海洋生態系 : 陸前高田を中心に』雄山閣〈地球環境 陸・海の生態系と人の将来〉、2022年7月、17頁。ISBN 978-4-639-02839-0。「矢作川/ 黒森山から源流を発して竹駒地区で、気仙川と合流する。矢作川には、生出川と黒森山が源流の中平川が合流する。生出川の源流には、清水川があり、岩手の名水100選に選ばれた。」
- ^ “気仙川の治水”. 津付ダム建設事務所 (2014年7月30日). 2008年5月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月10日閲覧。 ※表「既存災害実績(住田町、陸前高田市)」も参照。
- ^ a b “気仙川”. 住田町公式ウェブサイト. 住田町. 2023年6月10日閲覧。
- ^ “気仙川 鮎釣り <住田町> ファミリーで釣りの競演!”. さんりく旅しるべ 〜いわて三陸観光ガイド〜. 公益財団法人さんりく基金 三陸DMOセンター (2022年6月30日). 2023年6月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月11日閲覧。
- ^ 「梅雨空に銀鱗キラリ 気仙川でアユ釣り解禁 約500人が来訪 (別写真あり)」『Web東海新報』東海新報社、2021年7月2日、7面。2021年3月13日閲覧。
- ^ 「気仙川に夏の情景/県内トップ切りアユ漁解禁/早朝から多くの太公望」『Web東海新報』東海新報社、2012年7月3日、6面。オリジナルの2012年7月4日時点におけるアーカイブ。2023年6月11日閲覧。 ※東日本大震災の翌年の鮎釣り解禁記事。
- ^ “遊漁規則”. 気仙川漁業協同組合オフィシャルサイト. 気仙川漁業協同組合. 2023年6月11日閲覧。 ※第3条(遊漁の方法および期間)参照。
- ^ 飯沢耕太郎 (2012年10月15日). “畠山直哉『気仙川』:artscapeレビュー”. 美術館・アート情報 artscape. 大日本印刷株式会社. 2023年6月11日閲覧。
- ^ “気仙川 by 畠山直哉”. Hakusan Creation. Hakusan Creation | An Artist-run Publisher. 2023年6月10日閲覧。 ※記事英語版あり。
参考文献
[編集]関連項目
[編集]- 岩手県の二級水系一覧
- 滝観洞 - 気仙川の源流近く、JR釜石線 上有住駅のすぐそばにある観光鍾乳洞。落差29メートルにおよぶ天の岩戸の滝を洞内に擁する。
外部リンク
[編集]- 気仙川の概要 - 津付ダム建設事務所 ※リンク切れのためアーカイブ
- 気仙川漁業協同組合オフィシャルサイト