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時不変系

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

時不変系(じふへんけい、英語: time-invariant system)は、その出力が時間に明示的に依存していない系である。入力信号 によって出力 が生成されるとき、時間をシフトさせた入力 では出力も となり、同じだけ時間をシフトしたものとなる。

形式的には、 をシフト作用素としたとき()、次が成り立つ を時不変作用素と呼ぶ。

この属性は、系の伝達関数が時間の関数ではなく、入力と出力だけで表される場合に満足される。また、概略的に表すと次のようになる。

系が時不変であるとき、その系のブロックは任意の遅延について可換である。

単純な例

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系が時不変かどうかを判定する例を示すため、次の2つの系を考える。

  • 系 A:
  • 系 B:

系 A は 以外の部分で明示的に t に依存しているので、時変である。一方系 B は明示的に t に依存していないので、時不変である。

形式的な例

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次に A と B の系がなぜ上述のように言えるのかを、形式的な証明によって示す。証明するために、第二の定義(系が時不変であるとき、その系のブロックは任意の遅延について可換である)を利用する。

系 A:

遅延のある入力 を与えると、次のようになる。
ここで出力を のぶんだけ遅延させる。
であることは明らかであり、従ってこの系は時不変ではない。

系 B:

遅延のある入力 を与えると、次のようになる。
ここで出力を のぶんだけ遅延させる。
であることは明らかであり、従ってこの系は時不変である。他にも証明方法はあるが、これが最も容易である。

抽象的な例

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シフト作用素を と表す。ここで、 はベクトルの添え字群がシフトされるべき量である。例えば、"advance-by-1" 系

は、ここでの抽象的記法では次のようになる。

ここで、 は次の式で与えられる関数である。

シフトされた出力となる系は次のようになる。

従って は入力ベクトルを 1 だけ進める作用素である。

ここで、系を作用素 で表す。この系が時不変であるのは、この作用素とシフト作用素の間で交換法則が成り立つ場合である。すなわち、

系の方程式が次のようであるとする。

この系が時不変であるとは、系の作用素 に適用してからシフト作用素 を適用した場合と、シフト作用素 を適用してから系の作用素 を適用した場合で、結果が等価となる場合である。

系の作用素を先に適用すると、次のようになる。

シフト作用素を先に適用すると、次のようになる。

従って、系が時不変なら次が成り立つ。

関連項目

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