拘禁反応
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拘禁反応(こうきんはんのう)とは、強制収容所や捕虜収容所等の監禁施設、刑務所や拘置所等の刑事施設、精神科の閉鎖病棟等、強制的に自由を抑圧される環境に置かれた人が示す人格の変化を指す、精神医学や心理学における術語。より非公式な表記として、拘禁症、拘禁病と表記される場合もある。
種類
[編集]拘禁性神経症
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精神身体疾患
[編集]原始反応
[編集]- 爆発反応
- 短絡反応→衝動的自殺傷
- レッケの拘禁混迷
反応性朦朧状態
[編集]- 的外れ応答[3]→ガンゼル症状群とも称する。
- 的外れ応答は日本の犯罪精神医学の専門家である中田修が提唱した[4]名称であり、それまでは「でまかせ応答」などと呼ばれていた。
- 医学的には的外れ応答ではなく、「ガンゼル症状群」(ガンザー症候群)と呼ばれるのが一般的である。ドイツの精神科医であるガンゼル(ガンザー、Ganser, S.)(en)が1898年に発表した症例であるが、その後、前記の中田によってスネル(Snell, L.)(de)が1888年に報告していることが明らかとなり、便宜的に本稿では「的外れ応答」と称する。
- ガンゼルは4名の囚人について奇妙な言動を見出した。うち3名は未決囚であった。その言動とは、質問に対し応答するが、その答えが正解と微妙にずれているというものであった。例を挙げると、1+1=3、4-1=2であったり、リンゴを前にしてオレンジ、自分の苗字が「タカハシ」であるのが「タカシ」であったりするのである。もちろん、その中で正解であるものも多く、また言葉足らず的に、一語一語を区切って「タ・カ・シ」などと幼児的に応答するのが特徴とされている。
- それゆえ、ガンゼル、また本症例の研究の先取権(priority)を有するスネルらは詐病と考えていた。
- 一般的にはガンゼル症状群単独での現出例は稀であり、うつ病やそのほかの精神疾患を合併している例が多い。また、カール・ビルンバウム(en)の妄想様構想の前駆症状としてガンゼル症状群を解釈する説もあり、作家加賀乙彦としても知られ東京拘置所の医官を務めた小木貞孝による1974年の報告[5]によれば、ガンゼル症状群を呈した死刑確定囚の全てがビルンバウムの妄想様構想に移行したとされている。
- 前述の中田は麻酔分析を行うことでガンゼル症状群が軽快することを確認[6]し、麻酔分析がその治療に有効であることを証明した。
- ヒステリー[7]
反応性気分変調
[編集]反応性抑鬱状態
[編集]- 病気不安症
- 確信犯的自殺傷
反応性妄想状態
[編集]- 闘争妄想群:好訴妄想、無罪妄想
- 願望妄想群:赦免妄想、革命妄想[9]
- 被害妄想群:ビルンバウムの妄想様構想、被毒妄想、注察妄想
- その他:否定妄想、空想妄想
その他
[編集]脚注
[編集]- ^ a b 栗原徹郎『中野刑務所における仮釈神経症について』矯正医学12巻特別号10頁 1963年
- ^ 高沢勝英ほか『環境の変化が月経に及ぼす影響・第4報』矯正医学10巻特別号100頁 1961年
- ^ 中田修『的はずれ応答とスネル』犯罪学雑誌39巻156頁 1973年
- ^ 『的はずれ応答の精神病理について』精神医学第5巻第10号1963年
- ^ 『死刑囚と無期囚の心理』金剛出版1974年
- ^ 『精神医学からみた拘禁反応と詐病』矯正医学37巻2号54頁 1988年
- ^ 野村章恒『心因性精神病、殊ニ拘禁性精神病ニ関スル臨床的知見』精神神経学雑誌41巻3号1頁 1937年
- ^ 小木貞孝『拘禁状況の精神病理』異常心理学講座第V巻 みすず書房 東京 1974年
- ^ 中田修『奇跡を信ずる死刑囚』犯罪学雑誌25巻146頁 1959年
- ^ 樋口幸吉『パネルディスカッション「拘禁」』矯正医学9巻特別号29頁 1960年