出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
| 原文と比べた結果、この記事には多数の(または内容の大部分に影響ある)誤訳があることが判明しています。情報の利用には注意してください。正確な表現に改訳できる方を求めています。 |
複素幾何学では、正形式(positive form)とは、ホッジタイプ (p, p) の実形式である。
(1,1)-形式[編集]
複素多様体 M 上の実 (p,p)-形式は、タイプ (p,p) の実形式、つまり、交叉
![{\displaystyle \Lambda ^{p,p}(M)\cap \Lambda ^{2p}(M,{\mathbb {R}})}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/463c0fad3708064bdeeb973834c552dbd9f803eb)
を持つ形式である。実 (1,1)-形式
は正ということと、次の同値な条件が満たされることとは同値である。
は正(必ずしも正定値である必要はない)の虚部を持つエルミート形式である。
- (1,0)-形式の空間
のある基底
に対し、
は対角行列の形、非負な
をもつ実形式
と書くことができる。
- 任意の (1,0) 接ベクトル
に対し、![{\displaystyle -{\sqrt {-1}}\omega (v,{\bar {v}})\geq 0}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/015fd34d1919617073d0f7faf0d64157192f9d36)
を複素構造を決める作用素とすると、任意の実接ベクトル
に対し、
である。
正のラインバンドル[編集]
代数幾何学では、正の (1,1)-形式は、豊富なラインバンドルの曲率形式として現れる(また、正のラインバンドルとして知られている)。L を複素多様体上の正則なエルミートラインバンドルとすると、
![{\displaystyle {\bar {\partial }}:\;L\mapsto L\otimes \Lambda ^{0,1}(M)}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/5ead0c016d2e28f180c440b1be4cb03cd588c8bb)
は、複素多様体自身の複素構造を決める作用素である。従って、L は、エルミート構造を保存し、同時に、
![{\displaystyle \nabla ^{0,1}={\bar {\partial }}}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/f91b8134c2c391cf96b0931ffc1c9a9dabbe871b)
を満たす一意な接続を持つ。
この接続をチャーン接続という。
チャーン接続の曲率
は、常に、純虚数 (1,1)-形式である。ラインバンドル L は、
![{\displaystyle {\sqrt {-1}}\Theta }](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/c4d8c67f6dd9105c2658b0dbe268bf0efa515537)
が、正定値 (1,1)-形式であるとき、正であると呼ぶ。小平埋め込み定理は正のラインバンドルは豊富であり、逆に、任意の豊富なラインバンドルは
が正定値なエルミート計量を持つことを言っている。
(p, p)-形式の正値性[編集]
M 上の純 (1,1)-形式は、凸錐(convex cone)を形成する。M が次元
のコンパクトな複素曲面でれば、ポアンカレ双対
![{\displaystyle \eta ,\zeta \mapsto \int _{M}\eta \wedge \zeta }](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/b7237ab468500e6b0decb31f2b933a1274a9ea23)
を考えると自己双対である凸錐(英語版)(self-dual)を持っている。
のとき (p, p)-形式に対し、正値性に関して 2つの異なった考え方がある。正の実係数を持つ正形式の積の線型結合であるときは、強い正値性を持つといわれる。n-次元複素多様体 M 上の実 (p, p)-形式
は、コンパクトな台を持ち、強い正値性を持つすべての (n-p,n-p)-形式 ζ に対し、
であるときに、弱い正値性を持つといわれる。
弱い正値性と強い正値性は、凸錐を作る。コンパクトな多様体上では、これらの錐はポアンカレのペアについて自己双対(英語版)(dual)である。
参考文献[編集]
- Phillip Griffiths and Joseph Harris (1978), Principles of Algebraic Geometry, Wiley. ISBN 0-471-32792-1