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強零集合

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

解析学において、強零集合[1]実数直線の部分集合 A で次の性質を満たすもののことである:

いかなる正の実数の列 (εn) をとっても、それに対して区間の列 (In) であって、全ての n について |In| < εn かつ AIn の和に含まれているものが取れる。(ここで |In| は区間 In の長さである。)

可算集合は強零集合である、そして可算個の強零集合の和も強零集合である。全ての強零集合はルベーグ測度 0 である。カントール集合は不可算でルベーグ測度 0 だが強零集合ではない例の一つである。[2]

ボレル予想[1]とは全ての強零集合は可算であるという命題である。この命題は ZFC から独立であることが知られている。つまりボレル予想は ZFC から証明も反証もできない(ZFC が無矛盾である限り)。シェルピンスキー連続体仮説(これも今日では ZFC から独立であると知られている)が不可算な強零集合の存在性を導くことを1928年に証明した。[3]1976年にはレイヴァー強制法の技法を用いてボレル予想が成立する ZFC のモデルを構成した。[4]これらの二つの結果により、ボレル予想の独立性が確立された。

以下の強零集合の特徴づけは1973年に証明された:

集合 AR が強零であることは全ての痩集合 MR についてA + MRとなることと同値である。[5]

この結果は強痩集合(strongly meagre set)の概念との繋がりを確立した。それは次の通り定義される:

集合 MR が強痩であるとは全てのルベーグ零集合 AR について A + MR となることである。

双対ボレル予想とは、全ての強痩集合が可算であるという命題である。この命題もZFCと独立である。[6]

参考文献

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  1. ^ a b Borel, Émile (1919). “Sur la classification des ensembles de mesure nulle”. Bull. Soc. Math. France 47: 97–125. doi:10.24033/bsmf.996. http://archive.numdam.org/article/BSMF_1919__47__97_0.pdf. 
  2. ^ Jech, Thomas (2003). Set Theory: The Third Millennium Edition, Revised and Expanded. Springer Monographs in Mathematics (3rd ed.). Springer. p. 539. ISBN 978-3540440857. https://books.google.com/books?id=WTAl997XDb4C&dq=cantor+set+strong+measure+zero&pg=PA539 
  3. ^ Sierpiński, W. (1928). “Sur un ensemble non denombrable, dont toute image continue est de mesure nulle” (フランス語). Fundamenta Mathematicae 11 (1): 302–4. doi:10.4064/fm-11-1-302-303. http://matwbn.icm.edu.pl/ksiazki/fm/fm11/fm11136.pdf. 
  4. ^ Laver, Richard (1976). “On the consistency of Borel's conjecture”. Acta Math. 137 (1): 151–169. doi:10.1007/BF02392416. 
  5. ^ Galvin, F.; Mycielski, J.; Solovay, R.M. (1973). “Strong measure zero sets”. Notices of the American Mathematical Society 26. 
  6. ^ Carlson, Timothy J. (1993). “Strong measure zero and strongly meager sets”. Proc. Amer. Math. Soc. 118 (2): 577–586. doi:10.1090/s0002-9939-1993-1139474-6. JSTOR 2160341.