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松島幹線

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
松島幹線75号鉄塔

松島幹線(まつしまかんせん)とは、宮城県女川町女川原子力発電所から宮城県仙台市の宮城中央変電所に至る東北電力の超高圧送電線である[1][2]。本ページでは宮城中央変電所についても説明する。

概要

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宮城県牡鹿郡女川町女川原子力発電所から宮城県仙台市の宮城中央変電所に至る全長84.3kmの超高圧送電線である。女川原子力発電所3号機の新設(2002年稼働)に伴い、既設の牡鹿幹線と鳴瀬幹線では容量が不足するため建設が計画された。東北電力の1999年度供給計画に、むつ幹線、北奥幹線、山形幹線とともに盛り込まれた[3]。1992年に設計と現地調査が始まる[2]。計画中に経路の途中にある上品山近くにイヌワシの営巣地があることが判明し[4][5]、工事に際してイヌワシを保護するための対策を行うよう県が東北電力を指導した[6]

1998年11月に着工[7]。宮城中央開閉所を含めた総工費は約464億円で、鉄塔の基礎掘削に拡底基礎工法を導入するなどにより、約58億円のコスト削減を実現した。最も高い鉄塔は高さ130mで[2]、転落事故を防止するために電線の切断や器具の装着などの作業は可能な限り地上で行っておく新工法が採用された[2]。工事中は周辺住民や地権者に悪影響ができないように配慮された[2]。2001年4月に運用を開始[8][9][3]

2011年の東日本大震災では、女川原子力発電所に接続されている5系統の外部電源のうち4系統が停止[注釈 1]、松島幹線の2系統のうち1系統だけが女川原子力発電所への送電を保った[注釈 2]。女川原発では非常発電機が稼働できたことと松島幹線からの外部電力によって、10時間後に全ての原子炉が冷温停止できた[10]

主要項目

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  • 区間: 女川原子力発電所 - 宮城中央変電所[10][11]
  • 鉄塔基数: 233基[12]
  • 亘長: 84.29km[13][注釈 3]
  • 電圧: 275kV(27万5千ボルト)[3][2][9]
  • 回線数: 2回線
  • 使用電線: (おもに)亜鉛めっき鋼心アルミ合金撚線(超強力・耐熱)780×2導体

宮城中央変電所

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宮城中央変電所は、仙台市泉区にある送電設備で松島幹線と宮城中央支線を接続する要所である[9][注釈 4]。東北電力の1999年度供給計画で「宮城中央開閉所」として計画された[3]。2001年4月に松島幹線に合わせて稼働を開始[9]。当初は27万5000ボルト4回線であったが[3]、2010年より50万ボルトの十和田・北上幹線の構築に関連して[11]、宮城中央支線が50万ボルトに昇圧されるために150万KVAの変圧器を設置して変電所化する工事が2007年4月より開始された[9][11][注釈 5]。変圧器は巻き線・コア・タンクに分解して搬入し、敷地内の作ったクリーンハウス内で再組立てを行うことにより、周辺公道の大規模な補強工事を不要とした[9]。変電所化によって名称も「宮城中央変電所」に変わり、回線も50万ボルト2回線となった[15][16]北緯38度21分9.9秒 東経140度45分6.7秒 / 北緯38.352750度 東経140.751861度 / 38.352750; 140.751861 (宮城中央変電所)

脚注

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注釈

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  1. ^ 3系統が停電、1系統がメンテナンス中で送電停止していた
  2. ^ 震災当時1号機と3号機が運転中、2号機は定期検査で制御棒の引き抜き作業中だった。
  3. ^ 『国会画報』では84.33kmとなっている[14]
  4. ^ 所在地は、宮城県仙台市泉区福岡寺下。
  5. ^ 宮城中央支線はもともと50万ボルトでの送電を念頭において建設されており、昇圧に際しては宮城中央開閉所への変電設備追加だけで対応可能であった。

出典

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  1. ^ 東北電力プレスリリースより引用
  2. ^ a b c d e f 「招待席 東北電力電力流通本部 送電線建設センター所長 野地 健さん(57) 苦労実り送電設備完成」『河北新報』平成13年(2001年)5月21日付夕刊2面。
  3. ^ a b c d e 「電力4社の99年度設備投資計画 東北電力 3391億 原発1150億、改良1222億 全原発 火力 2000年度まで環境ISO」『日刊建設工業新聞』1999年(平成11年)3月29日付2面。
  4. ^ 「イヌワシ 営巣地近くに送電線計画 上品山で東北電力 環境影響調査の声」『毎日新聞』1996年(平成8年)6月14日付東京本社朝刊20面(宮城2)。
  5. ^ 「石巻・河北 上品山 イヌワシ営巣地に送電線建設を計画 生態への影響 懸念の声も」『河北新報』平成8年(1996年)6月15日付朝刊23面。
  6. ^ 「上品山のイヌワシ 東北電力も保護へ本腰 県、研究団体と対策探る」『毎日新聞』1996年(平成8年)8月31日付東京本社朝刊24面(宮城2)。
  7. ^ 「女川原発―仙台結ぶ新たな送電線着工」『河北新報』平成10年(1998年)11月6日付朝刊9面。
  8. ^ 「女川原発からの新送電線が稼働 東北電力」『河北新報』平成13年(2001年)4月11日付朝刊11面。
  9. ^ a b c d e f 「東北電力宮城中央開閉所 変電所化工事、着々と 7月末 総合進捗率約9割に」『電気新聞』2009年(平成21年)8月19日付5面。
  10. ^ a b 稻本登史彦「サイト2012 女川の安全対策 防潮堤に加え防潮壁設置 52㍍もの高台に電源装置」『電気新聞』2012年(平成24年)5月21日付10面。
  11. ^ a b c 「東北電力 宮城中央で安全祈願 50万V変電所 新設工事、無事故誓う」『電気新聞』2007年(平成19年)5月7日付5面。
  12. ^ 「GRAPHIC DOCUMENT 山あり川あり田んぼあり…、「松島幹線」新設工事中 東北電力」『エネルギーフォーラム』第45巻第7号、1999年7月、59-61ページ。
  13. ^ 東北電力50年史編集委員会編集『東北電力株式会社 50年のあゆみ』東北電力、2001年、219ページ。
  14. ^ 「東北電力 松島幹線・宮城中央開閉所が竣工へ 女川原子力3号機(82.5万kW)の送電に合せ今4月の運開」『国会画報』第43巻第2号、2001年2月、30-35ページ。
  15. ^ 青葉幹線・宮城中央支線および関連変電所の50万Vでの営業運転開始について~東北北部50万V系統建設工事の一環として~東北電力 プレスリリース 添付資料 2018年6月25日閲覧
  16. ^ 青葉幹線・宮城中央支線および関連変電所の50万Vでの営業運転開始について~東北北部50万V系統建設工事の一環として~東北電力 プレスリリース 平成22年 6月16日 2018年6月25日閲覧

参考文献

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