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文翔館

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
文翔館
ぶんしょうかん
文翔館(第2代山形県庁舎)
文翔館の位置(山形市街内)
文翔館
文翔館の位置
文翔館の位置(山形県内)
文翔館
文翔館 (山形県)
文翔館の位置(日本内)
文翔館
文翔館 (日本)
施設情報
正式名称 山形県郷土館
愛称 文翔館
前身 山形県庁舎・県会議事堂
山形県東南村山地方事務所庁舎
事業主体 山形県
管理運営 公益財団法人山形県生涯学習文化財団(指定管理者
建物設計 田原新之助
開館 1916年大正5年)6月
所在地 990-0047
山形県山形市旅篭町3-4-51
位置 北緯38度15分24.8秒 東経140度20分28.4秒 / 北緯38.256889度 東経140.341222度 / 38.256889; 140.341222
外部リンク www.gakushubunka.jp/bunsyokan/
プロジェクト:GLAM
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文翔館(ぶんしょうかん)は、山形県山形市中心部にある国の重要文化財「山形県旧県庁舎及び県会議事堂[1]」を修復・利活用している施設の愛称。正式名称は「山形県郷土館」。日没から21時30分までライトアップが行われている[2]

概要

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1911年明治44年)5月の山形市北大火[3] [4]によって初代山形県庁舎および県会議事堂は焼失してしまった。このため再建される新庁舎は耐火建築物として建設されることが決定し、出羽国米沢藩(現:米沢市)出身の中條精一郎設計顧問、県工師として東京から招いた田原新之助を設計・監督を行い[5]、当時の県総予算の4分の一である40万円を投じ[6]1916年(大正5年)6月、2代目の県庁舎および県会議事堂がイギリスルネサンス様式で竣工した[7]。建物はレンガ造りで(天井・小屋組は木造[7]、県庁舎は地上2階、半地下1階の3階建て。議事堂は平屋建て一部2階建て[7]外壁花崗岩は現在の南陽市産出のもので、屋根には宮城県雄勝町産の黒色スレートなどを使用した[8]

戦後

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高度成長期に入り、県行政の中心である県庁の機能も複雑多岐にわたるようになり、増設を重ねてきた2代目庁舎も各部署が分散し、また狭いため、事務効率上の問題が指摘され始めた[9]。これを受け新県庁舎建設計画が策定され、建設地は開通が予定の山形自動車道山形蔵王ICから至近の山形市東郊のあこや地区(松波2丁目)とし、県の誕生百年を目前に控えた1975年(昭和50年)9月、総工費97億円余りを投じ建設された地下2階、地上16階の3代目県庁舎が完成した[9]

松波に県庁が移転後、2代目庁舎は山形県東南村山地方事務所庁舎が完成するまで暫定庁舎として利用されたが、2代目庁舎跡地の利用に関して県は、1973年(昭和48年)8月に副知事を会長とする旧県庁跡地利用問題懇談会を設置[10]。1975年8月、同懇談会は正面本庁舎は歴史資料館として永久保存すること。敷地すべてのうち、南面道路にあたる分を除くほかは、すべて緑地公園とする。などを内容とする利用計画を知事に答申した[11]。その後、山形市議会の市庁舎建設委員会が老朽化していた山形市役所の新庁舎建設用地として、2代目庁舎跡地が最も適しているとし、県当局と折衝する局面もあったが、県は懇談会の計画に沿って跡地を整備するという方針を1977年(昭和52年)度末に公式に打ち出した[12]

開館

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1984年(昭和59年)12月28日に2代目庁舎および県会議事堂が、国から重要文化財に指定されたことを受け、1986年(昭和61年)7月から保存・公開にむけた修復工事のほか[5]、周辺を緑地公園に整備する事業が着手され、 1995年(平成7年)9月に事業が完了し、10月1日、「山形県郷土館」(愛称:文翔館)として開館した。県会議事堂の修復工事では、コンサートなどを行うホールへの用途変更を行うために、L字型のステンレス製の巨大な補強材を両側面に六本ずつ設置して構造補強を行ったが、この補強材はあえて金属の地肌を露出させて、後世の補強材であることを強調している[13]。創建時から稼働する時計塔の機械式大時計は札幌市時計台に次いで国内で2番目に古いものである[14][15]

文翔館(第2代山形県会議事堂)
文翔館(第2代山形県庁舎)および前庭の県政史緑地

内部には議場ホール(約250名収容)、2つの会議室、8つのギャラリーがあり貸し出されているほか、展示室等を設置。前庭にあたる南側には、1.6haの面積に日本庭園噴水・石張りの広場などを備えた「県政史緑地[16]」(北緯38度15分23.57秒 東経140度20分25.98秒 / 北緯38.2565472度 東経140.3405500度 / 38.2565472; 140.3405500 (県政史緑地))を創り、中庭も整備された。

文翔館と県政史緑地は別の施設であるが、一括して1つの指定管理者が管理・運営をしており[17]、県民活動の場としての利用のほか、コンサートやライブ、その他屋外イベントが行われ、中心部の集客装置として機能している。また山形テルサを本拠とする山形交響楽団が文翔館を練習場として使い小規模なコンサートも催している。

門前はT字路となっており、正面南方向には七日町商店街を初めとした山形市の中心部繁華街が続く。他の東西2方向は県道19号山形山寺線および県道22号山形天童線であり、文翔館は山形市の都市骨格の交通の要衝にあるランドマークとなっている。周辺には山形地方裁判所、山形市役所を初めとした山形の主要施設が集まっている(#周辺参照)。

沿革

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全ての座標を示した地図 - OSM
全座標を出力 - KML
山形県庁舎(本設)
1877年 - 1911年(焼失)
1916年 - 1975年(現・文翔館)
1975年 - 現在
前史
山形県郷土館(文翔館)の歴史

文化財

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重要文化財(国指定)

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  • 旧県庁舎
  • 旧県会議事堂

以上は「山形県旧県庁舎及び県会議事堂 2棟」の名称で重要文化財に指定されている。

他に以下の物件が重要文化財の附(つけたり)指定となっている。

  • 渡廊下 1棟
  • 工事関係記録 7冊
  • 設計図 9枚
  • 旧県庁舎棟札 2枚

利用

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  • 開館時間:9:00 〜 16:30
  • 入場料無料
休館日

アクセス

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ギャラリー

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ロケ地

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実写作品のロケ地としても使われている。

周辺

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脚注

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  1. ^ a b 山形県旧県庁舎及び県会議事堂文化庁国指定文化財等データベース」)
  2. ^ 文翔館ライトアップ社団法人山形市観光協会)
  3. ^ 「山形県新築之図」を読む 明治”. 2024年8月25日閲覧。
  4. ^ 山形明治44年「市北の大火」(100年前) 1911年(明治44年)5月8日”. 2011年5月の周年災害/日本の災害・防災年表(「周年災害」リンク集). 防災情報新聞無料版. 2024年8月25日閲覧。
  5. ^ a b 『新版山形県大百科事典』p.683
  6. ^ 『山形市史 現代編』p.486
  7. ^ a b c 『新版山形県大百科事典』p.684
  8. ^ 『山形市史 現代編』p.486 - 487
  9. ^ a b 『山形市史 現代編』p.484
  10. ^ 『山形市史 現代編』p.485
  11. ^ 『山形市史 現代編』p.487
  12. ^ 『山形市史 現代編』p.488
  13. ^ 光井渉 2021, p. 201.
  14. ^ “山形のシンボル守る職人 百年の古時計と刻む人生”. 日本経済新聞. (2015年6月16日). https://www.nikkei.com/article/DGXLASDG16H0X_W5A610C1000000/ 2017年8月16日閲覧。 
  15. ^ “<文翔館>時の守り人 思い熱く”. 河北新報. (2017年6月9日). http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201706/20170609_53051.html 2017年8月16日閲覧。 
  16. ^ 県政史緑地(文翔館:旧県庁)(山形県)
  17. ^ 山形県郷土館及び県政史緑地の指定管理者の候補者選定について(山形県)
  18. ^ a b 山形県議会の沿革(山形県)
  19. ^ “スムージーやかき氷、色鮮やか 文翔館にカフェオープン、県産果物満載”. 山形新聞. (2021年8月12日). https://www.yamagata-np.jp/news/202108/12/kj_2021081200255.php 2021年8月12日閲覧。 
  20. ^ a b “山形の見所再発見 文翔館のトリビア”. 山形コミュニティ新聞. (2006年12月8日). https://www.yamacomi.com/888.html 2021年8月12日閲覧。 
  21. ^ ヒット作を続々誘致 山形フィルム・コミッションの「おもてなし力」”. 月刊「事業構想」2014年11月号. 2018年1月22日閲覧。
  22. ^ ドラマ『賭ケグルイ』はキャストの顔芸に注目!高杉真宙さん×森川葵さんインタビュー”. アニメイトタイムズ (2018年1月14日). 2018年1月14日閲覧。

参考文献

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  • 山形市史編さん委員会 『山形市史 現代編』 山形市、1981年。
  • 山形放送株式会社新版山形県大百科事典発行本部事務局編 『新版山形県大百科事典』 山形放送、1993年。
  • 光井渉『日本の歴史的建造物 社寺・城郭・近代建築の保存と活用』中公新書、2021年1月。ISBN 978-4121026330 

外部リンク

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