コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

東京ミネルヴァ法律事務所

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
弁護士法人東京ミネルヴァ法律事務所
元の種類
弁護士法人
業種 サービス業
設立 2012年4月5日[1]
創業者 室賀晃
解散 2020年6月10日
本社 日本の旗 日本 東京都港区新橋二丁目12番17号 新橋I-Nビル 9階[1][2]
主要人物
川島浩(前代表/前清算人
サービス 法律事務
所有者 破産管財人 岩崎晃[1][2]
従業員数
弁護士6名

弁護士法人東京ミネルヴァ法律事務所(とうきょうミネルヴァほうりつじむしょ)は、かつて東京都港区新橋二丁目に事務所を置いていた弁護士法人である。2020年6月10日に総社員の同意により解散し、同年6月24日に弁護士法人としては過去最大の約51億円に及ぶ負債総額を抱えて破産した。

概要

[編集]

設立

[編集]

2012年4月に設立[2]。個人向けでは債務整理、B型肝炎給付金請求などを、法人向けでは一般企業法務、事業再生・倒産案件をそれぞれ手掛けていた。

全国ネットのCMで積極的な広告展開を行い、全国各地で出張無料相談会を開催することで実績を重ねて規模を拡大し、一定の知名度があった[1][2]

赤字拡大による破産

[編集]

しかし、2019年3月時点で31億8100万円へ赤字が拡大し[3]、代表弁護士である川島浩が所属する第一東京弁護士会に対する会費が未納であった他[2][4]、2020年6月ごろから連絡が取れないという苦情が第一東京弁護士会に寄せられていた[4][5]

東京ミネルヴァ法律事務所は、2020年6月10日に総社員の同意により解散したと同時に、川島が預り金を流用していたことを告白[1][2][3]。財産保全のため、第一東京弁護士会は同年6月24日に東京地方裁判所へ債権者破産を申し立て、同日に破産手続開始決定を受けた[1][2][3][4]負債総額は約51億円。川島も同年6月26日に東京地方裁判所から破産手続開始決定を受けた[6]。東京ミネルヴァ法律事務所と川島の破産管財人には、川島と同じ第一東京弁護士会に所属している弁護士が選任されている[1][2][6]

第一東京弁護士会の寺前隆会長は、破産手続開始決定当日に談話を発表し、回収した過払い金の保管状況に不明な点があったことを明らかにした他、「多数の依頼者に甚大な不利益を与えるものであり、弁護士法人として到底許されるものではない」と遺憾の意を示した。また、東京ミネルヴァ法律事務所並びに川島浩弁護士に対して、懲戒処分を始めとした厳正な対応を行うことを明らかにした[5][7][3]

川島は、「東京ミネルヴァ法律事務所は『広告を請け負っていた広告代理店』に事実上支配されており、その会社へ利益を流す形になる非弁提携行為であった」と主張している。第一東京弁護士会による債権者破産手続きをとった背景には弁護士法人の決済印などを使うことができないため、資産の保全のための自己破産が不可能で、法人を解散し所属弁護士を移籍させ、弁護士会費を原因債権とする弁護士会による債権者破産を依頼して、弁護士会が応じたというものがあるという[8]。なお、当該の広告代理店は、これを否定している。

川島は破産決定で弁護士資格を喪失した[9]

第一東京弁護士会は2024年2月17日付で東京ミネルヴァ法律事務所を除名の懲戒処分とした。回収した過払い金約30億2千万円のうち、同事務所が約25億4千万円を依頼者に返さず不正に流用したと認定した[10][11]

同事務所への訴訟

[編集]
6000万円の損害賠償訴訟
2022年1月19日、過払い金の返還請求などをミネルヴァに依頼していた17名の顧客が、「ミネルヴァを実質的に運営していた広告会社が、本来であれば顧客に返金されるべき金融機関から回収された金を不正に持ち出した」として、ミネルヴァの業務提携先であった東京都内の広告代理店などグループ3社と代表ら13人を相手取り、6000万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に提起した[12][13]

脚注

[編集]
  1. ^ a b c d e f g TSR速報 弁護士法人東京ミネルヴァ法律事務所東京商工リサーチ 2020年6月24日
  2. ^ a b c d e f g h 倒産・動向速報記事 弁護士法人東京ミネルヴァ法律事務所帝国データバンク 2020年6月24日
  3. ^ a b c d “過払い金CMの大手弁護士法人、「東京ミネルヴァ」破産の底知れぬ闇”. ダイヤモンド・オンライン. (2020年6月25日). https://diamond.jp/articles/-/241503 
  4. ^ a b c “ミネルヴァ事務所が破産へ 弁護士法人で負債過去最大”. 日本経済新聞. (2020年6月24日). https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60752250U0A620C2CC1000/ 
  5. ^ a b “過払い金返還CM、東京ミネルヴァ法律事務所が破産”. 朝日新聞. (2020年6月25日). https://www.asahi.com/articles/ASN6T6724N6TUTIL01G.html 
  6. ^ a b 破産手続開始決定のお知らせ東京ミネルヴァ法律事務所破産管財人ホームページ
  7. ^ “当会所属の弁護士法人に関する会長談話”. 第一東京弁護士会. (2020年6月24日). http://www.ichiben.or.jp/opinion/opinion2020/post_440.html 
  8. ^ 伊藤歩 (2020年7月9日). “弁護士事務所の「乗っ取り」が相次ぐ深刻な背景”. 東洋経済オンライン. https://toyokeizai.net/articles/-/361545 
  9. ^ 東京ミネルヴァ解散から1年、破産の経緯を振り返る弁護士ドットコム
  10. ^ “破産の東京ミネルヴァ法律事務所を除名処分 25億円の不正流用認定”. 朝日新聞. (2024年2月19日). https://www.asahi.com/sp/articles/ASS2M6G7BS2MUTIL00N.html 2024年2月19日閲覧。 
  11. ^ “「東京ミネルヴァ法律事務所」を除名処分 25億円不正流用で弁護士会”. 産経新聞. (2024年2月19日). https://www.sankei.com/article/20240219-BFSRLRGGKVIXHB6ZZZBETADNSI/ 2024年2月19日閲覧。 
  12. ^ TBS(2022年1月19日)「過払い金CMで有名も破産「ミネルヴァ法律事務所」の顧客らが提訴
  13. ^ NHK(2022年1月19日)「「東京ミネルヴァ法律事務所」破綻 預かり金不正流用で提訴

外部リンク

[編集]