旧大原家住宅
旧大原家住宅(きゅうおおはらけじゅうたく)は岡山県倉敷市にある、歴史的建造物(町屋)。国の重要文化財に指定されている。
概要
[編集]天領だった倉敷では、旧来「古禄」と呼ばれる世襲の勢力が栄えていたが、新田・塩田開発と倉敷川の水運の利を生かして「新禄」という商人の新興勢力が台頭してきた。その中でもこの大原家と大橋家が筆頭格であった。大原家は綿仲買商人として大いに発展した。主屋は江戸時代後期の建築と推定されている。大原家は倉敷川の終点に位置し、河岸の両側に店舗と蔵を構えた。 1889年(明治22年)大原孝四郎は倉敷紡績(クラボウ)の設立に参加した。これらをさらに発展させたのが大原孫三郎である。このとき大原家は財閥ともいえる発展を遂げた。そこで得た富で息子の総一郎と共に、倉紡中央病院(現在の倉敷中央病院)や大原美術館など数々の施設を造営した。
旧大原家住宅は1971年(昭和46年)3月11日に、主屋をはじめ10棟が国の重要文化財に指定された。1982年には土地が重要文化財に追加指定されている。重要文化財指定後も居住用に使われていたため、建物内部は非公開であったが、2018年4月に「語らい座 大原本邸」として一般公開されるようになった[1]。
建築概要
[編集]倉敷美観地区内、倉敷川に面して建つ。倉敷川に架かる今橋を渡った対岸は大原美術館である。宅地は南が川、東と北が道に面し、敷地南東隅に主屋が建つ。主屋に接して内倉と離座敷があり、敷地北側は路地に面して5棟の倉(東から倉、新倉、中倉、内中倉、北倉)が立ち並び、独特の景観を形作っている。他に北倉の南に壬子倉(みねぐら)と西倉が建つ。主屋は1階の格子や2階の窓のデザインに特色があり、それぞれ「倉敷格子」「倉敷窓」と呼ばれている。
以下の建物10棟と宅地が重要文化財に指定されている。
- 主屋
- 内倉
- 離座敷
- 建築年代:江戸時代後期
- 入母屋造、桁行8.8m、梁間5.6m、西面及び北面庇付、本瓦葺
- 倉
- 建築年代:江戸時代末期
- 土蔵造、桁行8.6m、梁間6.2m、二階建、切妻造、西面庇付、本瓦葺
- 新倉
- 建築年代:江戸時代末期
- 土蔵造、桁行7.1m、梁間6.2m、二階建、切妻造、西面庇付、本瓦葺
- 中倉
- 建築年代:江戸時代末期
- 土蔵造、桁行12.2m、梁間6.2m、一部二階建、切妻造、西面庇付、本瓦葺、内中倉との取合部附属
- 内中倉
- 建築年代:明治時代
- 土蔵造、桁行16.4m、梁間6.0m、切妻造、本瓦葺
- 北倉
- 建築年代:明治時代
- 土蔵造、桁行11.0m、梁間5.5m、二階建、切妻造、本瓦葺
- 壬子倉
- 建築年代:(1812年)大正元年
- 土蔵造、桁行6.9m、梁間4.9m、二階建、切妻造、妻入、本瓦葺
- 西倉
- 建築年代:大正時代
- 土蔵造、桁行9.5m、梁間5.6m、二階建、切妻造、本瓦葺
- 宅地 2173.97m
見学情報
[編集]所在地
[編集]〒710-0046岡山県倉敷市中央一丁目2番1号
アクセス
[編集]公開時間
[編集]- 9時00分より17時00分(入館は16時30分まで)。月曜、年末年始休館(月曜が祝日または振替休日の場合は開館)。
- 入館は有料(詳細は公式サイトを参照)。
脚注
[編集]- ^ 「ごあいさつ」(語らい座大原本邸サイト)
- ^ 主屋の屋根形式は「入母屋造」とされているが、厳密には切妻造屋根の妻側に廂(ひさし)を付けた擬似入母屋造である。正面から見ると入母屋造に見えるが、側面から見ると、1階部分の壁と、廂より上の妻部分の壁とには前後関係がなく、同一平面にあることがわかる。
外部リンク
[編集]参考文献
[編集]- 文化庁・国指定文化財データベースから"旧大原家住宅"を検索
- 藤井恵介『日本の家4 中国 四国 九州 沖縄』講談社、2005年、12-15頁、ISBN 4-06-271074-9。
- 鈴木嘉吉監修、宮澤智士執筆『日本の民家』(万有ガイドシリーズ30)、小学館、1985
座標: 北緯34度35分47.9秒 東経133度46分15.5秒 / 北緯34.596639度 東経133.770972度