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料理物語

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

料理物語』(りょうりものがたり)は、江戸時代料理書。儀式料理レシピや作法が中心だった16世紀以前の料理書と大きく異なり、表現は簡潔で文章は格調高く、料理の網羅範囲も広い[1]。江戸時代の代表的な料理書のひとつとされる[2]

歴史

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物語として伝聞されてきた料理法などをまとめ、寛永20年(1643年)に刊行されたものが底本とされる。後書きには「武蔵国狭山に於いて書く」との記述があるが、上方言葉が使われており著者の詳細は不明[2]。大阪出身で京都に住む商人が書いた[3]、著名な料理人が後進のために書いた[2]などと推定されている。

また寛永13年2月5日1636年3月12日)の日付が残る手書きの版もあり、これが刊本の原型になり、狭山で原稿を整理し完成させたとも考えられる[3]。このほか、『雑芸叢書』などで慶長版の存在に触れられているが、その所在は確認されていない[1]。寛永20年の出版後は幅広く読まれ、寛文4年(1663年)までに7種の異版が出ている。

構成

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構成は以下の通り、食材調理法ごとに全20章から構成される。右に各章に登場する食品、料理の種類を付記する[2]

  • 第1章:海の魚:71種
  • 第2章:磯草:25種
  • 第3章:川いを(川魚):19種
  • 第4章:鳥:18種
  • 第5章:獣:7種
  • 第6章:きのこ:12種
  • 第7章:青物(野菜):76種
  • 第8章:なまだれだし(調味料):14種
  • 第9章:汁(汁物):46種
  • 第10章:なます:18種
  • 第11章:指身(刺身):27種
  • 第12章:煮物:35種
  • 第13章:焼物:11種
  • 第14章:吸物:6種
  • 第15章:料理酒:9種 - 現在の意味するところの料理酒ではなく、卵酒、鳩酒(日本酒に鳩肉と味噌を加えたもの)、芋酒(日本酒にすりおろしたヤマイモを入れたもの)など、日本酒と料理(汁物)の中間にあるカクテル類が記されている。
  • 第16章:さかな:27種
  • 第17章:後段(長時間の酒宴において、酒肴とは別に出される軽食類):素麺うどんすいとんなど。
  • 第18章:菓子:13種
  • 第19章::3種 - 「奈良茶飯」の作り方とクコ茶およびウコギ茶、クワ茶(独立した項目とはなっていない)のいわゆる茶外茶3種を紹介。
  • 第20章:萬聞き書 - 各種料理や下ごしらえのコツ、甘酒なれずしの「早作り」(製法の簡略化)の方法などを記載。

脚注

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  1. ^ a b 松下、P.181、1982年
  2. ^ a b c d 三雪、P.82、1985年
  3. ^ a b 松下、P.182、1982年

参考文献

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  • 三雲泰子、他「江戸料理本に見る香辛食品利用の調査研究:その1.『料理物語』について」『紀要』山脇学園短期大学、23巻、P.81-97、1985年
  • 松下幸子、他「古典料理の研究(八):寛永十三年「料理物語」について」『千葉大学教育学部研究紀要 第2部」千葉大学、31巻、P.181-224、1982年