本朝水滸伝
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『本朝水滸伝』(ほんちょうすいこでん)は、建部綾足が江戸時代後期に著した読本作品。中国文学の『水滸伝』の翻案。安永2年(1773年)前編10巻刊、後編15巻は写本で伝わるが未完である。
概要
[編集]前編は10巻20条、後編は15巻30条、後編付載の続編目録には70条までの記載があり、『水滸伝』100回本か120回本に倣い、100条か120条で完成する予定だったとされる[1]。古語を用いた雅文体の読本で、長編読本の嚆矢であり、『水滸伝』の翻案としても早いものである[1]。
あらすじは、味稲の翁が吉野川で拾った柘の枝から仙女が現れ、翁に柘の枝を百段に折って吉野川に流させ、これが様々な身分の人となって吉野に戻ってくると告げる[2]。孝謙天皇の寵愛を受けて法皇となった道鏡の専横に対して、恵美押勝らが対抗して道鏡を倒そうと試みる[2]。押勝は亡命後、伊吹山を拠点とし、白猪老父(正体は押勝の兄豊成)に道祖王を預けて東国に下る[2]。その一方、和気清麻呂・大伴家持らも蜂起を図るというものである[2]。舞台は奥州から九州までに及び、蝦夷の棟梁や楊貴妃も登場する奔放な構想である[1]。
刊行本
[編集]校訂本