山岳民族 (タイ)
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タイ王国において、山岳民族(さんがくみんぞく、タイ語: ชาวดอย, ชาวเขา, [tɕʰāːw.dɔ̄ːj, tɕʰāːw.kʰǎw]; 北タイ語: จาวดอย, คนดอย, [t͡ɕāːw.dɔ̄ːj, xōn.dɔ̄ːj])[1][2]は、北部及び西部の山地に住む様々な民族集団を包括した呼称として用いられている。
アカやフモンのような非タイ系民族が、中国西南部・ミャンマー・ラオスからタイに移住し始めたのは、20世紀初頭頃のことである[3]。1959年にタイ内務省に山岳民族福祉委員会が設置された際、「山岳民族」と認定されたのは、アカ・フモン・イウミエン・ティン・カレン・クム・ラフ・リス・ルアの9民族である[4]。これら9民族にシャン・カチン・パラウン・ムラブリを加えた集団の2004年時点の人口は、1,034,351人と推計されている[4]。
山岳民族の伝統的な生活様式は、焼畑農業による自給自足を主としたもので、定住地は持たず、資源が尽きる度に新たな土地へと移住する暮らしを送っていた[5]。しかし、焼畑が環境破壊をもたらすという俗信や、国境地帯の安全保障に対する懸念、人口問題などを背景に、タイ政府は山岳民族の強制的な定住化を推し進めた[5]。山岳民族の人々はかつて換金作物としてアヘンを生産していたが、当局によるケシ栽培の規制後は、観光も重要な収入源となった[6][7][8]。
関連項目
[編集]脚注
[編集]- ^ English-Thai dictionary entry for "hill tribe"
- ^ Tumsorn, Maneewan; Chansiriyotin, Supaporn (1986) (en, th). Northern-Central Thai Dictionary (Rev Ed). Thailand: Peace Corps/Thailand 5 June 2014閲覧。
- ^ 勘田 2016, p. 17.
- ^ a b Morton & Baird 2019, p. 12.
- ^ a b Geddes, W. R. (1983). “Introduction”. In John McKinnon and Wanat Bhruksasri. Highlanders of Thailand. Kuala Lumpur: Oxford University Press
- ^ “Trekking with Hill Tribes in North Thailand”. www.alienadv.com. 2016年6月2日閲覧。
- ^ “Gallery: Thailand's 'longneck' women, a controversial tourist attraction | CNN Travel”. travel.cnn.com. 2016年6月2日閲覧。
- ^ 片山 2006, p. 129.
参考文献
[編集]- 片山, 隆裕 (2006). “タイにおける山岳少数民族ツーリズム-歴史的経緯,影響,そして持続可能な観光開発の試み-”. 西南学院大学国際文化論集 21 (1): 113–146 .
- 勘田,, 義治 (2016). タイ・ビルマ国境山岳地帯におけるキリスト教受容の一事例 : チェンラーイのアカ族におけるキリスト教共同体形成過程とその変化 (博士 thesis). 関東学院大学. 2023年11月15日閲覧。
- Morton, Micah F.; Baird, Ian G. (2019). “From Hill tribes to Indigenous Peoples: The localisation of a global movement in Thailand”. Journal of Southeast Asian Studies (Cambridge University Press (CUP)) 50 (1): 7–31. doi:10.1017/s0022463419000031. ISSN 0022-4634.