有価証券オプション
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有価証券オプションとは、個別の有価証券の銘柄を原資産とするオプション取引のこと[1][2]。証券取引所に上場している株式・ETF・REITを対象とする。日本では、かぶオプとも呼ばれる。株式を対象とするものを株券オプションや個別株オプションなどとよび、ETFを対象とするものをETFオプションと呼ぶ。上場有価証券を特定の日に特定の値段で売買する権利の取引。原資産を株価指標などにする一般的なオプション取引と比較すると、リスクが大きい傾向がある[1]。
沿革
[編集]2010年時点で、国際的には1日あたり約2,000万枚の有価証券オプション取引が行われており、広く普及していた[2]。
日本においても、従来より東京証券取引所や大阪証券取引所(当時は両者は別グループ)が、有価証券オプションの取引の拡大を図っていたものの[2]、普及は進んでいなかった[3]。しかし、2011年には、SBI証券に加え、カブドットコム証券、岡三証券、インタラクティブ・ブローカーズ証券の4社が個人投資家向けの有価証券オプションの営業に参入することとなった[3]。マーケットメーカーはインタラクティブ・ブローカーズ証券であり、2018年現在、ネットで取引ができる証券会社はIB証券と光世証券の2社。また、同年には、東京証券取引所がこの種のオプション取引に「かぶオプ」という別名称をつけて、その普及を計画している[2]。
仕組み
[編集]コールとプットの二種類があり、ある銘柄のコールを買い持ちしていると、将来の予め決められた日(取引最終日)にあらかじめ決めておいた値段(権利行使価格)で対象の株を買うことができる。一方プットを買い持ちしていると、取引最終日に権利行使価格で株を売却することができる。
有価証券オプション取引の例
[編集]「銘柄A」を購入したい場合に、権利行使価格1,000円のコールを10円で購入し、取引最終日を待つ。
- A)取引最終日の銘柄Aの株価が1,000円以上である場合、
例えば1,200円まで株価が値上がりしていても、銘柄Aを1株1,000円で買うことができる。
- B)取引最終日の銘柄Aの株価が1,000円を下回った場合、
例えば900円まで株価が値下がりした場合、コールを用いて株を1,000円で買う必要はない。買う権利は放棄できる。
有価証券オプションの有効な使い方
[編集]カバード・コール戦略
[編集]カバード・コールとは、保有株式を有効活用して投資収益の向上を図るための投資戦略で、既に機関投資家の間では一般的に行われている取引である。株式を保有しながら、その株式を対象とするコールオプションを売却する取引手法であり オプションの売却によるオプション料を得ることで配当以上の収益獲得を狙う取引手法のこと。
カバード・コールのメリット
[編集]- 株価が値上がりしなくても、配当+α(コールの売り代金)が得られる
- 株価が権利行使価格に値上がりすれば、権利行使価格で売却できる
- 株式を単純に保有している場合に比べて新たなリスクは発生せず、下落時の部分的なヘッジになっている
カバード・コールの手順
[編集]- 手順1:カバード・コール戦略を実践したい銘柄を、保有している株・ETFから選ぶ。(銘柄の決定)
- 手順2:手順1で決めた銘柄をいくらでなら売却してよいかを決める。(権利行使価格の決定)
- 手順3:取引最終日を選ぶ。(限月の決定)
- 手順4:選んだ銘柄、権利行使価格、限月のコールを売却する
- 結果:取引最終日の株価終値が権利行使価格よりも高い場合、保有株を権利行使価格で売却できる。コールの売り代金が売却代金に加算されるため、より有利に株を売却できたことになる。 一方、取引最終日の株価終値が権利行使価格を下回った場合、保有株を売ることはできないが、コールの売り代金が利益として確定する。この場合、次限月以降のコールを売り、カバード・コールを継続できる。
脚注
[編集]- ^ a b 石原敬子『ポケット図解 最新株・証券用語がよ~くわかる本 第4版』秀和システム、2015年、313頁。
- ^ a b c d “有価証券オプション(かぶオプ)について”. 日本電子計算 (2011年5月25日). 2018年9月21日閲覧。
- ^ a b “東京証券取引所 大手オンライン証券が有価証券オプションに参入 商品先物会社にとっても営業多様化のチャンス”. 先物ジャーナル. 先物ジャーナル社 (2011年1月31日). 2018年9月21日閲覧。