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複素幾何学では、正形式(positive form)とは、ホッジタイプ (p, p) の実形式である。
複素多様体 M 上の実 (p,p)-形式は、タイプ (p,p) の実形式、つまり、交叉
を持つ形式である。実 (1,1)-形式 は正ということと、次の同値な条件が満たされることとは同値である。
- は正(必ずしも正定値である必要はない)の虚部を持つエルミート形式である。
- (1,0)-形式の空間 のある基底 に対し、 は対角行列の形、非負な をもつ実形式 と書くことができる。
- 任意の (1,0) 接ベクトル に対し、
- を複素構造を決める作用素とすると、任意の実接ベクトル に対し、 である。
代数幾何学では、正の (1,1)-形式は、豊富なラインバンドルの曲率形式として現れる(また、正のラインバンドルとして知られている)。L を複素多様体上の正則なエルミートラインバンドルとすると、
は、複素多様体自身の複素構造を決める作用素である。従って、L は、エルミート構造を保存し、同時に、
を満たす一意な接続を持つ。
この接続をチャーン接続という。
チャーン接続の曲率 は、常に、純虚数 (1,1)-形式である。ラインバンドル L は、
が、正定値 (1,1)-形式であるとき、正であると呼ぶ。小平埋め込み定理は正のラインバンドルは豊富であり、逆に、任意の豊富なラインバンドルは が正定値なエルミート計量を持つことを言っている。
M 上の純 (1,1)-形式は、凸錐(convex cone)を形成する。M が次元 のコンパクトな複素曲面でれば、ポアンカレ双対
を考えると自己双対である凸錐(英語版)(self-dual)を持っている。
のとき (p, p)-形式に対し、正値性に関して 2つの異なった考え方がある。正の実係数を持つ正形式の積の線型結合であるときは、強い正値性を持つといわれる。n-次元複素多様体 M 上の実 (p, p)-形式 は、コンパクトな台を持ち、強い正値性を持つすべての (n-p,n-p)-形式 ζ に対し、
であるときに、弱い正値性を持つといわれる。
弱い正値性と強い正値性は、凸錐を作る。コンパクトな多様体上では、これらの錐はポアンカレのペアについて自己双対(英語版)(dual)である。
- Phillip Griffiths and Joseph Harris (1978), Principles of Algebraic Geometry, Wiley. ISBN 0-471-32792-1