思秋期 (映画)
思秋期 | |
---|---|
Tyrannosaur | |
監督 | パディ・コンシダイン |
脚本 | パディ・コンシダイン |
製作 | ディアミッド・スクリムショウ |
製作総指揮 |
ピーター・カールトン マーク・ハーバート キャサリン・バトラー スザンヌ・アリザート ヒューゴ・ヘッペル ウィル・クラーク |
出演者 |
ピーター・マラン オリヴィア・コールマン エディ・マーサン |
音楽 |
クリス・ボールドウィン ダン・ベイカー |
撮影 | エリック・ウィルソン |
編集 | ピア・ディ・キアウラ |
製作会社 |
ワープX Inflammable Films |
配給 |
スタジオカナルUK エスパース・サロウ |
公開 |
2011年1月21日(SFF) 2011年10月7日 2012年10月20日 |
上映時間 | 98分 |
製作国 | イギリス |
言語 | 英語 |
製作費 | £750,000[1] |
興行収入 |
£244,563[2] $22,321[3] |
『思秋期』(ししゅうき、Tyrannosaur)は、2011年のイギリスのドラマ映画。俳優パディ・コンシダインの長編映画監督デビュー作で、脚本も務めている。出演はピーター・マランとオリヴィア・コールマンなど。自暴自棄な生活を送る粗暴なやもめ男と夫によるDVに苦しむ女性との心の交流を描いている。
第24回東京国際映画祭ではWORLD CINEMA部門で『ティラノサウルス』の題で上映された[4]。
ストーリー
[編集]ジョセフは感情が昂ると暴力衝動を全く抑えることができない凶暴な男で周りから疎まれている。数年前に妻を亡くしてから、彼をまともに相手にしてくれるのは近所に住む少年サムと飲み仲間のトミーだけであり、古くからの親友はガンで死にかけている。そんなある日、ジョセフはチャリティ・ショップで働く女性ハンナと出会う。信心深く心優しいハンナと接するうちに徐々にジョセフの頑なな心も溶けて行く。しかし、裕福な家庭の主婦として幸せに暮らしていると思われたハンナもまた他人に言えない苦しみを抱えていた。実はハンナの夫ジェームズから激しいDVを受けていたのである。ある日、ハンナがジョセフと親しくしている様子に激高したジェームズはハンナに激しい暴行を加える。ハンナは家を逃げ出してジョセフのもとに身を寄せる。戸惑うジョセフだったが、周りは外面のいいジェームズの味方しかしないため行き場がないと言うハンナと共同生活を始める。2人の関係が急速に近づいて行くと、ジョセフはハンナに黙ってジェームズに会いに行く。ところが、ジェームズとハンナの家でジョセフが目撃したのはジェームズの死体だった。ハンナはジェームズの殺害を隠していたことをジョセフに泣いて詫びるが、ジョセフはそんなハンナを前に立ち尽くすしかなかった。そしてハンナは逮捕・収監される。
それから1年、ジョセフの人生も大きく変わっていた。ジョセフにとって数少ない親しい存在だった少年サムが、母親の恋人が飼っている犬に顔を噛まれて大怪我を負う事件が起きる。かねてよりその犬にも飼い主である男にも憤りを感じていたジョセフはサムを救えなかった後悔もあり、その犬を殴り殺してしまう。これによりジョセフは逮捕され、出所後に居を変えていた。新しい住所を収監中のハンナに手紙で知らせたジョセフは身なりを整え、ハンナに面会する。
原題の「Tyrannosaur(ティラノサウルス)」はジョセフが亡き妻(糖尿病に伴う心臓発作で数年前に死亡)に付けていたあだ名であり、過食で大柄だった妻を揶揄したものである。ジョセフのセリフでは映画『ジュラシック・パーク』から取ったとしている。
キャスト
[編集]- ジョセフ: ピーター・マラン
- ハンナ: オリヴィア・コールマン
- ジェームズ: エディ・マーサン
- ボッド: ポール・ポップルウェル
- サミュエル(サム): サミュエル・ボトムリー
- ケリー: シアン・ブレッキン - サムの母親。
- トミー: ネッド・デネヒー
作品の評価
[編集]映画批評家によるレビュー
[編集]映画レビュー集積サイトRotten Tomatoesでは、86件のレビューで支持率は83%、平均点は10点満点中7.3点で、批評家の一致した見解は「『思秋期』は、はるか彼方にある救済を求める暴力的な男たちの残酷で率直な、そして最終的には報われる物語である。」となっている[5]。 Metacriticによれば、18件の評論のうち、高評価は11件、賛否混在は6件、低評価は1件で、平均点は100点満点中65点となっている[6]。
受賞歴
[編集]映画祭・賞 | 部門 | 候補 | 結果 |
---|---|---|---|
英国アカデミー賞[7] | 新人脚本家・監督・製作者賞 | ディアミッド・スクリムショウ(製作) パディ・コンシダイン(監督) |
受賞 |
英国インディペンデント映画賞[8] | 作品賞 | 『思秋期』 | 受賞 |
監督賞 | パディ・コンシダイン | ノミネート | |
ダグラス・ヒコックス賞(新人監督賞) | パディ・コンシダイン | 受賞 | |
主演男優賞 | ピーター・マラン | ノミネート | |
主演女優賞 | オリヴィア・コールマン | 受賞 | |
助演男優賞 | エディ・マーサン | ノミネート | |
製作業績賞 | 『思秋期』 | ||
インディペンデント・スピリット賞[9] | 外国映画賞 | 『思秋期』 | ノミネート |
ロンドン映画批評家協会賞[10][11] | ブレイクスルー英国映画作家賞 | パディ・コンシダイン | ノミネート |
英国男優賞 | ピーター・マラン | ||
英国女優賞 | オリヴィア・コールマン | 受賞 | |
サテライト賞[12] | 映画主演女優賞 | オリヴィア・コールマン | ノミネート |
オリジナル脚本賞 | パディ・コンシダイン | ||
エンパイア賞 | 英国作品賞[13] | 『思秋期』 | ノミネート |
女優賞[14] | オリヴィア・コールマン | 受賞 |
出典
[編集]- ^ “Paddy Considine Q&A;” (英語). Film4. 2012年9月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年11月6日閲覧。
- ^ “UK Box Office: 25 - 27 November 2011” (英語). UK Film Council. 英国映画協会. 2012年8月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年11月6日閲覧。
- ^ “Tyrannosaur” (英語). Box Office Mojo. IMDb. 2012年11月6日閲覧。
- ^ “第24回東京国際映画祭 ティラノサウルス”. 東京国際映画祭. 2012年11月6日閲覧。
- ^ “Tyrannosaur (2011)” (英語). Rotten Tomatoes. Flixster. 2021年4月16日閲覧。
- ^ “Tyrannosaur Reviews” (英語). Metacritic. 2021年4月16日閲覧。
- ^ “Film Awards Winners in 2012” (英語). 英国映画テレビ芸術アカデミー (2012年1月4日). 2012年11月6日閲覧。
- ^ Exley, Gemma (2011年12月5日). “British Independent Film Awards 2011: Fassbender, Ramsey & Sophie from Peep Show win” (英語). Holy Moly!. オリジナルの2014年1月3日時点におけるアーカイブ。 2012年11月6日閲覧。
- ^ Knegt, Peter; Greene, Steve (2011年11月29日). “"Take Shelter" and "The Artist" Lead Spirit Award Nominations” (英語). IndieWire 2012年11月6日閲覧。
- ^ “32nd London Critics' Circle Film Awards The Artist and A Separation top the winners at BFI Southbank on 19th January 2012” (英語). ロンドン映画批評家協会 (2012年1月21日). 2012年11月6日閲覧。
- ^ “32nd London Critics' Circle Film Awards nominations announced” (英語). ロンドン映画批評家協会 (2011年12月19日). 2012年11月6日閲覧。
- ^ “2011” (英語). Satellite Awards. 国際プレスアカデミー. 2012年11月6日閲覧。
- ^ “Best British Film” (英語). Empire. 2015年9月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年11月6日閲覧。
- ^ “Best Actress” (英語). Empire. 2015年9月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年11月6日閲覧。