ヨーロッパ軒
ヨーロッパ軒総本店(福井県福井市) | |
種類 | 有限会社 |
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略称 | パ軒、ヨーロッパ |
本社所在地 |
日本 〒910-0023 福井県福井市順化一丁目7番4号 北緯36度3分50.75秒 東経136度12分53.33秒 / 北緯36.0640972度 東経136.2148139度座標: 北緯36度3分50.75秒 東経136度12分53.33秒 / 北緯36.0640972度 東経136.2148139度 |
設立 | 1924年 |
業種 | 小売業 |
法人番号 | 8210002004103 |
事業内容 | 洋食店運営 |
支店舗数 | 14 |
関係する人物 |
高畠増太郎(創業者・初代社長) 高畠範行(3代目社長) |
外部リンク | http://yo-roppaken.gourmet.coocan.jp/ |
ヨーロッパ軒(ヨーロッパけん)は、福井県福井市順化一丁目に総本店を構える洋食店。元祖ソースカツ丼の店としてしられる[1]。ここでは敦賀市内で店舗を展開する敦賀ヨーロッパ軒(つるがヨーロッパけん)についても解説する。
沿革
[編集]- 1912年(明治45年):福井県出身の高畠増太郎[2]が、6年に亘る料理研究留学を終えて帰国[注 1][3][4]。
- 1913年(大正2年):カツ丼 (後のソースカツ丼) を東京で開かれた料理発表会で披露[3]。同年、東京市牛込区(現・東京都新宿区)早稲田鶴巻町の早稲田大学前にヨーロッパ軒を開く[1][4][5]。店名の由来は修業をした欧州にちなむ[1]。
- 1917年(大正6年)3月:現在の神奈川県横須賀市追浜に出店[1][4][5]。
- 1923年(大正12年)9月:関東大震災で被災し、福井へ帰郷する[1][4]。
- 1924年(大正13年)1月:福井市の片町通り(但し、現在の総本店所在地の近傍[6])にて福井ヨーロッパ軒として営業を開始[1][4]。
- 1939年(昭和14年):敦賀分店(敦賀ヨーロッパ軒)に初ののれん分け[1]。
- 1946年(昭和21年):城町に支店を開業(※後に閉店)[1]。以降、福井県内の各地(※嶺北は福井市とその近郊、嶺南は敦賀市のみ)への店舗展開を行う。
- 1969年(昭和44年):有限会社となる[7]。
カツ丼の元祖
[編集]1907年[6]から1912年の6年間、ドイツ・ベルリンの日本人倶楽部にて料理を学んだ高畠増太郎が[3][4]、ドイツのシュニッツェルをウスターソースで味付けして丼飯に載せた料理を考案し[6]、これを「カツ丼」と名付けて1913年に料理発表会にて披露した[3][4]。
カツ丼は同年に創業したヨーロッパ軒で提供が開始された。高畠は関東大震災を期に郷里の福井に戻り、福井市の片町通りに福井ヨーロッパ軒を開店している[1][4]。
素材
[編集]- ウスターソース
- 当店で使用するウスターソースは高畠増太郎(創業者・初代社長)がレシピを書いた秘伝のソースである[4]。ほんのり甘いが、香辛料の酸味がさっぱりと効いている[4]。なお、このソースはメーカーに生産を委託している。開業当初はブルドックソースが生産していたが、福井へ帰郷以降は、イカリソース(現在はブルドックソースの子会社)が生産している[4]。
- パン粉
- 備考
-
ヨーロッパ軒 特製カツ丼ソース
主なメニュー
[編集]※ここでは「ヨーロッパ軒(福井)」と「敦賀ヨーロッパ軒」の両店舗で販売する丼ものを紹介する。なお、メニュー構成は「ヨーロッパ軒(福井)」と「敦賀ヨーロッパ軒」で多少内容が異なる。
※上記の各丼の他、セット(サラダ・みそ汁付き)・ランチセット(サラダ付合せ、ライス付き)・ご飯もの(オムライスなど)・一品料理[注 2]を販売している(※店舗限定で販売する料理もある)。ちなみに、ソースカツの単品は「ソース味カツ」と呼ばれる[11][注 3]。
-
カツ丼セット
(ヨーロッパ軒(福井)) -
エビ丼セット
(ヨーロッパ軒(福井))
店舗展開
[編集]のれん分けによって福井県内の各地に分店があり、合計で19店舗(本店を含む)を有する[1][12](※2023年8月時点)。なお「分店」を名乗っていないやしろ支店と幾久店については総本店の直営である。
- ヨーロッパ軒(福井)
- 敦賀ヨーロッパ軒
- 敦賀市:5店舗(本店を含む)
敦賀ヨーロッパ軒
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敦賀ヨーロッパ軒 本店(福井県敦賀市) | |
種類 | 特例有限会社 |
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本社所在地 |
日本 〒914-0062 福井県敦賀市相生町2-7 北緯35度39分22.10秒 東経136度4分12.56秒 / 北緯35.6561389度 東経136.0701556度 |
本店所在地 |
〒914-0062 福井県敦賀市相生町2-7 北緯35度39分22.10秒 東経136度4分12.56秒 / 北緯35.6561389度 東経136.0701556度 |
設立 | 1939年 |
業種 | 小売業 |
法人番号 | 9210002010892 |
事業内容 | 飲食業(洋食店運営) |
代表者 | 赤坂敬造(取締役社長) |
資本金 | 5,000万円(2017年) |
関係する人物 | 赤坂耕二(創業者) |
高畠増太郎の娘婿であり、弟子である赤坂耕二が「洋食専門 大衆食堂 ヨーロッパ軒敦賀分店」を暖簾分けで開店させたことに始まる[13]。その後、敦賀市内にて店舗展開をする際に敦賀ヨーロッパ軒を設立。敦賀分店は「敦賀ヨーロッパ軒 本店」となった[注 4]。敦賀市内の店舗はすべて敦賀ヨーロッパ軒直営の支店である。
キャッチフレーズは、「あなたのお店、国際観光レストラン」。店舗ごとにもそれぞれのキャッチフレーズが付けられている。スローガンは「まごころとおいしさは北陸で2番」。これは、1番はあなたのお母さんやおばあさんの作ってくれる料理であるとしているためである。
敦賀ヨーロッパ軒には「ジクセリ」(ピカタに類似)[注 5]など、独自のメニューがある。なお、同店は2022年春に敦賀真鯛[15]を使ったソースカツ丼を限定販売したことがある[注 6][16][17]。また、一部、本店と中央店のみで販売される店舗限定メニューがあるものの、基本的には5店舗で同じメニューが提供される。
持ち帰り用のフードパックが全店舗にて配布されており、食べきれなかった分を持ち帰ることが可能[18]。
なお、敦賀ヨーロッパ軒に公式ホームページはなく、その旨が店舗に掲示されている。営業時間の変更や定休日などは店頭または配布のカレンダーや電話等にて確認する必要がある。
ソースの違い
[編集]ヨーロッパ軒では前述のイカリソースを基にし工場でソース調合を行っているため、どの店舗でもほぼ同じ味のソースカツ丼を食べることができる。一方で敦賀ヨーロッパ軒ではカゴメソースを基にし各店舗でソース調合を行っているため、店舗ごとに微妙な味の違いが生じている。また、敦賀が関西圏であるという点からもソースは福井に比べやや甘めに調合されている[18]。
店舗
[編集]敦賀ヨーロッパ軒は本店と4つの支店を敦賀市内に有する[18]。
ギャラリー
[編集]-
カツ丼
(敦賀ヨーロッパ軒) -
カツ丼セット
(敦賀ヨーロッパ軒) -
スパゲッティ(ミートソース)
(敦賀ヨーロッパ軒)
エピソード
[編集]五木ひろし
[編集]- 五木ひろしは芸能界入りする前からの、敦賀ヨーロッパ軒の常連であり[19]、店内には五木がリリースした楽曲のポスターが貼ってある[18]。五木のサインや写真も店内に飾ってあり、その中には妻[注 7]の和由布子と来店した時に撮影した写真もある[19]。
- 2022年(令和4年)に宮崎由加と対談した五木は故郷のグルメの話でヨーロッパ軒の創業者に関するエピソードを語った後、子供の頃から「贅沢しよう」という日は家族でソースカツ丼を食べに行くことが習慣であったことを明かし、福井県に帰ると今でも必ず敦賀ヨーロッパ軒を訪ねることも明かした[20]。
その他
[編集]- 2014年(平成26年)9月21日に放送した『ソロモン流』(テレビ東京系列)で「美浜にある五木さん長年の行きつけのお店」としてヨーロッパ軒本店(福井市)が紹介されたが[21]、美浜町内にはヨーロッパ軒の支店を設けていない(店舗展開を参照)。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ この料理研究留学には秋山徳蔵(のちに宮内省(現在の宮内庁)で主厨長を務めた)も参加していた。
- ^ ステーキ、オムレツ、ハムエッグ、スパゲッティ、ヤキメシなど
- ^ 「ソース味付けカツ」の略。牛肉を使ったソースカツは「ビーフ味カツ」と呼ばれる。
- ^ 総本店のwebサイトでは「敦賀分店」と呼ばれている[14]。
- ^ ロシア料理エスカロップからライス部分を取ったもの。嶺北でも「スカロップ」や「ジクセリ」を販売する店舗がある。
- ^ 敦賀ヨーロッパ軒の本店(1日20食限定)と敦賀市役所の売店(1日10食限定)でそれぞれ販売した。なお、作り方は同店の定番メニュー「カツ丼」(ソースカツ丼)と全く同じである(※この料理は2021年秋に福井・敦賀の両市内で開催されたイベントで販売したことがあるが、ヨーロッパ軒(福井・敦賀ともに)では販売していない)。
- ^ (来店当時(※記念写真撮影時)は婚約中)
出典
[編集]- ^ a b c d e f g h i j “ヨーロッパ軒総本店 -小史-”. ヨーロッパ軒総本店. 2022年7月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年7月6日閲覧。
- ^ “高畠 増太郎 | デジタルアーカイブ福井”. デジタルアーカイブ福井. 福井県立図書館. 2022年7月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年8月1日閲覧。
- ^ a b c d “ヨーロッパ軒総本店 -名物 ソースカツ丼-”. ヨーロッパ軒総本店. 2022年7月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年7月6日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l “近代メニューのルーツ(1)カツ丼・ソースカツ丼編 福井市・ヨーロッパ軒総本店”. 日食外食レストラン新聞. 日本食糧新聞 (2003年2月3日). 2022年8月1日閲覧。
- ^ a b “【ふくい老舗物語】 大衆向けの料理守る 飲食店ヨーロッパ軒総本店3代目 高畠範行さん”. 日刊県民福井 (2013年1月7日). 2013年2月14日閲覧。[リンク切れ]
- ^ a b c 中文子 (2007年3月13日). “旅ゅ〜ん! ふるさと風土記「ソースカツ丼(福井市)」”. 読売新聞. オリジナルの2007年3月15日時点におけるアーカイブ。 2013年2月17日閲覧。
- ^ 「ふくい老舗めぐり 長寿のコツを聞く」 ヨーロッパ軒(福井市)『福井新聞』平成26年1月25日 6面
- ^ “ヨーロッパ軒 通販”. ヨーロッパ軒総本店. 2022年7月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年7月6日閲覧。
- ^ “ヨーロッパ軒総本店 パリ丼”. ヨーロッパ軒総本店. 2022年7月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年7月6日閲覧。
- ^ “日本海 冬の味覚 カキフライ”. ヨーロッパ軒総本店. 2022年7月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年7月6日閲覧。
- ^ “ヨーロッパ軒総本店 -メニュー-”. ヨーロッパ軒総本店. 2021年12月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年12月5日閲覧。
- ^ “ヨーロッパ軒 全店ご紹介”. ヨーロッパ軒 総本店. 2022年7月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年8月18日閲覧。
- ^ 『きらめき倶楽部 2016年10月号 Vol.100』株式会社 中広、巻頭特集頁。
- ^ “ヨーロッパ軒 全店ご紹介”. ヨーロッパ軒 総本店. 2022年7月6日閲覧。
- ^ “敦賀真鯛 敦賀の海が育てた県内最高ランクの真鯛”. 敦賀観光案内サイト 漫遊敦賀. 一般社団法人 敦賀観光協会. 2022年1月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年6月11日閲覧。
- ^ 「敦賀ヨーロッパ軒本店に期間限定の味登場 「敦賀真鯛」使ったソースカツ丼」『福井新聞 ON LINE』2022年3月24日。オリジナルの2022年6月26日時点におけるアーカイブ。2023年3月20日閲覧。
- ^ 「敦賀真鯛でソースカツ丼 敦賀ヨーロッパ軒で期間限定」『中日新聞』2022年3月23日。オリジナルの2022年3月27日時点におけるアーカイブ。2023年3月20日閲覧。
- ^ a b c d 4番キャッチャーさかい: “福井県敦賀市出身なら絶対知ってる! ソースカツ丼の敦賀ヨーロッパ軒 -ソウルフードとローカルチェーン店-”. ヒトメボ. ピース企画 (2018年7月21日). 2023年3月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年1月23日閲覧。
- ^ a b “福井県は『ソースカツ丼』発祥の地!若狭・敦賀市★ヨーロッパ軒★”. 福井観光ナビ. 海のホテルひろせ (2012年2月18日). 2015年4月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年8月18日閲覧。
- ^ 内山靖子: “五木ひろしさん×宮崎由加さん “北陸”クロストーク〜北陸に息づく「日本の原風景と食文化」〜”. 半島は日本の台所. スペシャル記事. 光文社 (2022年10月18日). 2023年3月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年8月18日閲覧。
- ^ “ソロモン流 バックナンバー(2014年9月21日放送:五木ひろし)”. ソロモン流. テレビ東京. 2021年11月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年8月18日閲覧。