手塚富雄
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手塚 富雄(てづか とみお、1903年11月29日 - 1983年2月12日)は、日本のドイツ文学者・評論家。学位は、文学博士(東京大学・論文博士・1961年)。東京大学名誉教授。
経歴
[編集]栃木県宇都宮市生まれ。旧制第一高等学校を経て、1926年東京帝国大学文学部独文科卒。旧制松本高等学校教授、1943年東京帝国大学文学部独文科助教授、1949年教授。1961年に学位論文「ゲオルゲとリルケの研究」で東京大学より文学博士の学位を取得[1]。1963年より文学部長をつとめる[2]。1964年定年退官後は立教大学教授、共立女子大学教授を歴任。1967年日本学士院会員[3]、1972年、NHK放送文化賞受賞[4]、1981年文化功労者。
第8次『新思潮』同人時代は小説を執筆している。ドイツ文学の研究、翻訳に専念した。ゲーテ、ヘルダーリン、ゲオルゲ、リルケなどに関する著作のほか、ゲーテ『ファウスト』(読売文学賞受賞[5])を初めとする訳業で知られる。弟子に生野幸吉、川村二郎、高橋英夫、西尾幹二ら多数がいる。
著作
[編集]- 『帰り行くひと』 育生社 1948年 - 創作集
- 『ドイツ近代詩人論』 生活社 1949年
- 『一青年の思想の歩み ある魂と政治と』 要書房 1951年/河出文庫 1954年/講談社「名著シリーズ」1969年(改訂版)
- 『社会の橋を』 読売新聞社 1953年
- 『西欧のこころをたずねて』 河出新書 1955年/燈影舎〈燈影撰書、増補版・高橋英夫解説〉 1988年(重版2010年)
- 『現代知性全集 17 手塚富雄集』 日本書房 1959年
- 『ゲオルゲとリルケの研究』 岩波書店 1960年、改訂版1968年
- 『ドイツ文学案内』 別冊岩波文庫 1963年
- 『いきいきと生きよ ゲーテに学ぶ』 講談社現代新書※ 1968年/サンマーク文庫 2008年
- 『ものいわぬ日本を考える』 筑摩書房 1972年
- 『手塚富雄著作集』 中央公論社(全8巻) 1980 - 1981年
- ヘルダーリン 上
- ヘルダーリン 下
- ゲオルゲとリルケの研究 上
- ゲオルゲとリルケの研究 下
- ドイツ文学論
- ドイツ文学あれこれ
- 文芸・文化評論
- 回想と随想
- 『人類の知的遺産45 ゲーテ』 講談社 1982年
- 『ヘルダーリン』 中央公論社(上下) 1985年 - 著作集を改訂
主な訳書
[編集]- ハインリヒ・クライスト 『ハイルブロンの少女ケートヒェン』 岩波文庫 1938年、復刊1992年
- ヘルマン・ヘッセ 『荒野の狼』 全集・三笠書房 1940年。角川文庫 1954年
- ヘッセ 『悉達多』 全集・三笠書房 1941年。改訂版「シッダールタ」角川文庫 1953年/岩波文庫 2011年
- ハインリヒ・クライスト 『壊れ甕』 岩波文庫 1941年。改題「こわれがめ」改版1976年。「こわれ甕」世界文学社、1948年
- エルヴィン・ギードー・コルベンハイヤー 『神を愛す』 白水社 1942年/筑摩書房 1953年
- アーデルベルト・シャミッソー 『シュレミール綺譚』 地平社 1947年。改題・改訂「影を売った男」 角川文庫
- エドゥアルト・メーリケ 『画家ノルテン (上)』 筑摩書房 1948年。下巻は未刊
- 『世界文学大系79 メーリケ/ケラー』筑摩書房 1964年
- ハインリヒ・クライスト 『アンフィトリオン』 要書房 1949年/創元文庫 1952年
- 『ゲーテ詩集』 筑摩書房 1949年/角川文庫 1951年、改版1966年。他社版でも多く刊行
- フリードリヒ・ニーチェ 『愛する人々へ 書簡集』 和辻哲郎共訳、要書房 1950年
- アダルベルト・シュティフター 『水晶』 岩波文庫 1952年。「水晶 他三篇」藤村宏共訳 改版1993年
- ハンス・カロッサ 『ドクトル・ビュルゲルの運命』 岩波文庫 1953年、復刊1999年
- ハンス・カロッサ 『美しき惑ひの年』 岩波文庫 1954年、改版2012年。各・養徳社「全集」ほか
- リルケ 『ドゥイノの悲歌』 岩波文庫 1957年、改版2010年
- ハイデッガー『ヘルダーリンの詩の解明 選集3』理想社、1955年、新版1968年。齋藤信治・土田貞夫・竹内豊治共訳
- 『乏しき時代の詩人 選集5』理想社 1958年、新版1969年。高橋英夫共訳
- 『ことばについての対話 選集21』理想社 1968年、新版1980年
- ゲーテ『若いウェルテルの悩み』「世界文学全集」河出書房新社 1960年。新装版度々刊
- フリードリヒ・ヘルダーリン『ヒュペーリオン』 筑摩書房 1963年「世界文学大系77 ドイツ=ロマン派集」、新版「筑摩世界文学大系26」
- ゲーテ『ファウスト』 中央公論社「世界の文学」(全2巻)1964年 - 1970年、単行版1971年/中公文庫(全3巻)1974 - 1975年、改版(全2巻)※ 2019年
- ニーチェ『ツァラトゥストラ』 中央公論社「世界の名著」 1966年/中公文庫 1973年、改版2018年[6]/中公クラシックス(全2巻) 2001年※
- ニーチェ『この人を見よ』 岩波文庫 1969年、改版2010年※
- 『ゲオルゲ詩集』「世界名詩集」平凡社 1968年。岩波文庫 1972年
- 『手塚富雄全訳詩集』 角川書店(全3巻) 1971 - 1972年
- ※は電子書籍版(著書・訳書とも)
記念論集
[編集]関連項目
[編集]脚注・出典
[編集]- ^ NAID 500000320527
- ^ 第20代 1963(昭和38)年~1964(昭和39)年 歴代文学部長 / 東京大学大学院人文社会系研究科・文学部. 2024年4月16日閲覧。
- ^ 物故会員 日本学士院
- ^ 第23回(1971年度)手塚富雄 東京大学名誉教授・共立女子大学教授(PDF 328KB) 日本放送協会放送文化賞受賞者一覧 / 資料編・NHK. 2014年4月16日閲覧。
- ^ 研究・翻訳賞 第22回 昭和45年/1970年度.2024年4月16日閲覧。
- ^ 新版は巻末に三島由紀夫との対談を収録
外部リンク
[編集]- 20世紀日本人名事典『手塚 富雄』 - コトバンク
- 『手塚富雄(日本大百科全書(ニッポニカ) / ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 / デジタル版 日本人名大辞典+Plus)』 - コトバンク