コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

木枯らし

半保護されたページ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
木枯しから転送)

木枯らし(こがらし)は、晩秋から初冬に吹く、木の葉を吹き散らすような冷たい寄りの風[1]冬型の気圧配置になったことを示す現象である。とも表記する。

仕組み

ユーラシア大陸から日本に向かって吹いてくる冬の季節風日本海を渡る時に水分を含む。そして一般に日本列島の中央部には連山があるために、日本海側ではこの風が時雨となって雨や雪を降らせたことで水分を失う。結果、山を越えた太平洋側では乾燥した空気となり、これが吹き抜けることによって木枯らしとなる。

木枯らし一号

気象庁は、立冬前後に吹く毎年最初の木枯らしを木枯らし一号(こがらしいちごう)として、東京大阪について発表している[1]

その条件は、東京では

  1. 期間は10月半ばから11月末の間。
  2. 気圧配置は西高東低の冬型となり、季節風が吹くこと。
  3. 風向は西北西から北
  4. 最大風速はおおむね風力5(風速8 m/s以上。

大阪では

  1. 期間は霜降(10月23日ごろ)から冬至(12月22日ごろ)の間。
  2. 気圧配置は西高東低の冬型。
  3. 風向は北寄り
  4. 最大風速は8 m/s以上

以上の条件を満たしたとき、東京は気象庁予報部予報課の天気相談所、大阪は大阪管区気象台気象防災部予報課がそれぞれ発表する。

「木枯らし一号」は関東地方(東京)と近畿地方(大阪)でしか発表されない。なお、「木枯らし二号」や「木枯らし三号」も起こり得るが、発表は行われない[2][3][4][5]

1991年に現在の基準が採用され始めた。また、気象庁がいつから「木枯らし1号」についての発表を始めたかについては正確な記録がない。

木枯らし一号の統計

関東地方 近畿地方
1951年 11月5日
1952年 11月1日
1953年 11月27日
1954年 11月11日
1955年 10月30日
1956年 10月20日
1957年 10月17日
1958年 10月27日
1959年 (発生せず)
1960年 11月27日
1961年 11月13日
1962年 (発生せず)
1963年 11月9日
1964年 10月25日
1965年 11月10日
1966年 11月15日
1967年 11月13日
1968年 11月18日
1969年 11月28日
1970年 10月26日
1971年 11月8日
1972年 11月11日
1973年 11月18日
1974年 11月10日
1975年 11月10日
1976年 10月25日
1977年 (発生せず)
1978年 11月9日
1979年 (発生せず)
1980年 10月31日
1981年 11月28日
1982年 10月25日
1983年 10月29日
1984年 11月25日
1985年 11月2日
1986年 10月18日
1987年 11月6日 12月1日
1988年 10月13日 10月29日
1989年 11月14日 11月1日
1990年 10月27日 11月10日
以下現在の基準
1991年 11月9日 11月25日
1992年 10月26日 (発生せず)
1993年 11月22日 10月23日
1994年 11月4日 11月3日
1995年 11月11日 11月1日
1996年 10月26日
1997年 10月27日 10月26日
1998年 11月5日 11月10日
1999年 11月16日
2000年 10月18日 12月11日
2001年 11月6日
2002年 11月2日 10月27日
2003年 11月17日 12月19日
2004年 11月13日 11月27日
2005年 11月12日 12月5日
2006年 11月12日 11月7日
2007年 11月18日
2008年 11月1日 11月18日
2009年 11月2日
2010年 10月26日
2011年 10月26日 10月25日
2012年 11月18日 10月29日
2013年 11月11日 11月4日
2014年 10月27日
2015年 10月24日 10月25日
2016年 11月9日 10月29日
2017年 10月30日[6]
2018年 (発生せず) 11月22日
2019年 (発生せず) 11月4日
2020年 11月4日 10月23日[7]
2021年 (発生せず)[8] 10月23日[9]
2022年 (発生せず)[10] 11月13日[11]
2023年 11月13日[12] 11月11日[13]
2024年 11月7日[14] 11月7日[14]

最も早かった(遅かった)日(年)

東京

最早記録10月13日(1988年(昭和63年))

最晩記録11月28日(1969年(昭和44年)、1981年(昭和56年))

大阪

最早記録10月23日(1981年(昭和56年)、1993年(平成5年)、2020年(令和2年)、2021年(令和3年))

最晩記録12月19日(2003年(平成15年))

吹かなかった年

統計を始めた1951年(昭和26年)以降が対象[10]

東京

1959年(昭和34年)、1962年(昭和37年)、1977年(昭和52年)、1979年(昭和54年)、2018年(平成30年)、2019年(令和元年)、2021年(令和3年)、2022年(令和4年)

 このうち冬を通して暖かかった(暖冬)のは、1959年(昭和34年)、2018年(平成30年)、2019年(令和元年)が挙げられる。

大阪

1992年(平成4年)

木枯らしを題材にした楽曲

競馬

2007年2008年大井競馬で木枯特別競走が行われた。

脚注

  1. ^ a b 気象科学事典, p. 204「木枯らし」(著者: 宮澤清治
  2. ^ 木枯らし1号って何のこと?
  3. ^ 木枯らし1号、なぜ東京と近畿だけ?2号はあるの?…気象庁に聞いてみた
  4. ^ 東京・近畿地方で『木枯らし1号』発表
  5. ^ 木枯らし1号とは?発表基準や条件と記録
  6. ^ 東京、近畿で木枯らし1号 産経ニュース(2017年10月30日)2017年10月30日閲覧
  7. ^ 近畿で昨夜「木枯らし1号」…観測史上最も早く : 社会 : ニュース”. 読売新聞オンライン (2020年10月24日). 2020年10月24日閲覧。
  8. ^ 東京 2年ぶり「木枯らし1号」発表なし 今冬は気温低い予想”. NHK. 2022年6月30日閲覧。
  9. ^ 近畿で最も早い「木枯らし1号」…彦根で最大瞬間風速15・2m : 社会 : ニュース”. 読売新聞オンライン (2021年10月23日). 2021年10月23日閲覧。
  10. ^ a b 東京、今年も「木枯らし1号」吹かず 気象庁発表”. 毎日新聞. 2022年12月11日閲覧。
  11. ^ 近畿で「木枯らし1号」 昨年より21日遅く”. 大阪日日新聞 (2022年11月14日). 2022年11月14日閲覧。
  12. ^ 日本放送協会 (2023年11月13日). “東京で3年ぶり「木枯らし1号」14日は各地でさらに気温下がるところも | NHK”. NHKニュース. 2023年11月13日閲覧。
  13. ^ 全国各地冷え込む 札幌や函館で初雪 近畿では「木枯らし1号」”. NHK日本放送協会. 令和5年11月11日閲覧。
  14. ^ a b “【速報】東京地方と近畿地方の木枯らし1号を発表 気象庁”. テレ朝. https://news.yahoo.co.jp/articles/53d3ef3235520d0701f356eb1bde2cd9d01a85bf 2024年11月7日閲覧。 

参考文献

  • 日本気象学会 編『気象科学事典』東京書籍、1998年。ISBN 4-487-73137-2 
  • 気象庁キャンペーン資料 (PDF)
  • 気象庁調べ

関連項目