櫻井通晴
櫻井 通晴(さくらい みちはる、1937年3月4日[1] - )は、日本の会計学者。専門は、管理会計・原価計算。学位は、商学博士(早稲田大学・論文博士・1971年)。専修大学教授を38年間努めた。ソフトウェア原価計算の開発・導入、原価企画の欧米企業・大学への普及、ABCとバランスト・スコアカードの日本への移植、コーポレート・レピュテーションの研究など、原価計算・管理会計の研究に貢献。静岡県出身。
経歴
[編集]- 1956年 静岡県立静岡高等学校定時制卒業[2]。
※以下、出典は『櫻井・加藤 両教授退職記念論集[3]。
- 1962年 早稲田大学第一商学部卒業。
- 1969年 専修大学経営学部助手、助教授、教授就任(-2007年)。
- 1971年 早稲田大学大学院商学研究科博士課程修了、商学博士の学位を早稲田大学より取得。
- 1989年 ハーバード大学ビジネススクール フルブライト上級研究員(1989-1990)。
- 1990年 放送大学客員教授(1990-1994)。
- 1992年 公認会計士第二次試験(1992-1995)、同第三次試験委員(1998-2000)。
- 1999年 電気事業審議会委員(1999)、産業構造審議会委員(2005-2006)。
- 2001年 日本原価計算研究学会会長(2000-2003)[4]。
- 2002年 専修大学大学院経営学研究科科長(2002-2005)。
- 2002年 早稲田大学アジア太平洋研究科客員教授(2002-2007)。
- 2003年 NTTドコモ監査役(2003-2006)。
- 2004年 SRA監査役(後にSRA HD監査役兼任)(2004-2014)。
- 2004年 独立行政法人情報処理推進機構監事(2004-2013)。
- 2006年 学校法人東京医科大学監事他(2006-2009)。
- 2007年 城西国際大学[5]客員教授(2007-2016)。
- 2015年 防衛省「予定価格訓令改正作業部会委員」(2015~2016)。
- 2015年 インテリジェント ウェイブ社外監査役(2015~)。
著書
[編集]中心的な研究テーマは、時代の変遷とともに、原価計算、管理会計、インタンジブルズの測定へと移行している。著書45冊のうち,主要なものは以下のものである。
- 『A.A.A.原価・管理会計基準』(訳著), 中央経済社,1975, [増補版]1981.
- 『アメリカ管理会計基準研究』白桃書房, 1981.
- 『経営原価計算論』中央経済社, 1979, [増補版]1981.
- Japanese Management Accounting, A World Class Approach to Profit Management, edited by Yasuhiro Monden and Michiharu Sakurai, Productivity, 1989.
- 『ソフトウェア原価計算』(他著),白桃書房, 1987, (増補版)1992.
- 『企業環境の変化と管理会計』同文舘出版, 1991.
- Integrated Cost Management, A Companywide Prescription for Higher Profits and Lower Costs, Productivity Press, Portland Oregon, 1996.
- 『間接費の管理』中央経済社, 1995, (新版)1998.
- 『キャッシュフロー経営と会計』(佐藤倫正と共編著)中央経済社, 1999年.
- 『コーポレート・レピュテーション』中央経済社, 2005.
- 『ソフトウェア管理会計』白桃書房, (第2版)2006.
- 『企業価値創造の管理会計』(編著), 同文舘出版, 2007.
- 『バランスト・スコアカード』同文舘出版, 2003, [改訂版]2008.
- 『レピュテーション・マネジメント』中央経済社, 2008.
- 『コーポレート・レピュテーションの測定と管理』同文舘出版, 2011.
- 『インタンジブルズの管理会計』(編著),中央経済社, 2012.
- 『原価計算』同文舘出版, 2014.
- 『ケース 管理会計』中央経済社, 2017.
- 『契約価格,原価,利益―管理会計の視点による防衛装備品の効率的・効果的な開発と生産―』同文舘出版, 2017.
- 『管理会計』同文舘出版, 1994.(第7版)2019年2月.
主要論文
[編集]論文は、歴史的アプローチを用いた原価計算と管理会計の分析を扱った研究が多い。VPI(通称、バージニア工科大学)への留学以降の1980年代の中葉を挟んで、実務への貢献を意図した論文が多くみられる。実証研究の論文は、2010年以降。約250本の論文のうち、主要なものは、以下のものである。
- 「原価計算対象の変遷」『會計』第113巻 3, 1978, pp.44-65.
- 「変革期における管理会計研究の方法」『會計』第122巻 5, 1986, pp.1-20.
- 「ソフトウェア原価計算の機構」『産業経理』Vol.46, 1,1986, pp.113-125.
- 「ハイテク環境下における原価企画の有効性」『企業会計』Vol.40 No.5, 1988, pp.625-631.
- Target Costing and How to Use it, The Journal of Cost Management, Vol.3 2, 1989, pp.39-50.
- “The Influence of Factory Automation on Management Accounting Practices; A Study of Japanese Companies, in Measures for Manufacturing Excellence, Edited by Robert S. Kaplan, 1990, pp.15-38.
- 「原価企画の管理会計上の意義 (1)(2) 」『税経通信』1994年, Vol.49, No.3, pp.14-23, 以上,(1), Vol. 49, No.5, pp.2-17, 以上,(2).
- 「活動基準原価計算の計算原理とその特徴」『産業経理』Vol.50 2, 1990, pp.41-50.
- 「インタンジブルズとレピュテーション・マネジメント」『管理会計学』第18巻 2, 2010, pp.41-51.
- 「コーポレート・レピュテーションによる財務業績への影響」『会計プログレス』(共著)No.15, 2014, pp.1-13.
- 「経済モデル,会計基準,原価計算理論から見た『原価計算基準』の問題点」『原価計算研究』Vol.38 No.1, 2014, pp.1-10.
- 「人工知能(AI)が会計と会計士監査、内部監査に及ぼす影響」『日刊監査研究』No.543, 2018, pp.1-12.
- 「AIの会計,監査,管理会計への適用」『企業会計』Vol.71, No.2, 2019, pp.20-28).
受賞歴
[編集]※出典は「専修大学での教育,研究,行政,社会活動の38年間」[6]
- 日本会計研究学会学術賞(1978年)
- 日本公認会計士協会賞(1982年)
- 経営科学文献賞(1992年)
- 日本内部監査協会・青木賞(1997年)
- 日本会計研究学会・太田黒澤賞(1999年)
- 日本原価計算研究学会賞(2009年)
- 日本管理会計学会文献賞(2011年)
- 公認会計士協会学術賞(2019年)
専修大学での活動
[編集]専修大学には38年在職したが、その間、数多くの大学教授、公認会計士、税理士等を輩出した[6]。学部、大学院のゼミナール生のうち大学教授・准教授は23名、公認会計士、税理士は約50名。大学院経営研究科 科長、経営学研究所 所長、専修大学主催の日本会計研究学会・日本原価計算研究学会の準備委員長[7]等を歴任した。
門下生
[編集]弟子に、伊藤和憲、青木章通、谷守正行、岩田弘尚(以上専修大学)、新江孝、藤野雅史(以上日本大学)、山田義照、小酒井正和(以上、玉川大学)、田坂公(福岡大学)、松島桂樹(元武蔵大学)、関谷浩行(北海学園大学)、伊藤武志(大阪大学)、飯塚弦二郎(永谷園社長)、職業会計人等がいる。
脚注・参考文献
[編集]- ^ “櫻井 通晴 - Webcat Plus”. webcatplus.nii.ac.jp. 2023年4月10日閲覧。
- ^ 『静中・静高同窓会会員名簿』平成15年度(125周年)版 136頁。
- ^ 専修大学退職記念号は、加藤克己教授とともに、専修大学経営学会『櫻井・加藤 両教授退職記念論集』専修経営学論集,第84号, 2007年3月, pp.1-259.を参照されたい。
- ^ 歴代会長日本原価計算研究学会
- ^ 城西国際大学での活動歴は、jiu.ac.jp/management/faculty/(2016.3.31現在)をもとにして作成した。
- ^ a b 専修大学での教育、研究、行政、社会活動については、櫻井通晴「専修大学での教育,研究,行政,社会活動の38年間」『専修経営学論集』第83号, 2006年12月, pp.277-356.を参照されたい。
- ^ 日本原価計算研究学会では、2015年に、日本原価計算研究学会40周年を記念して記念号を発表した。そこでは、学会の発足時から参加し元会長を歴任した公開座談会の報告者として学会の成立過程から会長時代までの裏話を披露している。日本原価計算研究学会『原価計算研究』2015 日本原価計算研究学会 40周年記念号、2015年3月号を参照されたい。
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