松宮宏
松宮 宏(まつみや ひろし、1957年 - )は、日本の小説家。大阪府大阪市出身。大阪府立生野高等学校を経て、1980年大阪市立大学文学部心理学科卒業。デザインビジネスのコンサルタントでもある。
小説家として
[編集]2000年の日本ファンタジーノベル大賞で『こいわらい』が最終選考に残る。6年後にマガジンハウスから出版。2007年の「Tokyo Project Gathering」でもプレゼンされた[1]。
『こいわらい』の続編となる『燻り亦蔵』については、幻冬舎の文芸誌で書評家の香山二三郎が「全く新しい剣術小説」と評した[2]。
敬愛する作家は、藤沢周平、アガサ・クリスティ、ジョン・グリシャム、エルモア・レナード。
作品
[編集]こいわらい(2006年10月19日 マガジンハウス)ISBN 978-4838717194
舞台:京都
メグルが鴨川の河原で拾った棒は500年前の桜の古木だった。交通事故で両親を失ったメグルは自身も脳に障害を抱えるが、剣術遣いの才能が開花する。大金持ちの「用心棒バイト」に雇われ、夜な夜なチンピラをやっつける中、最強の敵が現れる。そんな時、棒を使う技が古伝書によって「こいわらい」と知る。剣術+サスペンス、現代の京都を舞台にした雅にあふれる冒険小説
燻り亦蔵(2007年7月19日 マガジンハウス)ISBN 978-4838717651
舞台:京都、ニューヨーク
路上喫煙が全面的に禁止になったニューヨークで、58歳のリストラ社員亦蔵はタバコを吸い続け、逮捕され続ける。売上が減り続けるタバコ産業は亦蔵を利用しようともくろみ、策略はワシントンを舞い込む政争へ発展、マフィアの殺し屋が亦蔵を狙う。会長が用心棒としてメグルを派遣する。亦蔵が最後の出所を迎えるニューヨーク警察でメグルの秘剣が炸裂する。ワシントンやFBI、マフィアを巻き込んだ大活劇。
はるよこい(2009年3月19日、PHP研究所)ISBN 978-4569705651
舞台:大阪道修町、東京新宿
新開発の女性向け「媚薬」がしがない薬屋を長者へ仕立て上げる。
その陰で没落するIT企業が悪意を持って引きづりおろそうとするが、智恵と勇気で戦いを挑んでいく。大阪道修町にある老舗町薬局の逆転。エロチックな冒険小説。
秘剣こいわらい(2013年1月16日、講談社)ISBN 978-4062774475
こいわらいの文庫化であるが60ページ分加筆している。登場人物とエピソードが増えている。
くすぶり亦蔵 秘剣こいわらい(2013年7月12日、講談社)ISBN 978-4062776080
くすぶり亦蔵の文庫化
まぼろしのパン屋(2015年9月4日、徳間書店) ISBN 978-4-19-893997-7
舞台:神奈川大和市 東京渋谷
朝から妻に小言を言われ、満員電車の席とり合戦に力を使い果たす高橋は、どこにでもいるサラリーマン。しかし会社の開発事業が頓挫して責任者が左遷され、ところてん式に出世。何が議題かもわからない会議に出席する日々が始まった。そんなある日、見知らぬ老女にパンをもらったことから人生が動き出す。
ホルモンと薔薇(文庫:まぼろしのパン屋に収録)
舞台:神戸元町
元町高架下商店街の焼肉屋の春子は、自転車で「モツ(小腸)」を配達中、かっぱらいどろぼうのバイクに遭遇、腸を投げつけて逮捕に協力する。
腸フェチの外科医、薔薇を配達する自衛隊員、神戸の不思議な人情物語。
こころの帰る場所(文庫:まぼろしのパン屋に収録)
舞台:姫路
ヤンキー最悪地区の姫路で族を張っていた若者は、寂しい母子家庭の暮し。
刑事に諭され、母親に泣きつかれ、いやいやながらも列車の車掌として就職し、
偶然にも人助けをしたことで大人になっていく。若者の卒業物語。
さくらんぼ同盟(2016年3月15日、講談社) ISBN 978-4062933414
舞台:東京板橋
人間の体内から摘出されたさくらんぼ大の腫瘍が、究極の美味だったことから始まる大騒動。食通の街金社長が美味に狂い、警察、検察、新宿歌舞伎町の中国マフィアを混乱に落とし込む。さまざまな病気を抱え、悲嘆にくれる人間達が、「さくらんぼ」のお陰で幸せをつかむ。ファンタジーサスペンス。
さすらいのマイナンバー(2016年11月15日、徳間書店) ISBN 978-4198941680
舞台:神戸元町、長田(まぼろしのお好み焼きソース前編)
小さな郵便局に勤める青年。外回りの仕事にマイナンバーの書類を配布する仕事が加わるが、地元は配達困難家庭が多い地区。耳が聞こえないふりをする頑固な老婦人、包丁飛び交う夫婦げんか、ヤクザ親分の自宅。とはいえ給料は安い。小遣い稼ぎにと頼まれて、ATMから金を引き出すことになるが、とんでもない詐欺にかかわることになってしまう。
まぼろしのお好み焼きソース(2016年12月15日、徳間書店) ISBN 978-4198941796
舞台:神戸長田(さすらいのマイナンバーを前編として第4章からはじまる)
夫婦二人でソースを作っていた町工場。奥さんの体調不良と借金がかさんで倒産の危機。神戸の下町を舞台に、様々な職種の人たちが絡み合いながら、工場を再建する。神戸の抗争事件に関わらざるをえない極道組織も、街の人たちとのふれあいの中、あらたな人生へ踏み出していく。おいしいソースの香りにまみれる下町人情小説。
アンフォゲッタブル(2019年4月15日、徳間書店) ISBN 978-4198944605
ひょうご本大賞2023受賞作品
舞台:神戸
プロのジャズミュージシャンを目指す栞は、生活のために保険の外交員をしている。ある日、潜水艦の設計士を勤め上げたという男の家に営業に行くと、応対してくれた妻と、ジャズの話題で盛り上がり、自分が出るライブに誘った。そのライブで彼女は安史と再会する。元ヤクザらしいが、凄いトランペットを吹く男だ。
様々な環境の人たちが、日本で最初にジャズバンドが生まれた街で、ジャズをきっかけに知り合い、神戸の再開発を巡る騒動に巻き込まれながら、逞しく生きていく姿を描く。
スマイル(2021/11/10 mana:AMAZON DIRECT) ISBN 9798760127761 ASIN B09LGLGK5S
舞台:東京、ロサンゼルス
アイスホッケー女子日本代表「スマイルジャパン」に架空の選手「アン」を加えて進む。アメリカでアイスホッケーに出会った「アン」はジュニアを経て全米大学選手権で活躍する。日本代表はアンを帰国させるがソチは全敗、所属する事になった社会人チームもリンク閉鎖の危機。女子アスリートの生活は挫折だらけ。しかし人生は奇なもの。予想だにしない話が展開してゆく。舞台は日本、アメリカ、オリンピックへ。夢と希望を紡ぐアスリートの冒険物語。日本の巨大企業や試合をコントルールしようとするギャンブラー、歴代の名選手たち、ハリウッドの映画スター、フリーメイソンも登場する。
鎌倉の怪人(web小説) 福富書房にて前半を無料公開
舞台:鎌倉
日本万国博覧会が開催され、三島由紀夫が割腹し、赤軍派に日航機よど号が乗っ取られた昭和45年頃、北鎌倉は今にもまして静かな街であった。ある日北鎌倉駅に勤務する駅員の青年が、崖の内側から奇妙な物音がするのを聞く。
万延元年のニンジャ茶漬け(2023年2月8日、徳間書店) ISBN 978-4198948238
舞台:アメリカ フィラデルフィア、ワシントンDC、紀州
アメリカの南北戦争で傑出した活躍をし、あるいは奇談を引き起こした海軍少将サムエル・スイード・デュラン。名家の出身で偉丈夫の彼は、なんとニンジャに憧れていた! 折しも、遣米使節団が立ち寄ったボルチモアで、村垣淡路守の摩訶不思議な挙動に惹きつけられていく。西洋文明に取って、未知な国ニッポン。異文化交流で起きる奇妙な勘違いが友情を生む
太秦の次郎吉(万延元年のニンジャ茶漬けに収録)
舞台:京都 京都国民文化祭ノベルなび「祇園森良扇子賞」受賞作
京都で捕まったどろぼうに接見した女性弁護士は、彼の素性を探ると……。
鈴蘭台のミモザ館(万延元年のニンジャ茶漬けに収録)
舞台:神戸鈴蘭台
さいたま出身だが、京都に憧れ大学に通ったのに、就職で神戸に住むことになった女性に巻き起こる騒動
竜馬ときらり(2023年4月10日、神戸新聞出版センター) ISBN 4343011917
ISBN 978-4343011916
舞台:現代、昭和、幕末の神戸
幕末、昭和、令和の三つの物語が、一つの”夢”を生み出す。
時空を越えた不思議な歴史ドラマ
すたこらさっさっさ(2024年5月10日、徳間書店)
ISBN 4198949433
舞台:現代、平成、昭和の大阪
菅原道真からはじまる梅田の歴史は、阪急を創設した小林一三、紀伊國屋書店をつくった田辺茂一へ受け継がれた。
令和のいま、茂一の座敷わらしが、大阪らしい予想外の展開を繰り広げているのを見ている。
祖祖母、父、娘の三代と、運命の縁でつながった人たちが、大阪梅田、西成、京都祇園を舞台に、虚実入り交じって描かれる、ちょっとあったかい物語。
テレビドラマ
[編集]- こいわらい(2010年、NHKワンセグ2、Eテレ)
デザインビジネス関係
[編集]コミュニケーションデザイン開発 鉄道会社「スキマモリ」クリエイティブ開発ほか
デザイン教育関係
[編集]大阪公立大学 文学研究科 客員教授(心理学専攻)
大阪芸術大学短期大学部 客員教授(デザイン美術学科)
大阪市立デザイン教育研究所 非常勤講師(デザインストラテジー、トレンド講座)
武庫川女子大学経営学部 非常勤講師(ファッションビジネス、ヴィジュアル・マーケティング)
青山学院大学総合文化政策学部 協力教員(エリア文化論)
受賞
[編集]「アンフォゲッタブル」 ひょうご本大賞2023
「太秦の次郎吉」 京都金の扇子賞
ほか
[編集]神戸市文化芸術推進ヴィジョン策定懇話会委員 2019年8月〜