岩田英憲
表示
岩田 英憲(いわた えいけん(ひでのり)、1941年6月23日 - )は、日本のパンパイプ(パンフルート)奏者。
奈良時代以降初めて日本でパンパイプを演奏した[1]パイオニアであり第一人者である。
パンパイプ・エイケントリオのメンバー。広島文化学園大学名誉教授、宮島観光大使、日本野鳥の会会員。妻は舞踊家の岩田玲子。
人物・来歴
[編集]1941年、広島県生まれ。国立音楽大学を卒業後、1970年にオーストリア・ウィーンに音楽留学。
ウィーン市立音楽院、ウィーン国立音楽大学卒業、フルートを竹本博、吉田雅夫、カミロ・ヴァナウゼック、ゴッドフリード・ヘヒトゥル、ハンス・レズニチェックに師事。パンパイプはM,ファネルから基本的な奏法を学び、G,ザンフィル、D,ルカには技術だけではなく精神面での教えを受け、後の演奏スタイルに大きく影響を与えた。
フルート奏者として
[編集]1971年から1977年、ウィーンの森バーデン市立劇場オーケストラ主席フルート奏者。ウィーン交響楽団及びオーストリア放送管弦楽団のエキストラとしても従事した。1977年に帰国後、広島文化女子短期大学(現広島文化学園大学)音楽科講師(のちに教授)としてフルート指導に30年従事する。
パンパイプとの出会い
[編集]1976年12月24日クリスマスイブに、ウィーンの友人宅で、ルーマニアの民族楽器「ナイ(パンパイプ)」のレコード(G,ザンフィル演奏)を聴き、その魅力ある神秘的な音色と音楽に強い衝撃を受け、その夜パンパイプの演奏家になることを決意した。
パンパイプ奏者として
[編集]- 1979年8月25日、大阪倶楽部4Fホールにおいて、日本初のリサイタル「ルーマニアの夕べ ~ パンの笛(ナイ)の演奏会」を、1980年5月9日には、ルーマニア大使館主催による「第一回パンの笛コンサート:パンの笛・岩田英憲リサイタル」を東京の石橋メモリアルホールで開催した。
- 1980年7月、ルーマニア政府の招きにより、ルーマニア・ブカレストに短期留学。
- 1980年10月、ザンフィル初来日のおり、食事、行動をともにする。ザンフィルが皇太子明仁(現上皇明仁)から東宮御所に招かれた際に随行し、美智子妃(現上皇后美智子)から「一本のナイが私のところに眠っています。いつかそれを吹きにいらしてください。」と声を掛けられた[2]。
- 1982年、NHK『音楽の広場』に出演。
- 1983年、映画『魚影の群れ』のテーマ曲を演奏。
- 1989年、NHK『歴史誕生』のテーマ曲「青空」と「子供たちの夏」を演奏。
- 1989年、「’89 海と島の博覧会」のメインステージにおいて合唱曲「世界の命=広島の心」(作曲:藤掛廣幸)に参加。
- 1991年、NHK『新日本探訪のテーマ』を演奏。
- 1994年、NHK『にんげんマップ』に出演。
- 1995年、テレビ東京『タモリの音楽は世界だ』に出演。
- 1998年、映画『風の歌が聴きたい』のテーマ曲を演奏。
- 1999年、国際交流基金の企画「風と大地のコンサート」で中華人民共和国各地を回る。
- 2006年、「第6回大山王国夏至祭」に出演。
- 2008年、日本野鳥の会チャリティ公演、「久米明とパンの笛が謳い上げる音楽物語」に出演。
- 2009年、「エイケントリオ」を田中洋太、松本真昭らと結成。2017年、田中洋太が体調不良のため井口真由子が新メンバーとして入る。現在、松本真昭、井口真由子とトリオで活動中[3]。
- 2012年、NHK BS1『地球テレビ エル・ムンド』に出演
- 2015年、NHK時代劇『風の峠〜銀漢の賦〜』のタイトル曲「満天の星」等を演奏。
- 2018年、BSテレ東『おんがく交差点』に出演。
- 2021年、「服部克久メモリアルコンサート」で演奏。
- 2022年、映画『サバカン』挿入曲「またね」等を演奏。
主な録音(CD等)
[編集]- 1985年 『Harps in Elegance』、CBS/sony 制作に参加
- 1987年 『Nai Four Seasons』、自主制作
- 1987年 『君を歌おうとして』小椋佳、KITTY RECORDS 制作に参加
- 1989年 『パンの笛幻想 風・祈り・生命』、AVACO
- 1992年 『パンの笛幻想Ⅱ いのちの風』、AVACO
- 1992年 「朝風のイカロス」、服部克久『音楽畑9 -Sports-』に収録。
- 1993年 『小さな旅と美術館』、Colombia
- 1993年 『故郷の風』、Colombia
- 1993年 「淡紅(とき)色の夢 Nipponia Nippon」、服部克久『音楽畑10 The Earth-母なる大地』に収録
- 1993年 『悠邑 ふるさと物語』、Colombia
- 1994年 『パンの笛/愛の風~永遠に~』、Colombia
- 1994年 「秋風の頃」「桜吹雪」、服部克久『音楽畑11 NATURE-自然紀行-』に収録。
- 1996年 『愛し児たちへ』、Colombia
- 1996年 『パンの笛幻想Ⅲ 光・希望・再生』、AVACO
- 1998年 『軽音楽のすすめ4 パンフルート』、Colombia
- 2003年 『Mind Flower』、ライヴノーツ
- 2004年 『NATURE SONG』、ライヴノーツ
- 2010年 『光の中で』、SATO PROJECT
- 2011年 『風鳥詩人』、アステリズムミュージック
- 2012年 『風鳥伝説』、アステリズムミュージック
- 2013年 『新芽』、アステリズムミュージック
- 2019年 『風韻』、アステリズムミュージック
著書、寄稿
[編集]- 岩田英憲、1980、「楽器の話 パンパイプ」、『ディー・オルゲル』第4号p10-11、東京音楽社
- 岩田英憲、1984、『パンの笛入門』、トヤマ楽器製造株式会社
- 岩田英憲・西村恭子、2018、『風魂-パンの笛に魅せられて』初版、藤原書店
- 岩田英憲、2022、「想 心に響く音を求めて」、中國新聞(セレクト)2022年11月9日付け
脚注
[編集]- ^ 元東京藝術大学教授で民族音楽学者であった小泉文夫は、岩田英憲のコンサートプログラムに寄せた寄稿文の中で、「(前略)岩田英憲さんは、そのナイ(パンの笛)を、日本人で初めて、いや、厳密に言えば奈良時代以降、初めて演奏する貴重な音楽家(後略)」と評している。参考文献138頁
- ^ 参考文献129頁
- ^ 参考文献161頁、外部リンク参照
参考文献
[編集]- 岩田英憲、西村恭子『風魂-パンの笛に魅せられて』(初版)藤原書店、2018年4月。ISBN 978-4-86578-169-4。
外部リンク
[編集]- 岩田英憲HP 2023年1月26日閲覧 http://panflute.web.fc2.com
- パンフルート・エイケントリオHP 2023年1月26日閲覧 https://eikentrio.com/