文學アジア3×2×4
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文學アジア3×2×4(ぶんがくあじあ3×2×4)は、日本・韓国・中国の文芸誌三誌が合同で行った文学企画。2010年5月に企画の第1回が掲載された。
毎回、3か国の文芸誌がそれぞれ選出した2名の小説家が共通の主題で小説を執筆し、その計6作品が各誌の同月号で発表された。この企画は当初の予定通り、2年間で計4回行われた[1]。企画を主催した文芸誌は日本の『新潮』、韓国・ソウルの『子音と母音』、中国・上海の『小説界』。
第1回の主題は「都市」で、日本では『新潮』2010年6月号(2010年5月7日刊行)に掲載された。第2回の主題は「性」、第3回の主題は「旅」、第4回の主題は「喪失」。
企画を主催した文芸誌
[編集]- 日本 『新潮』 - 1904年5月創刊、新潮社
- 月刊誌。日本で最も長く刊行されている文芸誌[2]。
- 韓国 『子音と母音』(자음과모음) - 2008年8月創刊、イルム出版社(現・子音と母音社)[3]。
- 季刊誌。人文編と文学編の2分冊になっており、最新号の第7号では計1000ページを超える[4]。
- 中国 『小説界』(小说界) - 1981年5月創刊、上海文芸出版社
- 隔月刊。「鋭敏であり、海派(上海スタイル)であり、幅広く、読むに値する」がモットー[4]。
第一回「都市」篇
[編集]『新潮』2010年6月号、『子音と母音』2010年夏号(8号)、『小説界』2010年3号掲載。作者名のカタカナ表記は『新潮』に従う。
国 | 作者 | 日本語タイトル | 韓国語タイトル | 中国語タイトル | 日本語訳者 | 作家紹介 |
---|---|---|---|---|---|---|
日本 | 島田雅彦 | 死都東京 | 사도 도쿄 | 死都东京(死都東京) | - | 前田塁 |
柴崎友香 | ハルツームにわたしはいない | 하르툼에 나는 없다 | 我不在喀土穆 | - | 佐々木敦 | |
韓国 | イ・スンウ[注 1] | ナイフ | 칼 | 刀 | 白石あゆみ | パク・ソンウォン |
キム・エラン[注 2] | 水の中のゴライアス | 물속 골리앗 | 水中巨人 | 金明順 | ジョン・ヨウル | |
中国 | 蘇童(スー・トン)[注 3] | 香草営(シアンツァオイン) | 샹차오잉 | 香草营(香草営) | 藤井省三 | 賀紹俊 |
于暁威(ユー・シアオウェイ)[注 4] | きょうの天気は | 날씨 참 좋다 | 天气很好(天気很好) | 桑島道夫 | 賀紹俊 |
第二回「性」篇
[編集]『新潮』2010年12月号、『子音と母音』2010年冬号(10号)、『小説界』2010年6号掲載。作者名のカタカナ表記は『新潮』に従う。
国 | 作者 | 日本語タイトル | 韓国語タイトル | 中国語タイトル | 日本語訳者 | 作家紹介 |
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日本 | 河野多惠子 | 緋 | 붉은 비단 | 绯(緋) | - | 菅野昭正 |
岡田利規 | 耐えられるフラットさ | 참을 수 있는 단조로움 | 可以忍受的平淡 | - | 佐々木敦 | |
韓国 | チョン・イヒョン[注 5] | 午後4時の冗談 | 오후 네시의 농담 | 午后四时的戏言(午後四時的戯言) | 金明順 | シム・ジンギョン |
キム・ヨンス[注 6] | 4月のミ、7月のソ | 사월의 미, 칠월의 솔 | 四月的咪,七月的嗦 | 崔真碩 | ポク・ドフン | |
中国 | 葛水平(コー・シュイピン)[注 7] | 月明かりは誰の枕辺に | 달빛은 누구 머리맡의 등잔인가 | 月色是谁枕边的灯盏(月色是誰枕辺的灯盞) | 桑島道夫 | 賀紹俊 |
須一瓜(シュ・イークア)[注 8] | 海鮮礼賛 | 해산물은 나의 운명 | 海鲜啊海鲜,怎么那么鲜啊 | 堀内利恵 | 賀紹俊 |
第三回「旅」篇
[編集]『新潮』2011年6月号、『子音と母音』2011年夏号(12号)、『小説界』2011年3号掲載。作者名のカタカナ表記は『新潮』に従う。
国 | 作者 | 日本語タイトル | 韓国語タイトル | 中国語タイトル | 日本語訳者 | 作家紹介 |
---|---|---|---|---|---|---|
日本 | 江國香織 | 犬とハモニカ | 개와 하모티카 | 狗与口琴 | - | 江南亜美子 |
町田康 | 先生との旅 | 선생과의 여행 | 与老师一起的旅程(与老師一起的旅程) | - | 陣野俊史 | |
韓国 | チョウ・ヒョン[注 9] | ゴッホとの一夜 | 고흐와의 하룻밤 | 与梵高共度一晚 | 金明順 | イム・テフン |
パク・ミンギュ[注 10] | ロードキル ―― Roadkill | 로드킬 | 被碾死的动物(被碾死的動物) | 渡辺直紀 | キム・ヨンチャン | |
中国 | 叶弥(イエ・ミ)[注 11] | もう一つの世界で | 너의 세계 밖 | 你的世界之外 | 垂水千恵 | 王穎 |
徐則臣(シュイ・ゼォチェン)[注 12] | グスト城 | 구스터 성 | 古斯特城堡 | 上原かおり | 王穎 |
第四回「喪失」篇
[編集]『新潮』2011年12月号、『子音と母音』2011年冬号(14号)、『小説界』2011年6号掲載。作者名のカタカナ表記は『新潮』に従う。
国 | 作者 | 日本語タイトル | 韓国語タイトル | 中国語タイトル | 日本語訳者 | 作家紹介 | |
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日本 | 津島佑子 | ヒグマの静かな海 | 불곰의 조용한 바다 | 棕熊的宁静的海(棕熊的寧静的海) | - | 川村湊 | |
阿部和重 | Geronimo-E, KIA | Geronimo-E, KIA | 任务完成(任務完成) | - | 池田雄一 | ||
韓国 | キム・イソル[注 13] | 餌 | 미끼 | 诱饵(誘餌) | 金明順 | シム・ジンギョン | |
チョン・ミギョン[注 14] | 南寺 | 남쪽 절 | 黑暗空间(黒暗空間) | 渡辺直紀 | キム・ミヒョン | ||
中国 | 莫言(モオイエン) | 小説二題 | 두 가지 주제의 소설 | 澡堂 | 红床(紅床) | 吉田富夫 | 王穎 |
金仁順(チン・レンシュン)[注 15] | ある法会 | 신회(神會) | 神会 | 鷲巣益美 | 王穎 |
関連出版物
[編集]第1回と第2回の作品、計12編を収録する作品集が韓国で刊行されている。
- 젊은 도시, 오래된 성(性) (子音と母音社、2011年5月、ISBN 978-89-5707-565-4)[5]
関連企画
[編集]「文學アジア3×2×4」と並行して、韓国の『子音と母音』、中国の『小説界』では両国の長編小説の同時掲載も行った(日本の『新潮』は参加していない)。
- 第1回
- 韓国作品 - パク・ポムシン(ko)(박범신、朴範信)『비즈니스』 - 中国語タイトル:『流苏树』(流蘇樹) (『子音と母音』2010年秋号(9号)、冬号(10号)、『小説界』2010年5号、6号に掲載)
- 中国作品 - 蒋韵(ジアンユン)『行走的年代』 - 韓国語タイトル:『길 위의 시대』 (『子音と母音』2010年秋号(9号)、冬号(10号)、『小説界』2010年5号に掲載)
- 第2回
- 韓国作品 - キム・ヨンス(ko)(김연수、金衍洙)『희재』 - 中国語タイトル:『熙载』(煕載) (『子音と母音』2011年夏号(12号)〜2012年春号(15号)、『小説界』2011年5号に掲載)
- 中国作品 - 裘山山(チウ・シャンシャン)『我的爱情绽放如雪』(我的愛情綻放如雪) - 韓国語タイトル:『내 사랑은 눈꽃처럼 핀다』 (『子音と母音』2011年夏号(12号)〜2011年冬号(14号)、『小説界』2011年4号に掲載)
注
[編集]- ^ イ・スンウ(ko)(이승우、李承雨) - 1959年生まれ、男性。1981年デビュー。
- ^ キム・エラン(ko)(김애란、金愛爛) - 1980年生まれ、女性。2003年デビュー。
- ^ 蘇童(zh)(スー・トン、苏童) - 1963年生まれ、男性。1983年デビュー。
- ^ 于暁威(ユー・シアオウェイ、于晓威) - 1970年生まれ、男性。
- ^ チョン・イヒョン(ko)(정이현、鄭梨賢) - 1972年生まれ、女性。2002年デビュー。
- ^ キム・ヨンス(ko)(김연수、金衍洙) - 1970年生まれ、男性。1993年デビュー。
- ^ 葛水平(コー・シュイピン、葛水平) - 1966年生まれ、女性。2003年に小説の執筆を開始した。
- ^ 須一瓜(シュ・イークア、须一瓜) - 1960年代生まれ、女性。1980年代末に創作を始め、その後しばらく筆をとっていなかったが、2000年に創作を再開した。
- ^ チョウ・ヒョン(조현、曹鉉) - 男性。2008年デビュー。
- ^ パク・ミンギュ(박민규、朴玟奎) - 1968年生まれ、男性。2003年デビュー。
- ^ 叶弥(イエ・ミ、叶弥) - 1960年代生まれ、女性。1983年デビュー。
- ^ 徐則臣(シュイ・ゼォチェン、徐则臣) - 1978年生まれ、男性。
- ^ キム・イソル(김이설、金異説) - 女性。
- ^ チョン・ミギョン(정미경、鄭美景) - 女性。1987年デビュー。
- ^ 金仁順(チン・レンシュン、金仁顺) - 1970年生まれ、女性。1996年デビュー。
参照
[編集]- ^ 『新潮』2010年6月号 p.6 および、外部リンク「編集長から 新潮 2010年6月号 文學アジア3×2×4」参照
- ^ 「新潮」編集部編「表紙と目次で見る「新潮」100年」参照
- ^ 2010年1月、イルム(이룸)から子音と母音(자음과모음)に名称が変更された。公式サイトの記事'이룸'출판사명이 '자음과모음'으로 변경되었습니다.参照
- ^ a b 文學アジア3×2×4 パートナー誌から日本の読者へ(『新潮』2010年6月号、p.127)参照
- ^ 子音と母音社公式サイト内の紹介ページ
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- 新潮 2010年6月号 - 第一回「都市」篇掲載号
- 子音と母音社(旧・イルム出版社)公式サイト(韓国語)
- 『子音と母音』2010年夏号(8号)(韓国語) - 第一回「都市」篇掲載号
- 上海文芸出版社 公式サイト(中国語)
- 『小説界』公式ブログ(中国語)
- 『小説界』公式ブログ 2010年第3号目次(中国語) - 第一回「都市」篇掲載号