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山寺グラフィティ

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藤子不二雄 > 藤子・F・不二雄 > 著作 > SF短編 > 山寺グラフィティ
漫画:山寺グラフィティ
作者 藤子不二雄
藤子・F・不二雄
出版社 小学館
その他の出版社
中央公論社
掲載誌 週刊少年サンデー
1979年3月20日増刊号
レーベル てんとう虫コミックス
#書誌情報を参照
テンプレート - ノート

山寺グラフィティ」(やまでらグラフィティ)は、藤子・F・不二雄(発表時は藤子不二雄名義)の漫画短編。山形県の山寺(立石寺)にまつわる言い伝えを題材とした伝奇SF作品[1]大森望は、一見すると伝説を元としたホラー怪談の様でありながら、結末にSF的な理論性を感じると評している[1]

1979年(昭和54年)『週刊少年サンデー』3月20日増刊号初出。1985年(昭和60年)の『藤子不二雄少年SF短編集』〈てんとう虫コミックス〉第2巻に初収録。以降2010年現在までに7つの短編集に収録されている(#書誌情報を参照)。

あらすじ

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主人公の加藤広康には、木地かおるという幼馴染の女の子がいた。お互い意識していたわけではなかったが、ずっと仲良しでいつもそばにいた。しかし、彼女は高校時代に亡くなってしまう。雪深い日のことであった。その後上京し、東京でイラストレーターとしての活動を始め、3年が過ぎた。そんなある日、かおるにそっくりの女性に出会った。ところが話し掛けても反応がない。どうやら彼女は主人公にしか見えず、話すこともできないらしい。彼女は主人公の部屋に来ると、座ったままじっと動かず、暗くなるなりフラッと帰って行く。どこから来たのか?帰りに送って行こうとしたものの、どうしても途中で見失ってしまう。だがせっかくまた会えたのだから、彼女を快く部屋に招き入れ、外へも一緒に連れて行くことにした。(飲食はできるらしい)

気になって彼女の実家を訪ねると、その裏にある神社に、彼女の顔を象ったコケシとミニチュア家具や食器一式、入学祝いなどが納められていた。彼女の父曰く、霊となった後も成長を続け、成長に応じて、様々なものを納めるらしい。しかし、彼女も年頃なので結婚させ、親の役目は終えることにした。勝手ながら広康に似せて作ったコケシと、彼女のコケシで式を挙げ、奉納された。その後、主人公と似た霊を連れ、挨拶にきた。新婚旅行前にフラっと立ち寄った感じらしい。それを祝福すると、静かに主人公の元から去っていった。

登場人物[2]

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加藤 広康(かとう ひろやす)
本作の主人公。高校卒業後、故郷の山形から東京に上京し、イラストレーターの卵として働いている。高校時代に幼なじみだった木地かおると死別している。
木地 かおる(きじ かおる)
本作のヒロインで、主人公の広康と幼なじみ。東京の山村女学院に進学し、広康と一緒に上京しようとしていたものの、高校生の冬に亡くなってしまう。ある日を境に、再び広康の目の前に現れるようになる。
木地 作左衛門(きじ さくざえもん)
かおるの父。かおるが亡くなってからも、山寺にて供養を続けている。
安子(やすこ)
主人公の東京での友人の一人。広康に思いを寄せているものの、なかなか振り向いてもらえずにいる。

書誌情報

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以下の短編集に収録されている。特記のない限り藤子・F・不二雄名義、小学館刊。

脚注

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  1. ^ a b 大森望「〝すこし・ふしぎ〟を濃縮パックしたSFの玉手箱」『少年SF短編1』小学館〈藤子・F・不二雄大全集〉354頁
  2. ^ 藤子不二雄の名作短編漫画「山寺グラフィティ」のラストに感動した件|藤子・F・不二雄 SF短編漫画図鑑”. 藤子・F・不二雄 SF短編漫画図鑑. 2020年12月31日閲覧。
  3. ^ 『少年SF短編集 2』” (n.d.). 2010年8月22日閲覧。
  4. ^ 『藤子・F・不二雄SF短編集〈PERFECT版〉5 メフィスト惨歌』” (n.d.). 2010年8月22日閲覧。
  5. ^ 『藤子・F・不二雄大全集 少年SF短編1』” (n.d.). 2010年9月24日閲覧。

関連項目

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