プロトサイエンス
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(未実証な仮説から転送)
プロトサイエンス(protoscience)とは、科学哲学において科学以前の、科学的プロセスにより研究されつつある新しい分野を呼ぶときに使われる言葉である[1]。日本語の日用語として未定着である。使われる場合も意味は浮動しており、使う場面ごとに意味は変わるような状況である。
プロトサイエンスの用語は日本ではほとんど使われない。定訳ではないが、物事の科学性を論じる場面で未科学[2]あるいは未知科学[3]と使われる[注釈 1]。
意味と主張
[編集]この用語の使用者は科学や「疑似科学」の意味も使う人により違うと主張し、「プロトサイエンス」は「確立した科学」と「疑似科学」の中間にあり、科学的方法を用いた探求である、とする[3]。
またプロトサイエンスの立場においては、「未科学」は「科学的に解明されていない未知の現象すべて」と解釈されるものだが、プロトサイエンスはより形式的に、かつ疑似科学とは異なる、とする[4]。
羽間鋭雄は事実があって科学的に立証できないのは科学が未熟で未科学であるためであり、未科学と非科学を混同してはならないと主張し[5]、「未科学現象」は科学がまだ進歩していないからあるのではなく、科学者が専門分野から出て市民の疑問に答えないから、未科学のままなのだと池谷元伺は主張し[6]、対して松本紘は「科学」の外側にある科学になっていない領域と言う意味で「非科学」は「未科学」とも言えると主張している[7]。
プロトサイエンスとして扱われているもの
[編集]未科学として扱われているもの
[編集]注釈
[編集]脚注
[編集]- ^ 三井寛文 2012, p. 7.
- ^ 菊池聡 2017, p. 39.
- ^ a b 山本輝太郎 & 佐藤広英 2022, p. 185.
- ^ 菊池聡 2013, p. 15.
- ^ 羽間鋭雄 2001, p. 60.
- ^ 池谷元伺 2002, p. 2.
- ^ 松本紘 2018, p. 31.
- ^ 鈴木健郎 2003, p. 2.
- ^ a b ベンジャミン・フルフォード 2015, p. 36.
- ^ John Kaisermann, Milos Pawlowski & Yavor Mendel 2019, p. 34.
- ^ 森和 1995, p. 791.
- ^ 佃為成 2009, p. 70.
- ^ 時安邦治 2013, p. 1.
- ^ 三柴丈典 2014, p. 70.
参考文献
[編集]- 大辞林 第2版, 松村明・三省堂編修所
- 森和「鍼灸医学への科学的アプローチ」『日本東洋医学雑誌』第45巻第4号、日本東洋医学会、1995年、791-809頁、doi:10.3937/kampomed.45.791、ISSN 0287-4857、NAID 20001483055、CRID 1573387449084606720、2022年11月6日閲覧。
- 羽間鋭雄「食と健康・体力 (インターネット講座 : スポーツとアクティブライフを楽しむ(第9回))」『大阪市立大学保健体育学研究紀要』第37巻、大阪市立大学保健体育研究室、2001年、55-60頁、ISSN 0474-795X、OCLC 988999660、CRID 1050282677423255424、2022年11月6日閲覧。
- 池谷元伺「地震前兆の「モーゼ現象」-旧約聖書の「割れた海」」『Laser cross』第170号、レーザー技術総合研究所、2002年、1-2頁、ISSN 0914-9805、NDLJP:8206114、2022年11月6日閲覧。
- 鈴木健郎『白玉蟾における内丹と雷法 : 中国的"神秘主義"と"呪術"の論理』(PDF) 東京大学〈博士 (文学) 甲第17698号〉、2003年、1-4頁。 NAID 500000290176。国立国会図書館書誌ID:000007701234 。2022年11月6日閲覧。
- 佃為成『地下からのサインを追って : 水・電気・ガス・波』(プレプリント)〈地震予知研究ノート ;4〉、2009年1月、69-80頁。OCLC 1153138291。CRID 1130282270133688704 。2022年11月6日閲覧。
- 三井寛文「文化現象としての疑似科学考察」『常民文化』第35号、成城大学、2012年、1-28頁、ISSN 03888908、NAID 110009623493、OCLC 838749394、CRID 1050001202582113152、2022年10月10日閲覧。
- 菊池聡「疑似科学からの批判的思考入門」『心理学ワールド』第61号、日本心理学会、2013年、13-16頁、ISSN 0021-5236、NAID 120007100484、OCLC 752010257、国立国会図書館書誌ID:024714260、2022年10月10日閲覧。
- 時安邦治「ポピュラー文化の科学像--人々が夢見る科学」『科学研究費助成事業(科学研究費補助金)研究成果報告書』、学習院女子大学、2013年、1-4頁、CRID 1040000782129009024、2022年11月6日閲覧。
- 三柴丈典「産業精神保健法学の狙い」『学術の動向』第19巻第1号、日本学術協力財団、2014年、70-75頁、doi:10.5363/tits.19.1_70、ISSN 18847080、NAID 130004747155、国立国会図書館書誌ID:025164870、2022年11月6日閲覧。
- ベンジャミン・フルフォード『闇の支配者に握り潰された世界を救う技術<現代編>』イースト・プレス、2015年、36頁。ISBN 9784781612836 。2022年11月6日閲覧。
- 菊池聡「中学高校生の疑似科学信奉と科学への態度の関連性」『信州大学人文科学論集』第4号、信州大学人文学部、2017年、39-52頁、ISSN 24238910、NAID 120007100803、OCLC 879621546、国立国会図書館書誌ID:029230191、2022年10月10日閲覧。
- 松本紘「人と科学と未科学」『東アジア・サマースクールジャーナル』第6号、奈良県立大学、2018年、31頁、2022年11月6日閲覧。
- John Kaisermann、Milos Pawlowski、Yavor Mendel『医学の歴史』Cambridge Stanford Books、2019年、34頁。ISBN 9781078780346 。2022年11月6日閲覧。
- 山本輝太郎、佐藤広英「オンライン掲示板コミュニケーションにおけるファシリテーション的介入効果の実験的検討」『日本教育工学会論文誌』第46巻第1号、日本教育工学会、2022年、183-191頁、doi:10.15077/jjet.45033、ISSN 21896453、NAID 130008107882、国立国会図書館書誌ID:032036627、2022年10月10日閲覧。