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愛国心はならず者の最後の逃げ場

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

愛国心はならず者の最後の逃げ場(あいこくしんはならずもののさいごのにげば、Patriotism is the last refuge of the scoundrel.)は、サミュエル・ジョンソンによる愛国者の概念

概要

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かつての英国では王族や貴族は高貴な者の義務をかなぐり捨てて、私的利益ばかりを追求するようになっていた。このような王族や貴族のことを批判して、既存の身分的秩序を破ろうとしていた急進的な愛国者がいたのであるが、それらに対してトーリー党支持者であったサミュエル・ジョンソンが吐いた不満の言葉が愛国心はならず者の最後の逃げ場であった[1]

愛国心というのは、うっかりすると専制国家独裁主義につながる危険性があるためにあまり高く評価されていないものである。愛国者というのは偏狭で単純な人間であると見られているものである。暴力を用いていようとも、それが愛国心からであると言われてしまえば、国民は黙ってしまうということもある[2]

後にアンブローズ・ビアスが正しく言い換えたものによると、愛国心はならず者の最初の逃げ場とのことである[3]

現代での批判

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鈴木邦男は愛国心はならず者の最後の逃げ場というのは、愛国心を持っている人の全てをならず者と言っているわけではなく立派な愛国者もいることから、愛国心というのは時として悪用されることもあるため、その危険性を説いているとしている。愛国者になるためには資格試験も無く愛国者と名乗るだけでなれる。かつてはやくざが愛国者であったのだが法律条令によってやくざは追い詰められ右翼団体を作ることもできなくなった。これに代わってネトウヨと呼ばれるネット右翼が増えており、このネット右翼こそが愛国心はならず者の最後の逃げ場に当てはまるとする。このネット右翼というのは一人ひとりは普通個人であるものの、それが愛国心でまとまると何でもできると思い暴走して、マスコミでも紹介できないような差別的発言を撒き散らすようになっているとしている[4]

鈴木邦男は韓国のことも愛国心はならず者の最後の逃げ場と批判する。韓国の大統領は自信があるときには未来志向で日本に対しては謝罪反省を求めないと言明していようとも、政治がうまく行かなくなり、大統領の基盤がガタガタになれば、愛国パフォーマンスという博打をしているとする。大統領自身が竹島に上陸したり、天皇に謝罪を要求するなどをしていることである。これに対しては韓国国内ではパフォーマンス賭けだと冷静に見ている人もいるだろうが、このことによって大統領の支持率は一気に上がっているとのこと。鈴木はこの事実を恐ろしいとして、まさに愛国心はならず者の最後の逃げ場であるとしている[4]

橘川俊忠安倍晋三のことを愛国心はならず者の最後の逃げ場と批判する。安倍は高市早苗を使うことで国民や国家という右派のシンボルを最大限に利用してきた。だが安倍は誤った単一民族説を払拭することもできず、曖昧な民族や国家観念によって国家統合を図ろうとしていることは愛国心はならず者の最後の逃げ場とした[5]

脚注

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  1. ^ 産経新聞 (2018年10月12日). “【モンテーニュとの対話 「随想録」を読みながら】(36)「愛国スーツ」にご用心(4/5ページ)”. 産経新聞:産経ニュース. 2024年10月27日閲覧。
  2. ^ 現代言語研究会. “『愛国心とはならずものたちの最後の避難所である』の意味と定義(全文) - 辞書辞典無料検索JLogos”. 『愛国心とはならずものたちの最後の避難所である』の意味と定義(全文) - 辞書辞典無料検索JLogos. 2024年10月27日閲覧。
  3. ^ 郊外の多文化主義(4)”. Newsweek日本版 (2015年12月10日). 2024年10月27日閲覧。
  4. ^ a b 「愛国心」は理性を狂わせる‐鈴木邦男‐マガジン9”. magazine9.jp. 2024年10月27日閲覧。
  5. ^ 「“愛国心は、ならず者の最後の隠れ家である”」神奈川大学教授・本誌編集委員長/橘川 俊忠 | 現代の理論・論文アーカイブ”. gendainoriron.jp. 2024年10月27日閲覧。