老人と子供のポルカ
「老人と子供のポルカ」 | ||||
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左卜全とひまわりキティーズ の シングル | ||||
B面 |
おじいちゃん好き (唄:ひまわりキティーズ) | |||
リリース | ||||
ジャンル | 歌謡曲/コミックソング | |||
レーベル | ポリドール/日本グラモフォン | |||
作詞・作曲 | 早川博二 | |||
チャート最高順位 | ||||
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左卜全とひまわりキティーズ シングル 年表 | ||||
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「老人と子供のポルカ」(ろうじんとこどものポルカ、英語: POLKA FOR GRANDPA & HIS CHILDREN[4])は、左卜全とひまわりキティーズの歌唱による日本の楽曲である。
概要
[編集]1970年2月10日に日本グラモフォン(現・ユニバーサル ミュージック合同会社)からリリースされた[5]。リリース当時は、日本の高度経済成長の集大成とも言うべき日本万国博覧会の開催が迫っていた時期であったが、その反動として数々の社会問題が重くのしかかった時代でもあった。本楽曲はリズムこそ軽快かつコミカルであるものの、中身は「『ゲバ(学生運動)』『ジコ(交通事故)』『スト(ストライキ)』の被害者は老人と子供である」という痛切な叫びが込められたメッセージソングである[6][7]。同年公開された映画『ハレンチ学園』の主題歌である。
企画は塚田茂を歌手デビューさせるなど異色の起用で実績のあったディレクターの松村憲男による。松村は当時6歳の皆川おさむが唄った『黒ネコのタンゴ』のヒットに着目し、『子供が受けるならその逆を』として、老人に唄わせる曲を企画した。当初TBSの『時事放談』で人気を得ていたエコノミストの小汀利得に話を持ちかけたが拒否され、左が唄うことになった[8]。左は当時76歳であったが、これは当時としての日本音楽史上最高齢の歌手デビューとして話題となった。また、バックコーラスを受け持ったひまわりキティーズは、劇団ひまわりの子役である女子小学生5人で構成されたグループで、そのうちの一人が、後に夫と“Le Couple”を組む藤田恵美である[10][11][12]。ギターは成毛滋が弾いている。
左は、1914年(大正3年)から1915年(大正4年)にかけて帝国劇場に属してオペラを学んだ実績もあり[13]、歌の素養がないわけではなかったが、表面上は「事務所が勝手に話をまとめてきたのでやむなく唄う」という姿勢を崩さなかった。収録でも「自分は機械人間ではないので、言われた通りに歌うことはできない」と我流を通し「こんな曲が売れるわけがない」と主張していた[8]。
しかし、いざ曲が発売されると、老人と子供の意外な組み合わせと左の唄声の絶妙なリズムのずれで注目を集めた[6]。レコードも小学校低学年や、その親世代の主婦を主要購買層として好調な売れ行きを示し[14]、5月には『コンフィデンス』誌のシングルチャート(オリコンチャートの前身)で10位に入った[15]。最終的にはレコード売上は約24万枚[16]、1970年度オリコン年間第45位を記録した。大ヒットしたにもかかわらず、買い取り契約であったため、左には20万円しか支払われなかった[6]。
左は本作発表の翌年(1971年)に死去。葬儀の際にはひまわりキティーズのメンバーも駆けつけ、この曲の大合唱で葬送した[17]。
この曲の影響は左の没後も残り、曲中の「ズビズバ」は、後に清水アキラなど、数多い物まね芸人のネタになったほか、2003年には旭化成ライフ&リビングの浴室用スポンジの名称にも用いられた[18]。このほか、2000年に放送された『ホンダ・キャパ』(後期型)のCM、2001年に放送された江崎グリコ『カルポ』のCMの中でこの曲の替え歌が使用されていた。さまざまな歌手がカバーを発表、2009年11月には、サントリーフーズ「ビタミンウォーター」のCMで『銀河鉄道999』の鉄郎とメーテルがアカペラで歌唱した。また、テレビ東京系で2017年から放送開始した『出川哲朗の充電させてもらえませんか?』でも、充電がなくなったときに流れる[12]。
なお、この曲で左が打ち立てた最高齢歌手デビュー記録については、1984年に浦辺粂子(当時80歳)が、さらに1992年にきんさんぎんさん(当時99歳)が更新している。しかし、オリコン10位以内の獲得は2019年現在でも最年長記録である。
収録曲
[編集]- 全編曲:早川博二
カバーした歌手
[編集]- 平野雅昭(1977年) - 『おかしなおかしな演歌』(『演歌チャンチャカチャン』のB面)の一節。
- 16TONS(1991年) - アルバム『16TONS』にて。
- 豊田眞唯、笑福亭松之助(1999年) - 『老人と子供のポルカ~学校の怪談バージョン』としてカバー。映画『学校の怪談4』主題歌[19]
- ザ・フォーク・クルセダーズ(2002年) - アルバム『戦争と平和』にて。「自切俳人&カメレオンズ・スリー」名義。4番を追加。
- 梅津栄とプレイハウス(2004年)[20]
- いっこく堂(2005年)
- ドント・ウォーリー・ベイビーズ(2006年)
- 高田純次(2007年) - 替え歌『適当男のポルカ』としてカバー[21]。
- グレート小鹿・春日萌花(2008年)[22]
- 雪子姫&ハルミ(能登麻美子&川澄綾子)(2011年) - テレビアニメ『Dororonえん魔くん メ〜ラめら』挿入歌。
- 大宮アイドール(2015年) - マキシシングル『流星Destiny』に収録。
- ラサール石井(2020年) - 『老人と子供のポルカ2020』としてカバー。ラサールと、放送作家の木崎徹(苦楽健人名義)が現代世相に合わせた歌詞に変更し、子どものコーラスは劇団スーパー・エキセントリック・シアターの小中学生部門「劇団こどもSET」が担当する[23]。
脚注
[編集]- ^ 『1971 番号別総目録』日本グラモフォン株式会社、504ページ。『奇人でけっこう』335ページには「吹き込んだが発売されず」とある。
- ^ a b 高田文夫(監修)、鈴木啓之・吉田明裕(編)『コミックソングレコード大全』白夜書房〈笑芸人叢書〉、2002年、106頁。
- ^ a b 『1971 番号別総目録』日本グラモフォン株式会社、237頁。
- ^ 『コミックソングレコード大全』掲載のジャケット写真による[2]。日本グラモフォンの目録では“Polka for Grand Pa & His Children”となっている[3]。
- ^ 日本グラモフォンの目録[3]や『コミックソングレコード大全』[2]は1970年3月としている。
- ^ a b c d 長田暁二「買い取り 「たいやきくん」は五万円」『歌謡曲おもしろこぼれ話』社会思想社〈現代教養文庫 1649〉、2002年、259頁。ISBN 4-390-11649-5。
- ^ “ズビズバー パパパヤー、で始まる「老人と子供のポルカ」…”. 西日本新聞 (株式会社西日本新聞社). (2018年1月9日) 2022年1月26日閲覧。
- ^ a b 「ごきげんにズビ、ズビ 76歳の卜全老、フォークを歌う また異色歌手 ポリドールから「老人と子供のポルカ」」『スポーツニッポン』昭和45年1月29日付10面。
- ^ 宝泉薫「〝ヤメテケレ〟の正体 左卜全とひまわりキティーズ『老人と子供のポルカ』ほか」『歌謡界「一発屋」伝説』彩流社〈オフサイド・ブックス〉、1998年、211-213頁。ISBN 4-88202-605-8。
- ^ 「緊急指令 消えた主役を追え ズビズバー 左卜全と唄った女の子は超有名歌手になっていた」『週刊文春』第44巻第32号、2002年8月15/22日、46-47頁。なお『老人と子供のポルカ』のジャケット写真の左から二番目に写っている人物が、当時の藤田である[9]。
- ^ “実は芸歴48年目、離婚&活動休止を経て…元Le Couple・藤田恵美が“今の心境”を吐露”. ORICON NEWS. 株式会社oricon ME (2017年8月1日). 2022年1月26日閲覧。
- ^ a b “出川哲朗の“充電旅”:テロップ量は通常の3倍、BGMに使命感…番組Pが明かす制作の裏側”. MANTANWEB. 株式会社MANTAN (2018年6月23日). 2022年1月26日閲覧。
- ^ 『奇人でけっこう』31-35頁。
- ^ 「ヒット曲分析 老人と子供のポルカ 〈左卜全とひまわりキテイーズ=グラモフォン〉」『コンフィデンス』第4巻第165号、1970年6月8日。
- ^ 『コンフィデンス』第4巻第160号、1970年5月4日。
- ^ 『SINGLE CHART-BOOK COMPLETE EDITION 1968–2010』オリコン・リサーチ、2012年、630ページ。『歌謡曲おもしろこぼれ話』は公称40万枚としている[6]。
- ^ 2004年に作曲者である早川博二が逝去した際も、彼の葬儀で地元の合唱団によって歌われている。
- ^ 「ネーミング ズビズバ 歌詞が商品イメージと重なる」『日経MJ』2004年2月17日付13面。
- ^ 「〽ズビズバー、やめてケレ ゲバゲバ 復活 29年ぶり左卜全のヒット曲「老人と子供のポルカ」が「学校の怪談4」PRソングに 笑福亭松之助と豊田真唯が歌う」『日刊スポーツ』1999年(平成11年)6月8日付24面。
- ^ 「梅津栄 74歳CDデビュー 〽ズビズバ〜 やめてケレ よみがえる左卜全さん「老人と子供のポルカ」」」『スポーツニッポン』2004年3月14日付30面。
- ^ 「「ポルカ」「カルタ」発売記念サイン会 高田純次」『日刊スポーツ』2007年(平成19年)11月29日付24面。
- ^ 『デイリースポーツ』2008年7月26日付8面。
- ^ [1]『日刊ゲンダイ』2020年10月29日配信「50年ぶり復活「老人と子供のポルカ」に見る世相移り変わり」