コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

木下英夫

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

木下 英夫(きのした ひでお、1942年5月10日 - 2002年12月1日)は、日本の哲学者倫理学者

来歴

[編集]

東京葛飾区柴又生まれ。1958年東京都立小山台高等学校入学。1963年東京大学教養学部文科III類入学[1]。1967年東京大学大学院修士課程(倫理学専攻)入学[1]。1970年名古屋大学大学院博士課程(哲学専攻)入学[1]。1978年より横浜国立大学教育学部講師となり、後に教授となる。1982年より1984年まで、反核ミニコミ誌「一寸の虫」(同時代社刊)刊行した。2002年12月、胆管がんの術後のMRSA感染症による敗血症により死去。

思想

[編集]

古在由重の開催していた、哲学研究会である、「古在ゼミ」の門下生。1980年代初頭、原水爆禁止世界大会の準備会事務局(日本青年館地下にあった)で、ボランティア活動を行い、市井の多くの人の意見に共感し「戦争はいやだ[2]」(同時代社刊)の出版に協力する。

松川事件の真相究明を探る「松川研究会」会員でもあった。作家稲沢潤子氏の『東京起点261キロ 松川事件・ある青春物語』(恒和出版刊[3])の編集に協力。その後福島大学に内地留学し、松川資料館[4]の設立に寄与。横浜国立大学在職中、アメリカの公文書公開法により明らかにされた文献の翻訳の最中、病魔に教われ、その生涯を松川事件研究に捧げた。

1984年に、これからは政党の大衆運動ではなく、草の根の市民運動の時代だと感じ、平和事務所(東京・文京区[当時])の設立に寄与した。設立当時、日本共産党から離党・除名された者もいたため、反党分子の巣窟だというようなキャンペーンが党の機関紙「赤旗」上で繰り返された。平和事務所の実質的解体後は、目白にて行われた読書を中心とする「ア・タイムの会」(A time or Alchool timeの意)に出席した。

著書

[編集]
  • 『松川事件と広津和郎―裁判批判の論理と思想』(同時代社、2003年)ISBN 978-4-88683-512-3
  • 『崩壊の時代に』(同時代社、2002年)共著 ISBN 978-4-88683-463-8
  • 『講座マルクス主義研究入門』第1巻哲学に寄稿(「哲学と階級闘争」) 青木書店、1975年

論文

[編集]
  • 木下英夫「良心論への一視角」『倫理学年報』第25号、日本倫理学会、1976年、201-213頁、ISSN 04830830NAID 110000366864 
  • 木下英夫「裁判批判の論理と思想」『横浜国立大学人文紀要 第一類 哲学・社会科学』第25号、横浜国立大学、1979年11月、1-14頁、ISSN 05135621NAID 110005858228 
  • 木下英夫「良心論序説」『横浜国立大学人文紀要 第一類 哲学・社会科学』第27号、横浜国立大学、1981年11月、51-62頁、ISSN 05135621NAID 110000361831 
  • 木下英夫「〔広津和郎〕裁判批判の論理と思想-2-」『横浜国立大学人文紀要 第一類 哲学・社会科学』第29号、横浜国立大学、1983年10月、67-77頁、ISSN 05135621NAID 110000361844 
  • 木下英夫「〔広津和郎〕裁判批判の論理と思想-3-」『横浜国立大学人文紀要 第一類 哲学・社会科学』第31号、横浜国立大学、1985年10月、41-54頁、ISSN 05135621NAID 110005858237 
  • 木下英夫「〔広津和郎〕裁判批判の論理と思想-4-」『横浜国立大学人文紀要 第一類 哲学・社会科学』第33号、横浜国立大学、1987年10月、53-66頁、ISSN 05135621NAID 110000361860 
  • 木下英夫「〔広津和郎〕裁判批判の論理と思想-5-」『横浜国立大学人文紀要 第一類 哲学・社会科学』第35号、横浜国立大学、1989年10月、115-127頁、ISSN 05135621NAID 110005858370 
  • 木下英夫「裁判批判の論理と思想(6)」『横浜国立大学教育人間科学部紀要 (0xF9C2) 人文科学』第1号、横浜国立大学教育人間科学部、1998年11月、63-81頁、ISSN 1344462XNAID 110000035171 
  • 木下英夫「裁判批判の論理と思想(7)」『横浜国立大学教育人間科学部紀要 (0xF9C2) 人文科学』第2号、横浜国立大学教育人間科学部、1999年11月、1-17頁、ISSN 1344462XNAID 110000035176 
  • 木下英夫「裁判批判の論理と思想(8)」『横浜国立大学教育人間科学部紀要 (0xF9C2) 人文科学』第3巻、横浜国立大学教育人間科学部、2000年10月、1-16頁、ISSN 1344462XNAID 110000035184 
  • 木下英夫「裁判批判の論理と思想(9)」『横浜国立大学教育人間科学部紀要 (0xF9C2) 人文科学』第4巻、横浜国立大学教育人間科学部、2002年2月、1-14頁、ISSN 1344462XNAID 110000035194 

脚注

[編集]
  1. ^ a b c 松川事件と広津和郎
  2. ^ 第2回国連軍縮特別総会(SSD II)国民運動推進連絡会議/編『戦争はいやだ : 5歳から88歳までの声』同時代社、1983/04.05。 
  3. ^ [1]
  4. ^ [2][リンク切れ]

参考文献

[編集]
  • 「一寸の虫」[3]木下英夫著(同時代社)
  • 「しんぶん赤旗」
  • 「松川事件と広津和郎」-裁判批判の論理と思想(同時代社) ISBN 4-88683-512-0