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後藤大秀

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

後藤 大秀(ごとう だいしゅう、1929年 - 2020年9月9日[1]後藤 秀美でも活動 )は昭和・平成時代のからくり人形師。

概要

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現在、日本で本格的な「からくり人形師」として活動しているのは、九代目玉屋庄兵衛ほか数名しかおらず、後藤大秀はその一人である。 全国的に知られた大垣祭大津祭といった祭りの、「山車からくり(だしからくり)」の完全復元や修復を多く手がける。(この場合の復元とは、昔の人形を基に全く同じ姿形の人形を新しく制作する事。修復とは、昔の人形の破損した箇所だけを作り直す事。)なかでも、大垣祭の相生山「神主友成」復元制作では、昔の人形はすでに紛失しており、古い写真一枚と古老の証言のみを基に制作をした[2]

からくり人形は頭・首・手・足・胴・胴串等から出来ており、頭・首・手・足には木曽、胴には桜、軸は、ピンは竹、滑車類はツゲといった木材を、バネにはのヒゲを使用する。昔と変わらぬ道具や材料を使用して、人形一体を制作するのに一年はかかる[3]。 後藤大秀の作品は、「能面打ち」でつちかった髪や目の線描きと、深い色合いの彩色や、「宮大工」でつちかった木工技術による、複雑なからくり仕掛けが特長である[4][5][6]

略歴

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  • 1929年 愛知県一宮市に生まれる〔本名、秀美(ひでみ)。父は指物大工である。甥は日本画家後藤仁〕。その後、岐阜県大垣市に移る。
  • 1948年 工匠の小寺浅之助に堂宮建築(宮大工)を学び、のち数寄屋建築(茶室)を手がける。
  • 1980年 能面打ちの東安春に師事し、能面打ち修行をする。
  • 1984年より、からくり人形復元制作を始める。名古屋市戸田まつりの四之割「宙吊り小唐子」「肩車大唐子」「采振り童子(ざいふりどうじ)」復元制作。
  • 1988年 大垣市市展賞受賞。
  • 1991年より、名古屋市筒井町天王祭の神皇車(じんこうしゃ)「神功皇后(じんぐうこうごう)」「武内宿禰(たけのうちのすくね)」「面かぶり巫女」「采振り童子」復元制作。
  • 1992年 大垣市東地区センター能面の会 講師。
  • 1994年より、大垣祭の相生山「神主友成」「住吉明神」「尉」「姥」復元制作。
  • 1998年 大垣市教育功労賞受賞。
  • 1999年 大垣市美術家協会理事。第14回国民文化祭(岐阜県高山市)で、からくり人形の制作実演。大垣祭の愛宕山「武内宿禰」「神官人形(狂言師人形)」復元制作。
  • 2000年 大垣市市展審査員。
  • 2001年 大津祭の竜門滝山「鯉」復元制作。大垣祭の浦嶋山・布袋山「采振り童子」復元制作。
  • 2003年より、名古屋市広井神明社祭の二福神車(にふくじんしゃ)「恵比寿人形」「大黒人形」「采振り童子」復元制作。
  • 2005年 岐阜県神戸町町展 審査員。
  • 2007年 大垣祭り出軕運営委員会 功労賞受賞。「後藤大秀 からくり人形・能面展」(名古屋市博物館[7][8][9]
  • 2009年 大垣祭の布袋山「倒立唐子人形」復元制作。「全国山・鉾・屋台保存連合会 人形関係修理技術者」認定(全国で3名のみ認定、後に1名追加認定)。
  • 2014年 常滑市大野橋詰町 尾張大野祭の紅葉車(こうようしゃ)「逆立ち唐子」「采振り童子」復元制作[10]
  • 2015年 大垣祭が「国重要無形民俗文化財」指定。
  • 2016年 大垣祭、亀崎潮干祭が「ユネスコ無形文化遺産」登録決定[11]
  • 2017年 岐阜県伝統文化継承功績者。
  • 2018年 大垣市功労章。「後藤仁 日本画・絵本原画/後藤大秀 からくり人形展」(赤穂市立田淵記念館[12]
  • 2020年9月9日、死去。

その他

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  • 後藤大秀が修復した人形のある山車。
大垣祭の菅原山、榊山、愛宕山、神楽山(三輌山)。大津祭の郭巨山。名古屋市戸田まつりの一之割、三之割、五之割。羽島市竹鼻まつりの福江町・上町の山車。大垣市綾野祭の猩々山。半田市亀崎潮干祭の東組宮本車。津島市津島秋祭の麩屋町車、池町車 等。
  • 名古屋まつりには、筒井町天王祭の神皇車と広井神明社祭の二福神車が登場する。     
  • 後藤大秀のからくり人形作品は、名古屋市博物館、神皇車保存会、トヨタ産業技術記念館(名古屋市)等に収蔵されている[8][9]

脚注

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  1. ^ 訃報 『後藤大秀先生』がご逝去されました。 大垣まつり「布袋やま再建日記」(2020年10月10日) 2020年11月1日閲覧
  2. ^ 千田靖子「図説からくり人形の世界」p.194-201.308-311.353-357.381-385.407-418、2005年11月1日 法政大学出版局
  3. ^ 「第14回国民文化祭・ぎふ99 からくり文化フェスティバル─からくり今むかし─」1999年10月 第14回国民文化祭岐阜県実行委員会
  4. ^ 「月刊西美濃わが街」1985年10月1日号 p.6(後藤秀美特集) 月刊西美濃わが街社
  5. ^ 「月刊西美濃わが街」1986年3月1日号 p.56-59(後藤秀美特集) 月刊西美濃わが街社  
  6. ^ 「岐阜新聞」1996年8月23日朝刊(美濃・飛騨のワザ人たち、後藤大秀特集)
  7. ^ 特別展「からくり─見る・作る・遊ぶ─」図録 2007年7月28日 名古屋市博物館
  8. ^ a b 「後藤大秀能面展(名古屋市博物館)」パンフレット 2007年8月 後藤大秀後援会
  9. ^ a b 千田靖子「図説からくり人形の世界」p.474.480、2005年11月1日 法政大学出版局
  10. ^ 早川晃示「第八章 大垣祭のからくり人形機構(大垣祭総合調査報告書より)」2014年3月 大垣市教育委員会
  11. ^ 「山・鉾・屋台行事」のユネスコ無形文化遺産登録(代表一覧表記載) 文化庁
  12. ^ 平成30年度特別展のご案内 赤穂市立美術工芸館 田淵記念館

関連項目

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外部リンク

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