核四重極共鳴断層撮影
核四重極共鳴断層撮影(かくしじゅうきょくきょうめいだんそうさつえい、英語: Nuclear Quadrupole Resonance Tomography)とは核四重極共鳴により試料の内部構造を可視化する手法。
概要
[編集]窒素 (14N)、ナトリウム (23Na)、アルミニウム (27Al)、塩素 (35Cl、37Cl)、ヨウ素 (127I) のように核四重極モーメント Q(核四極子モーメントとも言う)を持つ原子核にそれぞれの共鳴周波数の電磁波を照射すると、励起されて核のエネルギー準位が上がり、熱的に準安定状態になるが、ここで電磁波の照射を止めると核磁気共鳴と同様に周りの電磁ゆらぎや熱ゆらぎによる『緩和現象』が起こり、時間と共に元のエネルギー準位に戻るときに電磁波を放射する[1]。試料の周囲に配置された電磁波の複数の検出器からの信号をコンピュータ断層撮影での画像再構成アルゴリズムを適用することで画像を再構成する。イオンが自由に動き回る液体や気体では電荷分布が等方的になるために電場勾配が生じないので画像化できない[2]。核磁気共鳴とは異なり、結晶内に電場勾配が存在するので、エネルギー準位を分裂させるための外部磁場が不要で装置を小型軽量化できる。
核四重極共鳴 (NQR)には核磁気共鳴 (NMR)や電子スピン共鳴 (ESR)とは異なる特性があり、そのためこれを利用して内部構造を可視化すると異なる知見が得られる[3]。 他の手法では困難な窒素 (14N)、ナトリウム (23Na)、アルミニウム (27Al)、塩素 (35Cl、37Cl)、ヨウ素 (127I) の3次元的な分布を可視化できる。
また、試料内部の構造を可視化する目的の類似の手法としては磁場の印加によって生成した内部の誘導電流による磁場を検出したり[4][5][6]、磁場内で高周波電流を印加して生じた超音波を検出したり[7]、透磁率の違いを基にした内部構造の可視化の試みもある[8][9][10]。
特徴
[編集]用途
[編集]関連項目
[編集]脚注
[編集]- ^ nqr.htm 核四極共鳴(NQR)の実験
- ^ 核四重極共鳴(NQR)とは
- ^ Kirchanov, V. S. "Nqr Tomography." Russian Physics Journal 45.2 (2002): 98-104.
- ^ 磁気誘導断層撮影のための方法及びシステム
- ^ 磁気誘導断層撮影のシステムおよび方法
- ^ 磁気誘導断層撮影のための方法及びデバイス
- ^ Magneto-acoustic technology may be the future of medical imaging
- ^ Saito, Hideo, et al. "Magnetic field imaging by CT technique." IEEE Transactions on Magnetics 23.5 (1987): 2587-2589.
- ^ Saito, Hideo, et al. "Reconstruction of magnetic flux density as vector quantity by CT technique." IEEE Transactions on Instrumentation and Measurement 38.2 (1989): 415-420.
- ^ Nishimura, T. and Miyamoto, S. and Yamada, Sotoshi and Iwahara, Masayoshi (2005-10). “Optimum Structure of CT Probe and Spectral Components in 2-D Magnetic CT Method”. IEEE Transactions on Magnetics (Institute of Electrical and Electronics Engineers (IEEE)) 41 (10): 3637-3639. CRID 1050855522076494464. doi:10.1109/tmag.2005.855175. ISSN 0018-9464 .
参考文献
[編集]- Rommel, E., et al. "Spectroscopic rotating-frame NQR imaging (rho NQRI) using surface coils." Measurement Science and Technology 2.9 (1991): 866.
- Ermolaev, K. V., V. P. Tarasov, and L. N. Erofeev. "2D NQR tomography and its application." Appl. Magn. Reson 2 (1991): 683-693.
- Kimmich, Rainer, Eberhard Rommel, and Peter Nickel. "Spatially resolved NQR." Magnetic resonance imaging 10.5 (1992): 733-739.
- Ermakov, V. L., et al. "Toggling-frame NQR imaging." Applied Magnetic Resonance 3.6 (1992): 975-980.