忌引
忌引(きびき)とは、出勤・出席できる能力や意思があるにもかかわらず、大切な親族が事故や事件、及び病気等で死亡し、その葬儀のためや喪に服すなどの理由で、学校や会社などを休むことである。
概要
[編集]親の死を理由に出勤を拒否するということは、古くは律令時代初期の朝廷にまでさかのぼり、天武天皇7年(678年)の命令として、「官人が公務による使者として派遣される当日、病気や父母の死と嘘をついて派遣を辞退した場合、その年の昇進を認めない」とし、使者のサボタージュを禁じたが、裏を返せば、この時期からすでに詐病や親の死を偽装して遣使を免れようとする官人が問題化し、禁令を出す事態にまでなっていたことを表している[1]。のちの平安時代の『延喜式』(10世紀初め)においても、「使者に任命された官人が、そののちに病気だといってきた場合、式部省が真偽を確かめ、本当に病気ならば、他の官人に換え、詐病ならば律により処罰せよ」と記し、刑事罰を科すと改定して、確認作業を規定しているが、これは天武朝以降もそういった詐病が続いたことも示す[2]。
近現代では、出勤や登校をしない状態であっても、一般的な意味での欠勤や欠席の扱いにはならない。学校等の場合では、進級や卒業に必要な出席日数には算入せず、出席しなければならない日数から減算される。
ペットが死亡した場合でも、ペットロスの心理的影響を考慮して忌引扱いを認める企業もある[3]。
忌引の日数
[編集]忌引となる日数は、各事業所の就業規則などの労働条件や、各学校あるいは教育委員会等で定められている教務規則などによって、それぞれに定められている。一般に、親族が死亡した日あるいはその翌日から起算して下記程度(これに休業日を挟む場合、普通これも連続して数える)であるが、正確な日数は、各事業所・学校等の担当者(勤務管理者や学級担任など)に確認する必要がある。
また、例えば遠くに住んでいる親族に不幸があり、その葬式に参列する場合、その移動のために1日を要することが考えられる。このようなときの往復の移動に要する日数が忌引となるかどうかについても、定め方はまちまちである。
したがって、実際に親族に不幸があり忌引を申請する場合には、以下の点を留意する必要がある。
- 勤務管理者や学級担任などの担当者に、自分からみてどういう位置にある親族が、いつ亡くなったのかを説明する。
- いつからいつまでが忌引となるのか(忌引の期間)を確認する。
- 移動に時間を要する場合、そのことを説明し、その往復の移動日数も忌引に含むことができるかどうかを確認する。