楕円曲線のハッセの定理
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楕円曲線のハッセの定理(英語: Hasse's theorem on elliptic curves)は、ハッセの境界とも呼ばれ、有限体上の楕円曲線の持つ点の数の、上と下からの評価を与える。
位数 q の有限体上の楕円曲線 E の点の数が N であるとき、ヘルムート・ハッセ(Helmut Hasse)の結果は、その個数が
であることを示している。つまり、この解釈は、N が q + 1 (これは同じ体の上の射影直線(projective line)の点の数である)と異なっていれば、この差「エラー項」は、絶対値が である2つの複素数の和である。
この結果は、エミール・アルティン(Emil Artin)により彼の論文で元々予想されたものである[1]。これは1933年にハッセ(Hasse)により証明され、証明は一連の論文で出版された[2]。
ハッセの定理は、E の局所ゼータ函数の根の絶対値の決定と同値である。この形で、楕円曲線に付随する函数体のリーマン予想との類似を理解することができる。
ハッセ・ヴェイユ境界
[編集]ハッセ境界の高次種数の代数曲線への一般化はハッセ・ヴェイユ境界である。これは、有限体上の曲線の点の数の範囲をもたらす。位数が q の有限体 上の種数 g の曲線 C の点の数を とすると、
となる。
この結果は再び、曲線 C の局所ゼータ函数の決定と同値であり、この曲線に付随する函数体についてのリーマン予想の類似である。
ハッセ・ヴェイユ境界は、g = 1 である楕円曲線へ適用したときの普通のハッセ境界を導く。
ハッセ・ヴェイユ境界は、元々はアンドレ・ヴェイユ(André Weil)が1949年に提唱したヴェイユ予想の結果である[3]。この予想は1974にピエール・ドリーニュ(Pierre Deligne)より証明された。[4]
参考文献
[編集]- ^ Artin, Emil (1924), “Quadratische Körper im Gebiete der höheren Kongruenzen. II. Analytischer Teil”, Mathematische Zeitschrift 19 (1): 207–246, doi:10.1007/BF01181075, ISSN 0025-5874, MR1544652, Zbl 51.0144.05
- ^ Hasse, Helmut (1936), “Zur Theorie der abstrakten elliptischen Funktionenkörper. I, II & III”, Crelle's Journal 1936 (175), doi:10.1515/crll.1936.175.193, ISSN 0075-4102, Zbl 0014.14903
- ^ Weil, André (1949), “Numbers of solutions of equations in finite fields”, Bulletin of the American Mathematical Society 55 (5): 497–508, doi:10.1090/S0002-9904-1949-09219-4, ISSN 0002-9904, MR0029393
- ^ Deligne, Pierre (1974), “La Conjecture de Weil: I”, Publications Mathématiques de l'IHÉS 43: 273–307, doi:10.1007/BF02684373, ISSN 0073-8301, MR340258, Zbl 0287.14001
参照項目
[編集]- 佐藤・テイト予想(Sato-Tate conjecture)
- シューフのアルゴリズム(Schoof's algorithm)
参考文献
[編集]- Hurt, Norman E. (2003), Many Rational Points. Coding Theory and Algebraic Geometry, Mathematics and its Applications, 564, Dordrecht: Kluwer/Springer-Verlag, ISBN 1-4020-1766-9, MR2042828,
- Niederreiter, Harald; Xing, Chaoping (2009), Algebraic Geometry in Coding Theory and Cryptography, Princeton: Princeton University Press, ISBN 978-0-6911-0288-7, MR2573098,
- Chapter V of Silverman, Joseph H. (1994), The arithmetic of elliptic curves, Graduate Texts in Mathematics, 106, New York: Springer-Verlag, ISBN 978-0-387-96203-0, MR1329092,
- Washington, Lawrence C. (2008), Elliptic Curves. Number Theory and Cryptography, 2nd Ed, Discrete Mathematics and its Applications, Boca Raton: Chapman & Hall/CRC Press, ISBN 978-1-4200-7146-7, MR2404461,