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新生児低酸素性虚血性脳症

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
新生児低酸素性虚血性脳症
概要
診療科 小児科学
分類および外部参照情報
ICD-10 P91.6

新生児低酸素性虚血性脳症(しんせいじていさんそせいきょけつせいのうしょう, neonatal hypoxic-ischemic encephalopathy, neonatal HIE)は、周産期を中心として、胎児・新生児の脳が低酸素および虚血にさらされることによって、脳症を呈した状態。新生児脳症(Neonatal encephalopathy, NE)とも呼ばれる。脳性麻痺の主たる要因となる。

治療

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低体温療法

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脳低温療法とも呼ばれ、日本における新生児蘇生法のガイドラインである NCPR にも明記されている。 CoolCap Study[1]、NICHD[2]、TOBY Study[3]などの大規模スタディによってその有用性が確かめられてきた。

全身低体温であれば食道温を 33–34℃に、選択的頭部冷却であれば食道温を34–35℃に保つ。現在のところ、どちらがよりすぐれているということはない。冷却開始後 72時間を目処に復温を開始し、6時間以上かけて 36.5℃に復温する。復温完了後に高体温となることがあるので注意する。

基準Aおよび基準Bを満たし、除外基準を満たさない症例において適応となる。基準Cは参考所見であり、必須ではない。

  • 基準A(重度の全身低酸素負荷):「出生後 60分以内の血液ガス分析で pH 7.0未満」、「出生後 60分以内の血液ガス分析で BE −16 mmol/L未満」、「出生後 10分におけるアプガースコアが 5点以下」、「10分以上の持続的な新生児蘇生(気管挿管、陽圧換気)を要する」のうちいずれか一つ以上
  • 基準B(中等症以上の脳症):「意識障害(傾眠、鈍麻、昏睡)」かつ以下のうち一つ以上;「筋緊張低下」、「『人形の眼』反射の消失」、「瞳孔反射異常」、「吸啜の低下もしくは消失」、「臨床的痙攣」
  • 基準C(aEEG異常):中等度異常(upper margin > 10 μV かつ lower margin < 5 μV)、高度異常(upper margin < 10 μV)、痙攣パターン(突発的な電位の増加と振幅の狭小化、その後の短いburst-suppressionなど)
  • 除外基準:在胎36週未満または出生体重 1800 g未満、生後6時間以上経過、低体温療法の不利益が利益を上回ると考えられる場合、全身奇形や染色体異常を含む、施設における人員・設備の準備が不十分な場合、血小板減少、出血傾向、PPHN

自己臍帯血幹細胞治療

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日本国内における第I相試験が終了し[4]、安全性が確認できたことを受け、2020年11月12日から第II相試験が開始された[5]

抗LOX-1中和抗体

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モデルラットにおいて、抗LOX-1中和抗体投与の有用性が報告されている[6]

関連項目

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脚注

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出典

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  1. ^ Peter D Gluckman (2005 Feb). “Selective head cooling with mild systemic hypothermia after neonatal encephalopathy: multicentre randomised trial”. Lancet 365 (9460): 663-70. doi:10.1016/S0140-6736(05)17946-X. PMID 15721471. 
  2. ^ Seetha Shankaran (2005 Oct 13). “Whole-body hypothermia for neonates with hypoxic-ischemic encephalopathy”. N Engl J Med . 353 (15): 1574-84. doi:10.1056/NEJMcps050929. PMID 16221780. 
  3. ^ Denis V Azzopardi (2009 Oct 1). “Moderate hypothermia to treat perinatal asphyxial encephalopathy”. N Engl J Med. 361 (14): 1349-58. doi:10.1056/NEJMoa0900854. PMID 19797281. 
  4. ^ 新生児低酸素性虚血性脳症に対する自己臍帯血幹細胞治療―第Ⅰ相試験が終了、第Ⅱ相試験へ―”. 大阪市立大学, 国立研究開発法人日本医療研究開発機構 (2018年2月23日). 2019年11月19日閲覧。
  5. ^ 脳性まひ予防に向けて―低酸素性虚血性脳症に対する自己さい帯血幹細胞治療第Ⅱ相試験開始のお知らせ―”. 国立研究開発法人日本医療研究開発機構. 2021年9月11日閲覧。
  6. ^ Akamatsu, Tomohisa (2014). “LOX-1 is a novel therapeutic target in neonatal hypoxic-ischemic encephalopathy”. Am J Pathol. 184 (6): 1843-52. PMID 24731447.