最後の晩餐 (ゲー)
ロシア語: Тайная вечеря 英語: The Last Supper | |
作者 | ニコライ・ゲー |
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製作年 | 1861年 - 1863年 |
種類 | 油彩、キャンバス |
寸法 | 283.0 cm × 382.0 cm (111.4 in × 150.4 in) |
所蔵 | ロシア美術館、サンクトペテルブルク |
『最後の晩餐』(さいごのばんさん、露: Тайная вечеря, 英: The Last Supper)は、ロシアの画家ニコライ・ゲーが1861年から1863年にかけて描いた絵画である[1][2]。
縦 283.0 センチメートル、横 382.0 センチメートルの大きさをもつ[2]。キャンバスに油彩で描かれている[1][2]。サンクトペテルブルクに所在するロシア美術館のミハイロフスキー宮殿のルーム26に所蔵されている[3][4][2]。
概要
[編集]本作は、イエス・キリストが使徒たちとともに摂った最後の夕食、「最後の晩餐」を題材とした作品である[5]。1861年8月、イタリアのフィレンツェで本作の製作が開始される[6]。1863年9月、本作がサンクトペテルブルクに搬入され、帝国美術アカデミーの評議会に提出される[6]。本作は大きな称賛を受け、歴史画の教授の称号がゲーに授与された[6]。同月、帝国美術アカデミーの展示会で展示される[6]。
1864年2月12日、ロシア皇帝アレクサンドル2世によって本作が買収される[6]。同年、複製画が製作される。この複製画は、縦 67 センチメートル、横 90 センチメートルの大きさをもつもので、1928年よりサラトフのラジーシチェフ記念美術館 (ru) に所蔵されている[7][8][9]。1866年にも複製画が製作されている。この複製画は、縦 66.5 センチメートル、横 89.6 センチメートルの大きさをもつもので、トレチャコフ美術館に所蔵されている[10][11][12]。
本作におけるキリストの姿は、1861年に写真家セルゲイ・レヴィーツキー (ru) によってパリで撮影された、作家、思想家アレクサンドル・ゲルツェンの肖像写真に基づいて描かれたとされる[2][13]。
作品
[編集]最後の晩餐が行われた後の様子が描かれている[2]。晩餐の折にキリストは、「使徒のうちの1人が、私を裏切るだろう」という旨の発言をしている[5]。ユダがドアのほうへ向かい、小さな暗い部屋から出て行こうとしている[14][2]。ユダは、背後からの光を受けて影になっており、表情がほとんど見えない[5][2]。他の使徒たちは、ユダのほうに視線を向けている[7][2]。
画面の中央、白いテーブルクロスがかけられたテーブルに寄りかかる形で肘枕をして横になり、瞑想をしている人物が、キリストである[8][15][2]。画面の左側に描かれたヨハネは、眼前で起きていることを信じることができずに絶望している[15]。画面の右側の白いひげをたくわえた人物は、ペトロである[15]。ペトロは、ユダに対して怒りの念を抱いて立ち上がっている[15]。
脚注
[編集]- ^ a b “Тайная вечеря”. ロシア美術館. 2020年3月14日閲覧。
“The Last Supper”. ロシア美術館. 2020年3月14日閲覧。 - ^ a b c d e f g h i j 『レーピンとロシア近代絵画の煌めき』 2018, p. 21.
- ^ “ロシア絵画でキリストはどのように描かれたか”. ロシア・ビヨンド. (2019年10月31日) 2020年3月14日閲覧。
- ^ “The Last Supper”. The Virtual Russian Museum. 2020年3月14日閲覧。
- ^ a b c 『ロシア絵画の旅』 2012, p. 238.
- ^ a b c d e “Nikolai Ge: A Chronicle of the Artist’s Life and Work”. Tretyakov Gallery Magazine. 2020年3月14日閲覧。
- ^ a b “Тайная вечеря”. Министерства культуры Российской Федерации. 2020年3月14日閲覧。
- ^ a b “1864 г., Россия”. Минкультуры России. 2020年3月14日閲覧。
- ^ “КАРТОЧКА РЕСУРСА”. ЕДИНАЯ КОЛЛЕКЦИЯ ЦИФРОВЫХ ОБРАЗОВАТЕЛЬНЫХ РЕСУРСОВ. 2020年3月14日閲覧。
- ^ “Энциклопедия мировой живописи(очередной 267 выпуск)”. Студия И. 2020年3月14日閲覧。
- ^ “ГЕ НИКОЛАЙ НИКОЛАЕВИЧ”. Энциклопедия Всемирная история. 2020年3月14日閲覧。
- ^ “Ге Николай Николаевич - Тайная вечеря”. トレチャコフ美術館. 2017年5月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年3月14日閲覧。
- ^ 池田和彦 (1988年12月10日). “ドストエフスキイの「最後の晩餐」(H.ゲー)評小考 : 「リアリズム」との出会いをめぐって”. 東京大学文学部ロシア文学研究室. 2020年3月14日閲覧。
- ^ 『ロシア絵画の旅』 2012, pp. 238, 239.
- ^ a b c d 『ロシア絵画の旅』 2012, p. 239.
参考文献
[編集]- 籾山昌夫『レーピンとロシア近代絵画の煌めき』東京美術、2018年12月。ISBN 978-4-8087-1120-7。
- ポルドミンスキイ 著、尾家順子 訳『ロシア絵画の旅 はじまりはトレチャコフ美術館』群像社、2012年10月。ISBN 978-4-903619-37-8。